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使用の裁決の申請等に係る理由説明について
平成16年3月18日
沖縄県収用委員会審理資料
(嘉手納飛行場、牧港補給地区)


使用の裁決の申請理由

 駐留軍の用に供するため、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(昭和27年法律第140号。以下「駐留軍用地特措法」という。)に基づき、貴収用委員会から使用の裁決を得て使用している土地のうち嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地について、平成15年9月2日にその使用期間が満了し、現在、駐留軍用地特措法第15条第1項の規定に基づき暫定使用しているところであります。これら土地は、引き続き駐留軍の用に供する必要がある土地で、その所有者との合意を得て使用できる見込みがないことから、平成14年7月31日及び平成15年1月28日、貴収用委員会に使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てを行ったところであります。以下、その申請理由等について説明いたします。

1 裁決申請理由
 日米安全保障体制は、我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定を確保するために必要不可欠な枠組みとして機能しており、また、我が国への駐留軍の駐留は、我が国の安全並びに極東における平和及び安全の維持に今後とも寄与するものであります。日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)の目的達成のため、我が国に駐留する駐留軍の存在は、日米安全保障体制の中核をなすものであり、また、我が国に駐留する駐留軍の活動の基盤となる施設及び区域を円滑かつ安定的に提供することは、我が国の条約上の義務であります。駐留軍に施設及び区域として提供する必要がある民公有地については、土地所有者の方々との合意により使用権原を取得することが基本と考え、土地所有者の方々との合意に努めておりますが、合意が得られない場合には、条約上の義務を履行するため、やむを得ず駐留軍用地特措法に基づき使用権原を取得しております。
 平成15年9月2日に貴収用委員会の裁決による使用期間が満了し、現在、駐留軍用地特措法第15条第1項の規定に基づき暫定使用している嘉手納飛行場及び牧港補給地区の一部土地については、土地所有者の方々との間で使用についての合意が得られる見込みがないと客観的に判断されること、あるいは、合意が得られるよう努めたところでありますが、合意を得ることができなかったことから、嘉手納飛行場については平成14年1月30日及び同年8月28日、牧港補給地区については同年1月30日、駐留軍用地特措法に定める使用権原取得の手続をそれぞれ開始し、同年5月10日及び11月8日、内閣総理大臣の使用の認定を得て、同年7月31日及び平成15年1月28日、貴収用委員会に使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てを行ったものであります。

 以下、施設別に土地の概要及び手続の概要等について説明いたします。


 まず、平成14年7月31日、貴収用委員会に使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地について説明し、続いて平成15年1月28日、貴収用委員会に使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てをした嘉手納飛行場の一部土地について説明いたします。

