軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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 第182号(2006年10月28日発行)

学習会に参加して

 沖縄県知事選挙をめぐって、また、キャンプ・シュワブのゲート前での平和的市民の不当な逮捕、日程が迫るパトリオット3の搬入、高江のヘリパッドの問題、そうした状況がさまざまな形で伝わってきた九月の終わり頃、私は東京で情報を流したり抗議を呼びかけたりしていました。しかし、ここではともすれば独りよがりに落ち込んでしまいがちです。こういうときこそ反戦地主の話を聞きたい、原点とは何かを確認したい、そんな思いをもって関東ブロック主催の池原秀明さんの講演会に出かけることにしました。

 池原秀明さんは、初めて参加した人たちのためにと、沖縄戦から現在に至る土地闘争の歴史を概観し、反戦地主が復帰後の日本政府による切り崩しをどのようなものであったか、どのように闘いを続けてきたか、また一坪反戦地主会が契約拒否地主の闘いにどのような新たな面をもたらしたかなどを整理されました。

 私が今回とくに印象深く思ったのは、九月二八日に福岡高裁で控訴棄却されてしまった訴訟を含め、反戦地主の闘争は「火種」であり続ける意志を示すことに他ならないという池原さんの圧倒的な姿勢でした。そしてさらに池原さんが私たちに示したのは、地代のために旧東恩納弾薬庫の跡地を自衛隊の射撃訓練場へと置換されるのを許すのではなく、生産のための土地に再生させるという新たな構想でした(旧東恩納弾薬庫跡地問題については、一〇月一七日の沖縄市議会にて、東門美津子沖縄市長は農業振興のための土地利用へと転換していく意向を示し、また日本政府が土壌汚染調査などを拒否している実態を報告しています)。

 この日、二つの光景を思い出しました。一つは数年前、知花の池原農場を訪ねたときのこと。米軍の目をかいくぐって積み上げたブロックを土台とする豚舎(現在は牛舎)は、池原さんの闘いの粘り強さと創造性の象徴です。もう一つの光景は、島ぐるみ闘争五〇周年のとき、ヌチドゥタカラの家の庭に植樹する池原さんと島袋善祐さんの姿です。石ころの多い土地を丁寧に掘り返し、苗を植える。池原さんと島袋さんの両手は、根が腐らないよう水はけをよくするため、柔らかい土のベッドを整えようとせっせと動いていました。そこから「闘い」の良質なイメージを得ることもできるように思います。

 粘り強くこつこつと、そして、木々がしっかり根をはり、枝を広げ、果実を実らせるよう手入れをおこたらない。闘いを、「生み出す」「創り出す」という行為に結びつけること。破壊を前提とする政治的な投機対象であるパトリオット・ミサイルが象徴する世界観を乗り越えていくためには、そうした破壊的なものとは対照的な「生きる」ためのヴィジョンが必要です。池原さんのお話には、そうした哲学が底に流れていたように思います。
(若林)