「沖縄県政を糾す有識者の会 国旗国歌推進沖縄県民会議」なる団体が1999年9月21日沖縄県議会に提出した「県の外郭団体など、あらゆる県の機関から『一坪反戦地主など』を役員から排除すべき件。」との陳情書が、ほとんど何の議論もなされないまま、去る3月24日の沖縄県議会総務企画委員会、続いて30日の2月定例議会最終本会議で、いずれも自民、県民の会、新進沖縄の与党の賛成多数で採択された。
この「陳情」の主な理由は、「一坪反戦地主の土地所有の目的は、土地を経済的に使用する為のものでは無く、国の政策を妨害する為のものであるから、憲法第十二条違反である」、「平和祈念資料館監修委員、県公文書館役員、県教育委員などは特に歴史の公正を期する立場から、『一坪反戦地主』のような人物は不適格者である。」というにある。
一坪反戦地主の運動は、いわゆる「反戦地主」たちの意思や財産権を踏みにじりながら、米軍用地を確保するために強制使用・収用を繰り返してきた日本政府に対する、抵抗もしくは抗議の意思表示の一形態である。それは思想・信条の自由を定めた憲法19条、表現の自由を定めた憲法21条によって保障された重要な基本的人権の行使にほかならない。
ところが、本陳情は、県民が自ら正当な人権を行使することに対し、それが国策に反対するものであるという思想のみを理由にして公職就任を拒否することを公然と述べたもので、まさにファシズムの宣言にほかならない。日本国憲法下の沖縄県議会でかかる陳情が採択されたことは、人類と日本国民の「不断の努力」(憲法12条)によって獲得してきた人権の歴史に重大な汚点を残すものである。
われわれは、だれもが人として等しく尊重される社会を目指す日本国憲法の精神を擁護発展させる「不断の努力」を課せられているひとりひとりの人間として、本陳情採択に強く抗議し、沖縄県議会に対しては、恥ずべき本陳情の採択をすみやかに撤回すべく求めるものである。
2000年3月31日
沖縄県憲法普及協議会第23回定期総会参加者一同