2 平成14年7月31日に使用の裁決の申請等を行った嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地
(1)裁決申請までの手続
@ 那覇防衛施設局長は、嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地の平成15年9月3日以降の使用について、土地所有者の方々との合意が得られなかったことから、平成14年1月30日、駐留軍用地特措法第4条の規定に基づき、土地所有者及び関係人の方々に対し意見照会を行った上、同年3月20日、これら土地について、防衛施設庁長官及び防衛庁長官を通じ、内閣総理大臣に、使用認定申請書を提出いたしました。
A これら土地については、同年5月10日、駐留軍用地特措法第5条の規定に基づき、内閣総理大臣の使用の認定が行われ、同法第7条第1項の規定に基づき、その旨の那覇防衛施設局長への通知及び官報告示が行われました。
B 那覇防衛施設局長は、内閣総理大臣の使用の認定の通知を受け、同年5月16日、土地所有者及び関係人の方々に対し、使用の認定があったこと並びに使用しようとする土地の所在、種類及び数量を通知するとともに、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法(昭和26年法律第219号)第28条の2の規定に基づき、補償等についてお知らせをいたしました。
 また、那覇防衛施設局長は、同年5月31日、駐留軍用地特措法第7条第2項の規定に基づき、使用しようとする土地の所在、種類及び数量を官報で公告するとともに、沖縄タイムス及び琉球新報に官報に掲載されていること及び土地の所在する市町村内の軍用地等地主会館等において公告することを掲載するとともに、土地等の調書及び図面を当該使用認定に係る土地の所在する市町村内の軍用地等地主会一館等において、縦覧を開始したところであります。
C 那覇防衛施設局長は、内閣総理大臣の使用の認定後、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第36条第2項の規定に基づき土地調書及び物件調書の作成のため、平成14年6月5日、土地所有者32名及び関係人5名に対し、文書により、土地の所在する市町村内の軍用地等地主会館等において同月29日及び30日に、立会い及び署名押印することを求めたところ、関係人1名が立会い及び署名押印を行い、土地所有者32名及び関係人4名は立会い及び署名押印を行いませんでした。
 このことから、同年7月2日、那覇防衛施設局長は、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第36条第4項の規定に基づき、内閣総理大臣に立会い及び署名押印することを求め、同月8日、内閣総理大臣は立会い及び署名押印をする者を指名し、同月12日、指名された者が土地調書及び物件調書に署名押印して、同調書を作成いたしました。
 なお、土地調書に添付した実測平面図は、平成13年6月及び8月に測量専門業者に発注し、いわゆる地籍調査作業により現地において調査測量した成果に基づき、同年9月に作成いたしました。
 手続対象土地の大部分は、沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法(昭和52年法律第40号。以下「位置境界明確化法」という。)に基づく位置境界明確化手続を完了しており、また、同手続を完了していない一部土地については、その位置境界明確化作業を通じ、現地に即して特定できる状態になっております。
D 那覇防衛施設局長は、前述のとおり駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法所定の裁決の申請に必要な手続及び書類の作成を了したことから、平成14年7月31日、貴収用委員会に対し、本件土地の使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てを行ったところであります。

(2) 裁決申請に係る施設及び土地の概要
 使用の裁決の申請に係る土地は、それぞれの施設全体と有機的に一体として機能しているもので、その状態は、平成15年9月3日以降も何ら変わりありません。
 このことから、これら土地は、同年9月3日以降も土地所有者への返還が可能となるまでの期間、引き続き当該施設の用地として使用する必要があるため、当該土地の所有者に対し賃貸借契約による使用を依頼しましたが、土地所有者の方々の合意を得ることができなかったことから、平成14年7月31日、貴収用委員会に使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てを行ったところであります。
 これら土地の裁決申請に係る概要は、次のとおりであります。
 以下、施設名、その所在する市町村名、施設の概要、所有者数、筆数、使用しようとする土地の実測面積及び使用の方法の順に申し述べます。

@ 嘉手納飛行場は、沖縄市、嘉手納町及び北谷町に所在し、現在、第18航空団管理の下、第18運用群、第18施設技術群、第603軍事空輸支援中隊、在沖米海軍艦隊活動司令部等が使用しています。使用の裁決の申請を行った土地の所有者数は23名、筆数は21筆、面積は2万3千251.34平方メートルであり、飛行場地区の着陸帯敷地、エプロン敷地、修理工場敷地、資材置場敷地等及び住宅地区の家族住宅敷地、隊舎敷地、駐車場敷地、学校用地等として使用します。
A 牧港補給地区は、浦添市に所在し、現在、海兵隊キャンプ・バトラー基地司令部管理の下、第3海兵役務支援群、第3海兵営繕大隊及び第3補給大隊等が使用しています。
 使用の裁決の申請を行った土地の所有者数は2名、筆数は4筆、面積は1千465.37平方メートルであり、事務所・倉庫・工場地区の車両整備工場敷地及び住宅・隊舎・資材置場地区の家族住宅敷地、資材置場敷地、道路敷地、排水路敷地等として使用します。

