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 第178号(2006年5月28日発行)

特集 米軍再編・日米「最終合意」を撃つ!


 米軍再編/各地の動き

  米軍再編と横田基地

横田基地飛行差し止め訴訟団 福本道夫


 この1年余り「米軍再編」報道が様々になされた。憶測報道に期待や不安といった感情に踊らされた感もないではないが、5月1日の最終合意は、私たちにとって決してよい結果ではなかった。

 結果は報道でご存知だとは思うが、横田基地に関連しては、およそ次の通りであった。

  1. 航空自衛隊航空総隊司令部および関連部隊は、2010年に横田飛行場に移転する。
  2. 横田飛行場の共同統合運用調整所は、防空及びミサイル防衛に関する調整を併置して行う機能を含む。
  3. 横田空域の管制業務の一部返還を2008年9月までに行う。
  4. 軍民共同使用の具体的な条件や態様に関する検討を実施する。
 私たち横田基地飛行差し止め訴訟団は、横田基地を起因とする騒音と危険から周辺住民を守るための請求を掲げて裁判を行っており、その観点で見れば、騒音についても(国は自衛隊の移転による騒音の増加は微少であると周辺自治体に説明したようだが)、危険についても増加する今回の横田基地の変容については賛成できない。

 そもそも横田基地は、アメリカ合衆国の前線基地であり、その存在そのものが危険であることは周知の事実である。

 軍事技術の発達した現在において「敵」との距離は縮まっており、(中東〜北東の)「アジアの危険な弧」の東端に位置する日本の米軍基地は、戦略上重要な基地であることは誰もが知っている。

 米国としては、前線基地はできるだけ本国から離れた場所に設置することが、本国の安全を確保するために当然であり、本来的には日本の米軍基地に「日本国民を守る」というような意味は殆どない。 米軍人は、未だに「リメンバー・パールハーバー」の感情を持っており、「日本を守っている」という感覚の軍人はよほど無知な人なのだと思う。

 話は飛んだが、横田基地は、司令部機能を持っていること、新たにミサイル防衛の任務を持つこと等から、今回の合意は明らかに基地強化であり、私たち周辺住民にとって危険度がますます増したことを意味するのである。

 また、自衛隊の移転については、自衛隊がますます米軍に組み込まれていくことを象徴している。

 先年の自衛隊のイラク派遣に先駆けて、横田基地で、自衛隊が米軍の指導を受けて訓練をした事実が明らかになっている。 私たちの裁判における国側の対応を見ているのと同様、「この国は本当に独立国なのだろうか」という疑問を抱かざるを得ない。

 過去の歴史から明らかなとおり、横田基地は、米軍の都合だけで変容してきており、周辺住民の都合や迷惑を考えたことは未だかつてない。

 今回の合意が、今後横田基地周辺にどのような変化をもたらすのかは、少なくとも日本側の誰もわかっていない。何が起きてもおかしくないのが、軍事基地だからだ。

 日本国政府は、また、今回の基地の変容を認める発言をした周辺自治体の首長は、周辺住民に対し責任を取れるのだろうか?