長年にわたり日本で暮らし、日本国内に生活基盤が形成されたことをもって在留特別許可を求め1999年12月に自ら入国管理局に出頭したアミネ・カリルさん一家(イラン国籍)は法務大臣の裁決で許可が認められなかったものの、あきらめることなく行政訴訟をおこして在留特別許可を求め続けています。東京地裁では一家に日本で暮らす権利を認める画期的な判決が出され注目されました。しかし国側はこれを不服として控訴。本年3月30日に出た高裁判決では一審判決がくつがえされ、一家はまたも収容−強制送還に怯える毎日にさらされることになりました。一家は高裁判決の後、最高裁へ上告したばかりです。 2004年4月19日午前11時、一家は仮放免の延長申請のため東京入国管理局へ向かいましたが、入国管理局側は、父親のアミネ・カリルさんに延長を認めず、そのまま収容してしまいました。残された母親と娘には仮放免延長が認められたものの、持病をもつ母親は家族の大黒柱を収容されてしまったショックから入国管理局の中で倒れ、品川区内の病院に救急車で搬送されるという事態に立ち至りました。 一家には二人の娘がいます。長女マリアムは15歳で保育士になることを夢みて高校生活を送り始めたばかりですが、父親が収容され、母が倒れる状況を目の当たりにして、マリアムはただただ涙を流し続けていました。彼女が負った心の傷を思うと言葉がありません。 一家は、地域で平穏に暮らしており近隣住民からも愛されています。その証拠に、高裁判決から3週間足らずで「家族に在留特別許可を認めてあげてください。一家を収容しないでください」という署名の束が3000人分近くもよせられました。実際、日本語しか話せず、日本の文化しか知らない15歳の娘を日本から追い出すことはどう考えてもおかしいのではないでしょうか。まさに人道に反する行為ではないでしょうか。 また今回、父親を収容したということについては何の合理的な理由も見当たりません。なぜ今、逃亡の恐れなどあるはずのない父親を家族から引き離し、無慈悲に母親と二人の娘を苦しめるのでしょうか。 仮放免の延長申請に同行した弁護団と私たちに対し、ある入国管理局職員は母親が倒れたことについて「ここまでの事態は予測していなかったと」と言っていますが、病弱な母親と娘を残せば一家の生活が破綻することは当初からわかっていたはずです。アミネさんの収容は、一家に自主帰国を強制するための計画された行為としか思えません。 この日、私たちAPFSは別行動で法務省に対し、一家に在留特別許可を認めるよう、また一家の誰も収容しないよう要請しました。(トップページ写真) それにも関わらずアミネさんは収容されてしまったのです。 予断の許せない状況はしばらく続きそうです。しかし一家は絶対に挫けません。どうか一家を応援してください。よろしくお願いいたします。 |
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