(3) 使用期間
 日米安全保障体制は、我が国を含むアジア太平洋地域の平和と安定を確保するために必要不可欠な枠組みとして機能しており、また、我が国への駐留軍の駐留は、我が国の安全並びに極東における平和及び安全の維持に今後とも寄与するものであります。したがって、日米両国政府とも日米安全保障条約を終了させることは全く考えておらず、駐留軍の駐留は、今後相当長期間にわたるものと考えられ、その活動基盤である施設及び区域も、今後相当長期間にわたり使用されると考えられます。
 このため、那覇防衛施設局長は、平成14年7月31日、嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地について、今後とも円滑かつ長期にわたり安定的使用の確保を図る必要があることから、使用期間を平成15年9月3日から10年間として裁決申請したものであります。

(4) 損失補償金
@ 損失補償金は、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第71条の規定に基づき、使用しようとするそれぞれの土地の面積に、地代単価を乗じて算出した金額に、複利年金現価率7.7217を乗じて算出いたしました。

A 地代単価は、不動産鑑定士に平成14年5月10日の使用認定時の土地の正甫賃料の鑑定評価を依頼し、その評価額といたしました。

B 複利年金現価率は、10年間の使用期間に係る年利率を5パセントとして算出いたしました。

(5) 権利取得の時期
 裁決申請書に記載した権利取得の時期及び明渡申立書に記載した明渡しの期限は、平成15年9月3日としています。
  なお、裁決申請に係る土地については、同月2日以前に必要な権利を取得するための手続が完了しなかったため、同年8月18日及び平成16年2月23日、駐留軍用地特措法第15条第1項の規定に基づき、損失の補償のための担保を提供し、暫定使用しているところであります。

3 平成15年1月28日に使用の裁決の申請等を行った嘉手納飛行場の部土地
(1) 裁決申請までの手続
@ 那覇防衛施設局長は、嘉手納飛行場の部土地の平成15年9月3日以降の使用について、土地所有者の方々との間で合意が得られる見込みがないと客観的に判断されることから、平成14年8月28日、駐留軍用地特措法第4条の規定に基づき、土地所有者及び関係人の方々に対し意見照会を行った上、同年9月25日、これらの土地について、防衛施設庁長官及び防衛庁長官を通じ、内閣総理大臣に、使用認定申請書を提出いたしました。

A これら土地については、同年11月8日、駐留軍'用地特措法第5条の規定に基づき、内閣総理大臣の使用の認定が行われ、同法第7条第1項の規定に基づき、その旨の那覇防衛施設局長への通知及び官報告示が行われました。

B 那覇防衛施設局長は、内閣総理大臣の使用の認定の通知を受け、同年11月11日、土地所有者及び関係人の方々に対し、使用の認定があったこと並びに使用しようとする土地の所在、種類及び数量を通知するとともに、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第28条の2の規定に基づき、補償等にっいてお知らせをいたしました。
 また、那覇防衛施設局長は、同年11月22日、駐留軍用地特措法第7条第2項の規定に茎づき、使用しようとする土地の所在、種類及び数量を官報で公告するとともに、沖縄タイムス及び琉球新報に官報に掲載されていること及び土地の所在する市町村内の軍用土地等地主会館等において公告することを掲載するとともに、土地等の調書及び図面を当該使用認定に係る土地の所在する市町村内の軍用土地等地主会館等において、縦覧を開始したところであります。

