「政権交代」をACT読者は
どう見るか? 〜アンケート結果をふまえた私の考え |
小泉・安倍が勝利すればとんでもないことになる
ACT読者のみなさんは、もしかしたら不快になるかもしれませんが、今回の衆院選挙の最大のポイントは「政権交代」、つまり、自公保の連立与党を政権の座から引きずりおろし、民主党を中心とした新しい連立政権ができる可能性のある機会だと、私は思っています(小泉の北朝鮮カードという飛び道具が発砲されないがぎり)。
正直言いまして、私は民主党支持ではありません。さらに旧自由党の小沢一郎にはもちろん批判的です。オレンジ共済事件も含めて非常に不可解で未解決な問題をかかえたままの存在であるからです。
また、細川政権を崩壊させたのも小沢ですし、その反動として社民党の村山党首が自民党復活に手を貸したのも、小沢が虎の尾を踏んだ誤りの結果だと思っています。しかし、菅・小沢に長野県知事、田中康夫が与したことも見逃せません(一体、なぜなのか?非常に興味があります)。
ともあれ、今回に限って、私が唯一、小沢に妥協しているのは、彼が自民党に「毒饅頭」をまくことができるかという一点です。つまり、本気になって自民党政治を終わらせるために、民主党への政権交代を実現させる手腕を見てやろうということです。
自民党の小泉・安倍などと比べ、どちらがよりましかと言えば、小沢の方が合理的でより安全だと見えるのです。一方、小泉・安倍が勝利すれば、改憲、徴兵、核保有すら出かねません。ご承知のように、とんでもない政治がさらに深刻化し、拡大するでしょう。以上が私の前提です。ないか
第三極軸を真剣に用意すべき時代
アンケート結果の多くにみられるように、「自民党政治を終わらせなければ」という思いは、少なくともACT読者にも共通の思いでしょう。万一、政権交代が実現したとして、そのあと、どうするか。いわゆる保守的二大政党政治に収斂されたくない人びとのための、第三極軸的な「市民の政治」「緑の政治」が必要だという思いもかなり共有されていると推察します。
いろいろな意味で理想的な施策をならべた政党、政治勢力ができ、そこから良質な議員が多数生まれ、その人たちが、世襲でも、官僚出身でも、高齢でもない、しかも、できれば50%、50%の男女比率で、という理想的な政治のあり方が求められて、思い返せば、すでに短くない年月が経っています。
近い将来、第三極の旗を立てて「市民・緑」でやろうよという願いがあるならば、ここは一番、まず政権を交代させ、民主党というまだ比較的話が通じる政党にしばらく政権をあずけ、その間に、小泉・安倍その他自民のゴリゴリ保守が再生しないよう芽を摘み、本当の意味での第三極軸の野党を結集する仕込みをすべきである、と考えますが、如何でしょうか。
その第三極軸の野党が、いずれ連合政権の一角に入るような構造を、ヨーロッパで展開できている「社民」と「緑」という流れのように思い描きたいのです。
もし政権交代が生じれば、社民、共産も政権に加わり、反旗をひるがえして、自公保のガラガラポンの大きな政界再編があると推定できます。自民党も二期も政権から外れていれば、すぐに干上がってしまうでしょう。そうなれば自民が割れ、民主も割れる、かもしれません(公明党はどうするか? おいしい体制につくでしょう)。
そう考えていく中でのみ、東アジアの平和と安定という点に軸をおいた新しい政治勢力として、欧州社民的な「民主党」というものを生み出していけるのかもしれないと私は甘い期待をしています。
そのときのために「市民・緑」が少々の違いを越えて、第三極軸を真剣に用意すべき時代に来ているのではないでしょうか。逆に言うと、土井社民党がそこそこ強くて、そこに投票していれば個人的に納得はできるという従来の考え(私もそうでした)を踏襲し幻想を抱くかぎり、市民の政治も、緑の政治も生まれないと思っています。
将来の世代にたいしてよりベターな選択を!
山の頂上に、美しい湖があることは分かっている。だけど、そこにたどりつく道がない。その時、どうするか? 今の市民・緑の人びとは、そんなジレンマにあります。
ヘリコプターで登るというわけに、政治はいきません。やはりそのときは、険しい道をロッククライミングして登っていかなければならないわけで、安全な岩盤をつたって登りきって、あとの世代にルートを明示し、登ってきてもらわなければなりません。
しかし、頂上をめざして登るロッククライミングの戦略を現世で考えないのだとすれば、湖の水を、だれも見ることもなく、だれも飲むこともなく、その理想は保守二大政党制の中で終わってしまうでしょう。
何が将来の世代にたいしてよりベターな選択なのか(ベストを実現させることが理想論とすれば)、という「未来への歴史観」が今、問われています。
この国は先進諸国の中で唯一、民主主義が機能していない国です。来年7月には参院選もあり、この8ヵ月間が、日本の近未来の政治構造と、よりましな民主主義への成熟をうらなう機会であるような気がしてなりません。そして今回、挑戦的に妥協するつもりです。