外務省はTICAD IVに向けて、『元気なアフリカを目指して』というパンフレットを発行しています。このパンフでは、日本によるアフリカ支援の例の一つとして、「一村一品運動」の促進が挙げられています。
「一村一品運動」とは、地域の特産品づくりによって、コミュニティ経済の活性化を進めるものです。そもそもは日本の大分県で実践された地域起こし運動で、1980~90年代にはアジア各国に伝えられました。
タイのタクシン前首相は、一村一品運動に積極的に取り組みました。タイ政府は地域の特産品に三~五つ星までの品質保証を付けて、上から生産を管理する体制を整備しました。こうして作られた特産品は、華やかに包装され、国内外の都市部消費者向けの嗜好品となっています。
一村一品運動によって、地域の生産者の収入が気まぐれな都市消費者のニーズにますます左右されるようになったという批判は、根強く存在します。こうした外向けの経済開発が本当にタイの農村住民の貧困を削減したのかを十分に検証することなく、一村一品運動は今度はアフリカへと輸出されようとしているのです。