沖縄県議会が3月30日の本会議で一坪反戦地主を外部団体等、あらゆる県の機関の役員の就任から排除するように求めた陳情を与党の多数決で採択したことを、われわれは県議会史上かつてない暴挙だと認識し、強く抗議するとともに、採決の撤回を求める。
同時に沖縄県民の反戦・恒久平和の思想に真っ向から対立し、独善的な憲法解釈をする一部の人々の陳情を何ら実質論議することなく採択した県議会の見識と責任を問う。
沖縄における米軍基地は、そのほとんどが日本軍が強制的に取り上げた土地を敗戦後米軍が一方的に使用し、更に銃剣とブルドーザーによって拡大強化されたものである。半世紀以上経た今日、なおこの異常な状態を沖縄に押しつけ、その上、政府が軍用地特措法の改悪を重ね、土地取り上げを容易にする道を講じている事実を多くの県民は熟知している。
このような状況下「自分の土地を戦争につながる軍事に使用させない」と願い反戦運動の輪を拡げようとする一坪反戦地主の皆さんの活動こそは平和憲法の理念・実現に合致し、憲法に保障された崇高な権利の行使である。その憲法の根拠は、29条の財産権の保障以前に内心の自由、表現の自由、学問の自由、信教の自由につながる「思想及び良心の自由」を定めた19条に依拠すると言える。
にもかかわらず、憲法を曲解し、歴史をねじ曲げようとする偏向に満ちた人々から出された陳情が、常軌を逸した議会運営の中で採択されたことは承服出来ない。
今ひとつは、平和祈念資料館の展示資料改ざん問題で、県民の視点に立った地道な働きをした監修委員を不適格とするのが今回の陳情の動機になっていることは、言語道断である。
時あたかも、自民党の森幹事長による事実無根の沖縄差別発言があり、周辺事態法の制定により沖縄が戦争と隣あわせの状況に追い込まれんとしている中での今回の採択を、われわれは厳しく受け止めざるを得ない。
歴史をたどってみても、常に政府・権力によって犠牲を強いられてきた沖縄県民の代表たる議会において、反戦平和の運動を「日本を無防備にして、民衆に暴動を起こさせ、日本を破滅に陥れようとする考え」と、意図的に曲解する陳情が採択されたという沖縄発の情報に、県外、国外でどう反応するのだろうか。言論の府の良識は、どこへ行ったのか。
わが党の島袋宗康委員長は一坪反戦地主であるが、個人的な立場ではあるにせよ、われわれはそのことを県内外に対して誇りたい。沖縄の立場に立って、沖縄の心を主張し続けてきたわが党は今回の一坪反戦地主排除の陳情の採択に対し、第9回中央執行委員会において、強く抗議し、その撤回を求めることを決議する。
2000年4月1日
沖縄社会大衆党 第9回中央執行委員会