APFSは去る8月5日、島田久衆議院議員(民主)の仲介で法務省への要請行動を行いました。今回は在留特別許可取得一斉行動の弁護団長である村田敏護士にもご同行いただき、総勢5名(APFSから吉成代表、津川副代表、山口事務局次長と島田議員の政策秘書の大竹政一氏)で法務省へと向かいました。
法務省側からは後閑厚志翻訳官、石黒敏夫審判課補佐官、伊藤聡審判課違反審査係主任の3名が出席しました。このうち後閑、石黒両氏は前回の交渉(4月19日)でも対応しています。
要請は以下の3点です。
まず、アミネさん・安さん両家族に在留特別許可(以下、在特)を認めてもらいたいということ。どちらの家族も、日本に強固な生活基盤が形成されています。特に何の罪もない両家族の娘たちを今さら日本から追い出すことは、子どもの心に計り知れない傷を負わせてしまいます。両家族とも地域社会にとけこんでおり、在特に十分値するはずです。
これに対し、法務省側は「個別の案件なのでこの場ではなんとも言えませんが」といういつもどおりの枕詞の後に「提出されたビデオ等の資料は目を通しています」「本日の話もきちんと上層部に伝えます」とのくり返しに終始しました。
次に、やはり在特を求め自主出頭し、在宅での取り調べとなっていたバングラデシュ国籍アブルカラムさんが摘発−収容された件について言及しました。アブルカラムさんは日本国内に生活基盤が形成されたことをもって2002年に出頭し在宅で違反調査が行われていましたが、
本年6月、綾瀬警察に摘発され現在は東京入管に収容されています。APFSはアブルさん一家に在特を認めるべきである旨、強く要請しました。
これについても法務省側は「これから(退去強制に向けた)手続きを進める中で慎重に判断していきたい」と一般論を述べるにとどまり、全く踏み込んだ回答はありませんでした。
最後に、在特の基準の公表について法務省側の見解を問いただしました。本年4月、参議院法務委員会の場において法務大臣は「積極的に在留特別許可を与えることを検討していきたい」「この事例を判断する目安というものが作れれば、それについて公表してその対象者の方々にご判断いただけるものにしたい」と発言しています。これを受けて在特の基準を将来的に公表しようという考えはあるのかどうかを尋ねました。
これに関しては、「大臣の話は重く受け止めており、内部で議論しています」とは言うものの、どこまで議論が進んでいるのか、議論にどれ位の時間をかけるのか、という点には口を濁すだけで、そもそも基準を作るかどうかもまだ決定していないとのことです。まったく官僚的、形式的な答弁の連なりで、毎度のごとく実のある議論とはなりませんでした。
とはいえ、アミネ一家について「上告中であるから在特を認めないというわけではありません」「前回に話したとおり、再審情願には回答するつもりです」と法務省側が明言したのは大きな前進です。法務省職員も人として当たり前の情を持っているならば、アミネさん一家を日本から追い出すことはできないはずでしょう。
今回のような一つ一つの行動の積み重ねが勝利をたぐり寄せ、在留特別許可の柔軟な運用による非正規滞在者の合法化につながっていくと思います。
これからもAPFSは粘り強く闘います。
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