パレスチナ情勢に関して各種国際条約を遵守するようイスラエル政府に要請するよう求める意見書
現在、パレスチナ自治区内市民は、イスラエル側によるパレスチナ市民の根拠なき身柄拘束、移動や外出の自由の制限、水道、食料、電気などライフラインの制限などで極度な困難に直面しています。これらのイスラエル政府による行為は、第4ジュネーブ協定、ハーグ協定等の占領や武力紛争に関する国際協定に違反しています。また、当のイスラエル政府が署名している国際人権A規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)にも反しているのは明らかです。
イスラエル政府は、国際条約を遵守してパレスチナ市民の安全な生活を保証するべきであります。
また、イスラエルとパレスチナの暴力の悪循環を終わらせるためにも、テロ行動は即刻中止し、パレスチナ市民にもイスラエル市民にも安全が保障されなければなりません。
よって、日本国政府はイスラエル政府に対し、各種国際条約を遵守するよう要請していただきたく、要望いたします。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき、新宿区議会の議を経て意見書を提出します。
平成14年10月17日
東京都新宿区議会議長名
野口ふみあき
外務大臣宛
パレスチナ紛争の平和的終結に関する意見書
中東地域では、長い歴史の中で数次の中東戦争に代表される様々な武力衝突が発生し、侵攻と報復を繰り返す「暴力の悪循環」が継続されている。
特にイスラエルとパレスチナ自治政府との間では、1990年代に入り、幾多の和平交渉が行われていたが、2000年(平成12年)9月のイスラエル首相によるエルサレム旧市街地「神殿の丘」訪問を発端に、両者間で大規模な衝突が発生した。以来、武力侵攻とそれに対する報復自爆テロ等断続的な紛争が続いている。この間、国際連合をはじめとして、各国の外交努力により様々な和平に向けた働きかけが行われているが、今もなお多くの尊い命が失われていることは、平和都市宣言を行っている板橋区として甚だ遺憾であり憂うるところである。
日本政府は、会談、親書等様々な機会を通じて、紛争の収拾に向けて、当事者に逐次働きかけを行うとともに、米国をはじめG8、EU、国連、中東各国など関係国と協議を行ってきた。しかし、依然として武力衝突が頻発しており、イスラエルの力による制圧の自制とパレスチナ自治政府の過激派取締りの実現に世界の衆目が集まる中、紛争の終結に向けての日本政府の役割がますます重要性を増している。
よって、板橋区議会は日本政府に対し、各種国際条約を遵守した平和で友好的な関係をもつ二つの国家を実現するために、イスラエル及びパレスチナ自治政府へ事態の沈静化に向けて、積極的な働きかけを行うよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成14年10月17日
東京都板橋区議長名 菅 東一
内閣総理大臣
外務大臣 宛
パレスチナ問題の平和的解決
日本政府がイスラエル政府に対して各種国際条約遵守を求める意見書が板橋区と新宿区で採択される。
APFSは、4月のイスラエル大使館への抗議行動以降も、イスラエル軍によるパレスチナ自治区への武力侵攻、子どもや老人、女性への無差別的虐殺といった悲惨な事態が日に日にエスカレートしていくのを見て何かをしなければとの思いを募らせて来ました。
そこで9月より、東京23区の各区議会(9月定例会)に対して、陳情・請願行動をすることを決定しました。それは、1つには、地域から声をあげ、日本政府そしてイスラエル政府へと具体的影響力を与えようと追求する考えからです。もう1つは、今回この行動の中心を担ったAPFSスタッフのユダヤ系アメリカ人RさんとAPFSメンバーの多くを占めているバングラデシュ人等のイスラム教徒がともにこの活動を担うことの意義からです。この運動を通して宗教、民族、文化の違いを乗り越えて共存していく、いわゆる「多文化共生」の雛型を身をもって形成していく試みであったと思います。それは、アメリカを後ろ盾にしたイスラエルによるパレスチナ抹殺といった現実と対極にある、1つの希望のあり方をささやかであれ体現する意義があったといえるでしょう。
さて、具体的な活動の方は、Rさんが中心となって毎日次のように展開しました。APFSがお世話になっている板橋区議員の遠藤千代子さんに紹介してもらった各区の議員に相談し、次に各会派に協力要請に回りました。とりわけ、自民党、公明党が支持しなければ現実的には採択されないので特に念入りに回りました。また、メディアもこの運動に注目し、新聞で取り上げられ、またRさんのインタビュー記事も掲載されました。
その結果、板橋区と新宿区で陳情が全会一致で採択され、以下に載せる意見書が採択されました。また、北区においては委員会段階では採択されましたが、本会議で多数決により否決されました。他の区では、継続審査や参考送付になりました。またいくつかの区では、委員会の場でRさんが趣旨説明をしました。委員会の席では国際問題に対して区議会が意見書を出すのは少し無理があるのではないか、あるいは、イスラエル政府だけを批判するのは片手落ちではないか等々の反対意見が出されたとのことです。そのような中で、少ないながらも2つの区議会でパレスチナ問題の解決に向けたイスラエル政府に各種国際条約を求める意見書が採択されたのは画期的なことだったと思います。しかし、パレスチナ―イスラエル問題の現実は厳しさを増すばかりで、解決に向けた前進は見られません。これからも、APFSとしてこの問題に関して声をあげ、運動を継続していく所存です。
最後に各区議会で協力してくださいました議員の皆さんにお礼を申し上げます。
以上
パレスチナ情勢に関して 各種国際条約を
遵守するようイスラエル政府に要請する旨の
意見書の送付についての請願(陳情)
●請願(陳情)の趣旨
イスラエル政府に対し、各種国際条約を遵守し、パレスチナ市民の安全を保障するように要請する旨の意見書を日本国の外務大臣に提出していただきたくお願いいたします。
●理由
現在、パレスチナ自治区内市民は極度な困難に直面しています。イスラエル政府及びイスラエル軍の極端な政策と行動が状況を悪化させているのは間違いありません。パレスチナの地ではいま、以下のような事態が進行しています。
1) 家屋等の建造物を含む市民生活全般の破壊
2) パレスチナ市民の移動や外出の自由の制限
3) イスラエルからのパレスチナへの入植増加
4) 水道、食料、電気などライフラインの制限
5) イスラエル側によるパレスチナ市民の根拠なき身柄拘束など
これらのイスラエル政府による行為は、第4ジュネーブ協定、ハーグ協定等の占領や武力紛争に関する国際協定に違反しています。また、当のイスラエル政府が署名している国際人権A規約(経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約)にも反しているのは明らかです。
イスラエル政府は、国際条約を遵守してパレスチナ市民の安全な生活を保障する義務があります。それらは人道的見地からはもちろん、今後のパレスチナ独立・建国をめぐる交渉を現実化するためにも必要です。
市民生活が破壊された状況におかれているパレスチナ市民は、絶対にイスラエル政府との具体的交渉を開始しようとは思わないでしょう。
2002年 9月
区議会議長殿
請願者 住 所 東京都板橋区大山東町26−9 伊澤ビル1F APFS 気付
電 話 03−3964−8739
氏 名 ルセンコ・レイナ
ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS)