毎年恒例の移住労働者の集いが、本年は4月29日に、池袋で開催されました。
集いは、1989年から毎年この時期に行われています。これまでは、APFS単独の主催でしたが、本年はビルマ民主化同盟、フィリピンマザーズグループ、との共催で実施され、より当事者参性を強めたものとなりました。
移住労働者の権利擁護のために活動している山田・児玉両弁護士、王子労政事務所の黒須さん、板山さんを来賓としてむかえ、150名以上の参加者が集いました。
第1部は、外国籍の子どもたち(イラン・バングラデシュ・中国)が、日本の学校に通い、生活していく中で感じたことを語ってくれました。学校教育や教師のあり方、日本人の外国人に対する態度など、子どもが経験し、子どもの目から観察した日本の姿に対する感想は、なかなか鋭いものがありました。彼女たちの存在は、多文化化する日本社会を示すものであり、またそれが日常化している事実、多文化共生が「理想」ではなく具体的なものとして作り上げられていく必要性、を感じさせられるものでした。
第2部は、移住労働者の来日開始以来10年以上を振りかえり、明星大学教授渡戸一郎先生の特別講演、さらに数名の外国籍パネラー(によるパネルディスカッションによって議論いたしました。テーマは、日常の生活、労働災害や賃金未払いの増加、そして最近大きく取り上げられるようになった「外国人犯罪」の問題など多岐にわたりました。議論は、すべて日本語で行われたため、理解が難しかった部分もあったように思いますが、移住労働者自身がパネラーとして自身の日頃の経験のなから発せられる言葉の訴える力は非常に強いものであったと感じます。
第3部は、懇親会で、バングラデシュの民族音楽・歌の披露、フィリピンのダンスの披露などで、とても賑やかなものとなりました。
5月22日(火曜日)、午後2時30分から、Mさんの本人尋問が実施されました。法廷では、Mさんが日本に来た経緯やビルマの政治・生活状況に照らし、今ビルマに帰国したら子どもの成育に重大なダメージが与えられることなどを方ってもらいました。
今後、第一次出頭者裁判関係の次回期日は以下のようになっています。
A・Cさん 6月11日 1:30から 東京地裁
M・Yさん 6月15日 2:00から 東京地裁
A・Gさんとその妻 7月17日 2:30から 東京地裁
尚、第一次出頭者のうち、独身者として出頭した2名のうちの1名、バングラデシュ人Aさんは帰国を決意し、5月中旬に日本を後にしました。Aさんは、日本で大怪我をし、日本での治療継続の必要性を求めて在留特別許可を求めていました。結局、Aさんは充分な治療が保証されない母国へ、今後の生活については大きな不安を抱えたまま帰国せざるを得ないことになりました。
去る2001年1月25日、交通事故死したスリランカ人Wさんの家族から提訴されていた損害賠償裁判において、第一審では日本人と同程度の2600万円が認められていたのに対し、東京高裁は500万円を減額するという判決を下しました。これは、慰謝料を出身国の生活水準から算定した結果です。「命の値段」が国籍によって異なることになるわけです。この判決が確定することによって、交通事故だけでなく、労働災害などを含め、すべての損害賠償裁判における慰謝料の算定が、被害者の出身国の生活水準を基準に行われる可能性もあり、非常に非人道的な判断であるといえるでしょう。今後の行方に、皆さんも注目してください。
APFSの吉成さんを始めとし、弁護士、数名の市民団体スタッフ、研究者などをメンバーとして、外国人政策検討プロジェクトが立ちあがりました。このプロジェクトは、日本の外国人受け入れに関して、政策提言を行っていこうとするものです。
5月18日に第二回の検討会が開かれ、今後メンバーが取り組んで行く議題について、検討がなされました。日本における外国人に関係する多くの問題のうち、出入国に関する事柄(在留資格・入管手続き・被収容者の処遇)、くらし(医療・社会保障・行政サービス・税制)、仕事(就労・労働関連)、こども(学習機会・子どもの地位)、多文化共生社会の実現、などについてテーマ案がまとめられました。次回検討会は、6月21日に実施され、外国人問題に関係する様々な分野のゲストを迎え、検討を加えていく予定です。
今後の活動の動向については、ニューズレターで続けてご報告いたします。
ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(APFS)