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西陣という「ネットワーク」
この秋は、いつも以上に西陣で住民レベル主催のイベントが盛んに行われた。
9月の伝統文化祭「西陣千両ヶ辻」、10月には「アート・イン・西陣」、「昔なつかし物市」、「鉾参工芸展」。それぞれに中心となる人材がいて、それぞれの地域に根ざして活動をしている人たちばかりだ。

これらのイベントは、主催している団体名や地域は異なるが、「ひと」のレベルでは、密接につながっている。住民のレベルでは、日頃から挨拶を交わし、互いに家を行き来して無駄話をたたく仲であることが多い。そのいずれもがつながっているのである。

もともと、「西陣千両ヶ辻」と「鉾参工芸展」の主催者らと私は一緒にイベントをしよう!とミーティングを重ねていた。結局、地域の特性が違うから、と別々の開催となった。不仲なわけではない。地域の特性が違えば、自己表現の方法も違うのは当たり前だ。

和装産業の不振に伴い、西陣に元気がないと言われて久しい。たしかに、産業のレベルでは下降線をたどっているが、まだまだ熱い人は潜んでいる。「このままで終わってたまるか!」そんな瞳を多く見てきた。
そして、それに惹かれてか、西陣を選んで新たに入ってくる人もいる。
そんな人たちのとのつながりができることで、西陣は内循環を高め、新たなエネルギーが生まれる。

まちぐるみで産業を支えてきたという事実は、極めて盤石な社会基盤となり、その上に立つ人たちを無条件で精神的に結びつける力となっている。

個々の技術を持った人たちが、西陣を舞台にこつこつとものづくりを続けている。西陣の外からは見えないそんな姿を、いろんなひとに見て欲しい、そんな思いを込めて京都ものづくり塾西陣分校を続けてきた。ここにもひとつ、ネットワークができあがる。

そんなネットワークが縦横無尽につながっている。
それが西陣。
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2003.11.23.