軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX: 047-364-9632
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』
毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円
 第177号(2006年4月28日発行)


8月1日に

「象のオリ」の土地が返ってくる


沖縄反戦地主 知花昌一


 四月二十日、私は本人裁判を行っていた「象のオリ」の土地に対する小泉総理大臣の使用認定取り消し裁判の取下げ手続きをとった。沖縄県土地収用委員会の使用裁決にともない訴訟継続の利益がなくなったことによるものである。

 一九八七年の「日の丸」裁判から一九年、九六年「象のオリ」の不法占拠から十年である。裁判闘争については一応の終了であるだろう。けじめがついたさわやかな気分で、ささやかな祝宴を行った。

 「象のオリ」は、九五年の少女暴行事件に対する闘いの中で、知事の代理署名拒否等で、九六年四月使用期限切れになり、政府の違法な不法占拠に対する大きな闘いが組まれた。明渡し裁判で勝利し、二回にわたり立ち入りを実現し、反基地闘争の大きな一角を担ってきた。それに驚愕した日本政府は米軍用地特措法改悪案を強行採決し、沖縄県から米軍基地の強制使用についての手続きの権限を奪い、私の土地については遡及して暫定使用がなされるという異常な事態になった。

 それだけでなく、日米政府はSACOにおいて二〇〇〇年三月返還を合意したが実行せず、更に〇五年五月までの期限を設定し、強制使用認定をしたが、またしても返還せず、更に三度目の強制使用認定を行ってきた。収用委員会では〇六年三月二日、「このような経緯に照らすと起業者の対応は、土地利用に関する土地所有者の期待を奪うものとして、強い非難を免れない」と一言をつけたが、結局〇六年七月三一日までの使用裁決を行っている。

 一〇年間で三回の強制使用があり、そのたびに使用認定取り消し裁判、公開審理闘争を闘い、日本政府・米軍と渡り合い、運動でも、実態としても勝ってきたという自負がある。この間実に多くの方々の物心両面の支援をいただき、ほんとうに感謝するものであります。

 「象のオリ」の全体の返還期限は明らかになっていないが、防衛施設庁も更なる強制使用手続きが間に合わないこと、不法占拠は社会的批判を受けるなどで、私の土地だけ通路をつけて八月一日に返還することを通知してきた。

 八月一日からは戦争につながる米軍基地に自分の土地が使われなくなる。巨大アンテナの真下に、いつでも、何回でも、誰でも中に入れることになる。

 返還の日が待ちどおしい。これまで世話になり、支援をしてもらった方々と象のオリの中でささやかなお祝いをしたい。

 そして平和学習に活かしていきたいと思っている。 
   (二〇〇六年四月二八日)