相談の現場から −不況の中で増加する解雇・未払いー

 

 長引く経済不況は、移住労働者の身にも大きな変化を与えている。とくに、APFSの会員が就労するのは小・・零細企業であるため事業所が突然閉鎖されたり、事業主が行方不明となってしまうケースも多い。当然賃金は支払われず、多額の未払い金が生じる。一人で100万円を超えることも少なくない。立替払い制度があるが、小・零細企業の多くが賃金台帳や出勤簿をきちんと管理していないために未払い賃金額の確定が出来ず支払われない場合もある。いま、APFSには未払い賃金関係の相談は1ヶ月に10件程度が寄せられている。自主交渉で解決する場合や少額訴訟で和解する場合など様々である。しかし以前より解決が難しくなっていることは確かである。

 解雇に関する相談も多い。解決の見通しのない一部の相談については断っているものもある。最近、研修生を導入したことを理由として、非正規滞在外国人が解雇されるというケースが続いた。相変わらず、事業主は、研修生をアンかな労働力としてしか見ていないようである。解雇理由は、仕事がなくなったから、明日からこなくともよい、というものが断然多い。小・零細企業には労働基準法など存在しないのである。監督署も解雇などで申告しても是正勧告はするもののそれまでである。自ら予告手当ての取りたて機関ではないと、最初から告げる監督官もいる。誰もそんな風に考えてはいない。ただ、事業主に対して厳正に法律を遵守させて欲しいだけである。

 以前は、職を失っても、しばらくすれば新たな仕事を得ることが出来た。しかし、最近は、6ヶ月以上も失業中という非正規滞在外国人も多い。帰国を決意する人、いま帰国しても生活のあてもないため、取りあえず留まる人など様々である。未払い、解雇を含めて労働関係の相談は非常に増加している。加えて構成労働省の通達にもかかわらず労災隠しも減少しない。APFSでは4名の相談員が対応しているが、もはや限界となっている。日本人も政府や財界の経済運営失策の犠牲になって苦しんでいるが、非正規滞在外国人もまた苦悩の道を歩んでいる。



   


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ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS)