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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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 第182号(2006年10月28日発行)

夏芽さんの逮捕は、眠っていたネットワークを
呼び覚まし、さらにその輪を広げる結果となった


小笠原 公子
(NCC平和・核問題委員会/東アジアの和解と平和委員会)

 9月25日午前10時すぎ、平良夏芽さんが逮捕されたという緊急情報メールが、上原成信さんから発信されて10分後、教会関係のメーリングリストに、同じ情報がアップされた。

 沖縄への新基地建設を進めるプロセスのひとつとして、防衛施設庁の依頼を受けた名護市教育委員会が、キャンプ・シュワブ内の埋蔵文化財の調査に入ろうとした際、調査の本筋を踏み外していることを指摘し、基地建設のための調査に反対した人たちの阻止行動の中で、身ひとつで立ちはだかった夏芽さんが轢かれ、さらに警察に逮捕されたというニュースだった。

 1時間たたない間に8通のメールが同じ情報を伝え、この日はこの件だけで70通を越えるメールが飛び込んできた。日付が変わって翌26日朝、私の所属する教会の女性牧師から「沖縄に来てしまいました」という携帯メールが届き、その後も現地に飛んだ人からの情報が何本か届き続けた。思いつく限りの行動を、知り合いの多くが必死で試みた。

 何度名護警察に電話しても話中、ファックスが通らない、という状況は、知り合い同士もぶつかり合っていたのではないかと思う。もちろん、未だ知り合っていない「仲間」も!やがて英語にされた情報も、世界に発信された。人のネットワークは力だ。

 時々刻々現地の何人かの方から伝えられる情報からは、いつも変わらない夏芽さんと、夏芽さんをしっかりと囲む人々の信念とネットワークの強さがびんびんと伝わってきて、背筋を伸ばさせられた。うふざと教会の牧師釈放要求書は、夏芽牧師と共にある教会の力強い証として、胸に強く響いた。

 「日本キリスト教団うふざと伝道所の私たちは、信仰とキリスト者の良心による牧師の行動を全面的に支持します。」

 26日、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックから防衛庁前行動が呼びかけられた。すぐにNCC、キリスト者平和ネットと連絡をとり、前議長で現キリスト者平和ネット事務局長の鈴木さんをはじめ仲間も駆けつけた。文化財調査の名を借りた新基地建設を許してはならない、というシュプレヒコールが雨の中、響いた。

 解放されたという知らせには大喜びのメールがまた飛び交った。一貫して、キリスト者の非暴力抵抗運動を裏表なくまっすぐに実践し、言葉と身体で語りつづけ、何が真実かを証している夏芽さんの逮捕は、眠っていたネットワークを呼び覚まし、さらにその輪を広げる結果となった。

 沖縄の運動を見ると、わが身を省みれば情けないことばかりだが、それでも逃げずに連帯するぞと、いつも改めて決意する。決意せずにはすまなくなる。暴力装置である基地や、危険な核燃施設を遠い地に押し付けたまま、人間らしい生き方ができるわけがない。人を殺しても、殺させてもだめ、命こそ宝だから、みんなで大事にしあっていこうと、沖縄からいつも教えられる。

 沖縄も苦しんでいる。平和を作ることはいつも生みの苦しみだ。でも人は命を生みつづける。平和を作る生みの苦しみを、沖縄と「共に」続けよう。

 Web注1:11月10日、不起訴処分に。


 Web注2

平良夏芽牧師の不当逮捕に抗議し、即時釈放を要求します。

名護警察署署長 與儀喜正 殿

 9月25日、新基地建設に向けた遺跡調査を止めようとした平良夏芽牧師は、名護
警察署によって不当に逮捕されました。
 牧師は、調査のためにキャンプ・シュワブのゲート内に入ろうとした名護市教育委
員会の車を阻止しようとしてはねられた上、「公務執行妨害」で逮捕されました。目
撃者の証言及びビデオ映像によれば、平良夏芽牧師だけが逮捕されるのは、明らかに
不当です。
 平良夏芽牧師の行動は、命を奪う基地を拒絶し、平和を実現するキリスト者として
の祈りにもとづく、完全に非暴力な行動です。牧師の行動は、「文化財を守るための
調査であれば歓迎する。しかし、基地建設を前提とした調査は阻止せざるを得ない」
という思いに基づいています。また、「名護市教育委員会の運転者にはすまない。し
かし、どうしても止めたかった」と弁護士を通して語っています。
 牧師は現在、拘置所内において、ハンガーストライキを行っています。これは、暴
力によらない真の平和を求める非暴力の体現です。
 日本キリスト教団うふざと伝道所の私たちは、信仰とキリスト者の良心による牧師
の行動を全面的に支持します。
 平良夏芽牧師は、うふざと伝道所の主任牧師であり、礼拝・祈祷会等、教会の仕事
の重い責任を担っており、全ての信徒にとってかけがいのない存在です。
 車にはねられた時の激しさからすると、けがの具合を強く心配せざるを得ません。
一刻も早く、病院での精密検査と治療を求めます。
 私たちは、平良夏芽牧師の不当逮捕に断固抗議し、彼の即時釈放を強く要求しま
す。

2006年9月25日
日本キリスト教団うふざと伝道所役員会
沖縄南城市大里仲間96-1
電話098-945-3999