C 那覇防衛施設局長は、内閣総理大臣の使用の認定後、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第36条第2項の規定に基づき、土地調書及び物件調書の作成のため、平成14年11月18日、土地所有者2,469名及び関係人3名に対し、文書により、土地の所在する市町村内の軍用地等地主会館等において同年11月30日及び12月1日に、立会い及び署名押印することを求めたところ、土地所有者4名及び関係人2名が立会い及び署名押印を行い、土地所有者2,465名及び関係人1名は立会い及び署名押印を行いませんでした。また、同年11月18日に立会い及び署名押印を求める文書を発出した後、土地所有者7名の方について死亡していることが判明したことから、これら7名の方の戸籍謄本等を取り寄せ、相続人の調査をした結果、32名の法定相続人が判明しました。
 那覇防衛施設局長は、これら32名の法定相続人に対して、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第36条第2項の規定に基づき土地調書及び物件調書の作成のため、平成14年12月2日付けで、同月14日及び15日に、嘉手納防衛施設事務所において、立会い及び署名押印することを求めたが、これら32名の法定相続人は立会い及び署名押印を行いませんでした。
 このことから、平成15年1月6日、那覇防衛施設局長は、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第36条第4項の規定に基づき内閣総理大臣に立会い及び署名押印することを求め、同月9日、内閣総理大臣は立会い及び署名押印をする者を指名し、同月16日、指名された者が土地調書及び物件調書に署名押印して、同調書を作成いたしました。
 なお、土地調書に添付した実測平面図は、平成13年6月に測量専門業者に発注し、いわゆる地籍調査作業により現地において調査測量した成果に基づき、同年9月に作成いたしました。これら土地は、位置境界明確化法に基づく位置境界明確化作業を通じ現地に即して特定できる状態になっております。
D 那覇防衛施設局長は、前述のとおり駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法所定の裁決の申請に必要な手続及び書類の作成を了したことから、平成15年1月28日、貴収用委員会に対し、本件土地の使用の裁決の申請及び明渡裁決の申立てを行ったところであります。

(2) 裁決申請に係る施設及び土地の概要
 嘉手納飛行場は、沖縄市、嘉手納町及び北谷町に所在し、現在、第18航空団管理の下、第18運用群、第18施設技術群、第603軍事空輸支援中隊、在沖米海軍艦隊活動司令部等が使用しています。
 使用の裁決の申請を行った土地の所有者総数は2千519名、筆総数は8筆、合計面積は1万775.65平方メートルであり、飛行場地区の着陸帯敷地及び住宅地区の家族住宅敷地、駐車場敷地、浄水池敷地等として使用します。これらの土地は、施設全体と有機的に一体として機能しているもので、その状態は、平成15年9月3日以降も何ら変わりありません。

(3) 使用期間
 平成14年7月31日裁決申請等に係る嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地の使用期間において述べた理由から、使用期間を平成15年9月3日から10年間として裁決申請したものであります。

(4) 損失補償金
@ 損失補償金は、駐留軍用地特措法第14条の規定により適用される土地収用法第71条の規定に基づき、使用しようとするそれぞれの土地の面積に、地代単価を乗じて算出した金額に、複利年金現価率7.7217を乗じて算出いたしました。

A 地代単価は、不動産鑑定士に平成14年11月8日の使用認定時の土地の正常賃料の鑑定評価を依頼し、その評価額といたしました。

B 複利年金現価率は、10年間の使用期間に係る年利率を5パーセントとして算出いたしました。

(5) 権利取得の時期
 裁決申請書に記載した権利取得の時期及び明渡申立書に記載した明渡の期限は、平成15年9月3日としています。なお、裁決申請に係る土地については、同月2日以前に必要な権利を取得するための手続が完了しなかったため、同年8月18日及び平成16年2月23日、駐留軍用地特措法第15条第1項の規定に基づき、損失の補償のための担保を提供し、暫定使用しているところであります。


4 結び
 以上、説明したとおり、嘉手納飛行場及び牧港補給地区の部土地については、現在、施設及び区域として駐留軍の用に供している土地で、引き続き駐留軍の用に供する必要のあるものでありますが、平成15年9月3日以降の土地の使用について、土地所有者との合意が得られていなかったことから、同日以降の使用権原を確保するため、駐留軍用地特措法に基づく手続を進め、平成14年7月31日及び平成15年1月28日に本裁決の申請及び明渡裁決の申立てを行ったものであります。これら土地は、裁決申請から1年以上が経過している現状にあることから、当局としては、貴収用委員会が厳正な審理の上、一日も早く使用の裁決及び明渡裁決がなされることを切にお願いするものであります。
 以上