軍用地を生活と生産の場に! |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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第96号(1998年6月22日発行) |
米軍用地強制使用に「待った!」
強制使用で初の却下裁決 去る五月一九日、沖縄県収用委員会から米軍用地強制使用をめぐる判断が下された。伊江島補助飛行場など一三施設のうち、嘉手納飛行場を初めとした四施設一三筆の土地に対し却下裁決が出た。理由は地籍が不明で特定できないままの土地を収用することはできないということであり、収用委がその良心と法に従い検討した結果である。 「土地を明け渡せ!」 却下対象のうち、嘉手納飛行場に二筆を共有する関東ブロックの会員は直ちに「土地を明け渡せ!」行動を開始。五月二二日は防衛施設庁に駆けつけ、用地調整室の木村氏に要求書(本『通信』前号参照)を渡し、建設大臣への不服申し立てをしないよう合わせて申し入れた。いつもの事ながら責任ある回答は一切なく「検討中です」を繰り返すばかり。 この日は沖縄でも反戦地主たちが那覇防衛施設局を訪れたところ、玄関の鍵を閉めインターホンにも応じないという歓迎ぶりだったという。行政機関として許されない対応であるばかりかこれまでも繰り返されてきたことで、いかに契約拒否地主を交渉相手とは見ていないかがわかろうというものである。 闘いは新たな段階へ 六月に入り、却下分も含めて強制使用四年裁決の出た普天間飛行場の地主に対しても裁決が届き始めた。四日にはシニアワーク東京において約百名の仲間とともに「却下裁決緊急報告集会」をもった。 一九七二年の沖縄施政権返還以降、三次の強制使用裁決が繰り返されてきた中で初めて却下裁決が示されたことの意味は大きい。反戦地主代理人として公開審理で五回にわたり意見陳述を行った松島暁弁護士からその背景を話して頂いた。 次に運営委メンバーによる寸劇で、防衛施設局との対応をわかりやすく再現してみせた。六月初めから損失補償金の支払いに来ることが予想されるためである。最後に反戦地主の池原秀明さんから裁決への評価と今後のとりくみの方向が示された。 公開審理が終り一段落したように思えるが、裁決が出たことで闘いは新たな段階に移りつつあり、有効なとりくみを提起していきたいとよびかけ集会の幕を閉じた。 裁決評価、あれこれ 前述した却下裁決の対象地はこれまで集団和解方式という方法で、契約地主の合意した位置境界から未契約地主の土地は特定されたとしてきた。しかも所有者が確認する機会を保障しないままにである。このように契約拒否地主に対する予断と差別に貫かれた、一方的な手続きの進め方は許されないとした地主の主張を認めた点を高く評価もしたい。 しかし一二施設二二九筆については強制使用を認めており、使用期間を短縮した幅が各々違うところに各施設毎に検討した努力が窺われるが、本来却下されるべきものである。 瀬名波通信施設の一年裁決は返還のための猶予期間とみられ、事実上却下といえる。土地の不当使用であると判断した点を評価したい。 楚辺通信所・普天間飛行場・那覇港湾施設の二年六ヶ月余〜四年はSACO報告の返還年度にみあう年限と思われる。楚辺通信所と那覇港湾施設にあっては米軍の使用目的からみてもほとんど機能していないものであり返還のための猶予期間で十分といえる。市街地にある普天間飛行場の危険性は県のみならず日米両政府とも認めているもので即却下くだされて然るべきものだった。さらに伊江島飛行場など八施設にあっては前回裁決と同じ五年の長期わたに亘るもので、損失補償金から差し引かれる利息の控除率を申請の五分の一に下げたとはいえ、認められるものではない。また焦点の一つであった首相の力し使用認定について「重大な瑠疵は無かった」として踏みこんで判断はできないとした。しかし申請内容に重大な違法性が存在したことは明らかにされたことであり、その点誠に残念である。 以上、評価は様々に分かれるが今回の裁決が何よりも実質審理から導き出されたものであることを強調したい。それを実現させた要因の第一は契約拒否地主・一坪共有地主たちが闘いの火種を絶やさず残り続けたことにある。公開審理では七六名に上る証言者が言葉をつくして土地収奪の不当性を訴え、その達法性を論理展開させた。 第二は公正・中立の立場を宣言し意見陳述の機会を最大限保障しようとした県収用委員会の姿勢にある。国の司法機関が容易にその責務を回避する中にあって、準司法機関が多くの制約を受けながらも示したものは大きい。 第三に安保条約に基づく土地の提供義務のみを繰り返し「審理になじみません」の一言で地主へ釈明を回避し続けた那覇防衛施設局の姿勢にある。いかに地主側の正当性を際だたせたかはいうまでもない。 (N)
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