沖縄県議会は、去る3月30日の最終本会議で「県の外郭団体など、あらゆる県の機関から『一坪反戦地主など』を役員から排除すべき件」の陳情を自民党、県民の会、新進沖縄の県政与党の多数で強行裁決した。
この陳情は、昨年9月20日付で「沖縄県政を糾す有識者の会・国旗国歌推進沖縄県民会議」が提出したものであり、沖縄県の新平和資料館問題を契機に提出されたものであることは明らかである。その主旨は、平和祈念資料館監修委員などから「一坪反戦地主会」のような不適格者を排除し、正しい歴史観を持つ有識者を入れろというものである。そして、その理由として、国の政策を妨害していることや、県政のリコールを企てたり県政を危うくし、県民の恥となる行動・言動を繰り返していることをあげている。また、その中で、「反戦平和」とは、米軍を日本から追い出し、自衛隊を無くして、日本を無防備にしてから、民衆に暴動を起こさせ、日本を壊滅に陥れようとする考えと同じと断じている。
このように陳情書の内容は、独善的で事実を歪曲し、誹謗・中傷を繰り返した時代錯誤もはなはだしいものである。
彼らの正しい歴史観とは何だろうか。国策に反対するものを誹謗するところを見ると、戦前の日の丸を掲げて、アジアを侵略したことや、国体護持のための“すて石”としての沖縄戦を肯定しているものと言えよう。
問題なのは、この陳情書を採択した沖縄県議会の憲法理念の欠如・人権感覚のなさにある。憲法は、「個人の尊重」「思想・信条の自由」「表現の自由」などを「基本的人権」としてその不可侵性を宣言し、民主主義の基本としている。国民の基本的人権を侵害するこのような陳情を本会議での賛成討論もないまま、県政与党の数の暴力で強行裁決することは、民主主義を根底から否定する暴挙であり断じて許せるものではない。
今回の強行裁決の背景に、国会における新ガイドライン関連法などの制定やそれを先導にして憲法改悪、有事法の制定の動きがあること、県内においては、沖縄戦の実相の改ざんや、軍事基地を積極的に評価する「自由主義史観」の台頭があることは疑う余地はない。
私たちは、そのような国家主義思想攻撃と平和運動に対する分断、基地の再編強化が企図されていることを見ぬき、県議会の暴挙を弾劾し、その責任を徹底的に追求する。そして、憲法違反の陳情の採択を直ちに撤回することを強く要求する。
2000年4月17日
沖縄から平和を呼びかける4・17集会参加者一同
沖縄県議会議長 友寄信助 殿