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第99号(1998年11月30日発行)

重課税取消訴訟 最高裁判決

許せぬ不当判決

弁論抜きで一方的に決定

 阿波根昌鴻さんに対する「反戦地主である」ことによる一括・重課税の取消し訴訟は、第一審で勝訴したものの第二審では逆転敗訴し、最高裁に上告していたが、去る一一月一〇日、突然の判決で敗訴した。判決文(抄)は次のとおり。

主文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。

理由
 上告代理人新垣勉の上告理由第一点及び第二点について
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法一四条に基づき同法三条の規定による土地の使用に関して適用される土地収用法七二条所定の使用する土地に対する補償金は、所得税法三六条一項に基づき、その払渡しを受けた日の属する年における収入すべき金額として所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきものと解するのが相当である。原審の適法に確定した事実関係の下においては、上告人らが払渡しを受けた本件補償金の全額を昭和六二年分の所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきであるとした原審の判断は、結論において正当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

同第三点について
 原審の適法に確定した事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

 よって裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 最高裁判所第三小法廷

政治的だ

加藤俊也(公認会計士・会員)

 なんと理由がまるで書かれていないではないか! しかも弁護士すら判決が出されることを知らされていなかった突然の決定だ。「沖縄関連で訴訟をかかえていてはまずい」という判断によるものと思われる。非常に政治的判断であり、沖縄現地でいま抗議が起こしにくい時期を計算しての判決ではないかと思う。一〇年にわたる重課税処分の是非を巡る論争がこのような無内容な判決で終了させられるのはまことに残念としか言いようがない。(談)