一坪反戦地主の意見書

 一坪反戦地主は、個人あるいは連名で強制使用手続きに対し内閣総理大臣宛に自らの責任において意見書を出した。以下は、岸本建男現名護市長ら8名が出した意見書である。岸本氏は最初に署名捺印している。(原文縦書き)


意見書

 拝啓、内閣総理大臣殿、「一坪反戦地主会」に結集する会員として意見書を提出します。

 戦後三十九年が経過し、復帰十二年を数える現在もなお、全国の米軍基地の半数を占める沖縄は、相変わらず日常的に繰り返される米軍演習による基地被害が続いています。

 この基地被害は、去る第二次世界大戦によって焦土と化した沖縄県民の土地をブルと銃剣によって強奪し、強制的に個々の土地を所有者から取り上げアメリカ側に提供し続けたことに起因するものである。

 日本政府は、公用地等の軍用地使用を憲法違反の「基地確保新法」なるものによって、沖縄を、日本本土から分離支配させたサンフランシスコ条約によってアメリカの信託統治下に置いたように復帰後もなお沖縄に差別的な権利剥奪をし続けている。そして、現在、「米軍用地収用特措法」の期限切れを目前にして日本政府は、軍用地使用料を大幅に値上げし、契約地主に対しては協力謝礼金等を支給し未契約地主との対立をあおりながら反戦地主の切り崩しを狙っている。しかし私たち「一坪反戦地主会」に結集する反戦地主は、復帰という名のもとに背おわされた第二第三の琉球処分の十字架を日本政府のために背おっていくのは真平ご免です。

 私たち反戦地主は、日本政府の期限切れが迫る一九八七年五月を前に未契約地主の軍用地強制使用の手続きが始まったことに対し満身の怒りを持って抗議するとともに、法治国家たる日本政府が「安保」を盾にした憲法違反の軍用地の強制使用を続けることは民主主義に反する重大な挑戦として受けとめるものである。私たち反戦地主は、さきの大戦によって幾十万の同胞の血を受け継ぐ県民として、沖縄から全ての軍事基地を撤去させ、鉄とコンクリートで固められた土地を緑おい茂る土地に呼び戻し生活ができるまで闘い続けるものです。

             那覇防衛施設局 受付のスタンプ(60.1.10 第294号)

 岸本建男  名護市字宇茂佐二五六ー一    印

 (以下7名省略)


一坪反戦地主排除の陳情採択問題