軍用地を生活と生産の場に! |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
|
|
電話:090- 3910-4140 |
|
|
『一坪反戦通信』 |
毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円 |
第176号(2006年3月28日発行) |
ひんぷん沿岸案阻止にむけた運動の再構築を!成功修めた3・5県民大会文:崎原盛秀(沖縄平和市民連絡会)会場を見渡すと労働団体の旗よりも、自主的参加としての市民団体の幟(のぼり)や横断幕が目立つ。しかも聞き覚えのない耳新しいグループの参加が目につく。そして何よりも感動を覚えたのが、沖縄本島北部地域でヘリパットの建設が進められようとしている東村高江区、沿岸案滑走路の延長上に位置し被害をもろに受けるであろうと考えられるのに政府からは地元であることを無視されている宜野座村松田区、そして都市型訓練施設建設に反対し区民総体で2年近く運動を展開している金武町伊芸区の皆さんが、反基地を掲げる県民大会に初めて決起したことである。その他「合意してないプロジェクト」の若い人たちのユニークな訴え、「琉球国」の旗をなびかせ沖縄のヤマトからの訣別、沖縄独自の歩みを求める人々など、いろいろな思いや行動が交錯する会場の雰囲気はこれまでの集会を大きく峻別するものであった。運動の流動化というか、若者の運動からの離反を言われて久しいが、それが嘘であるかのように若者の参加も多く、これからの運動に豊かなエネルギーが生まれる可能性と希望が見えた。 午後3時、会場は多くの参加者で埋まっている。少なくとも1995年沖縄少女暴行事件に抗議する県民総決起大会(8万5千人が結集)の半数近くはいる。数日前までは天気予報は雨で、実行委のとりくみの弱さもあって、どれだけの参加があるか不安があった。当日は天気にも恵まれ、民衆の関心度も高く、大会の成功への危機感も相まって多くの民衆が参集した。まずはひと安心。 開会が告げられ、主催者を代表して比嘉幹郎実行委共同代表があいさつ。「沿岸案反対は県民の総意である。県民が分裂している場合ではない。沿岸案に反対するために大同団結すべきである」と述べ、暗に県知事や県政与党の弱腰を批判する。かつて西銘保守県政の副知事を務め、今なお少なからず影響力を持つ人が率先して共同代表を引き受けたということは、沖縄への基地押しつけがいかに不当で理不尽なものであるかを象徴的に示している。 県選出国会議員が登壇。型どおりのあいさつが続く。しらけたムード。司会者がいちいち拍手を求める。伊波宜野湾市長の登壇で会場の空気は一変。熱烈な拍手の嵐。日米両政府や米軍当局に対し普天間基地の即時閉鎖・撤去を求め、対等にわたりあう姿勢への共感の拍手というべきか。 久志10区の会の渡久地知佳子(とぐち・ちかこ)さんの訴えには、会場はひときわ静かになる。基地を押しつけられたがために共同体内での反目、基地と隣り合わせの生活や子どもたちの未来に対する不安などを通し、基地押しつけの不条理を鋭く批判。沿岸案を押しつけられ、豊かな漁場が破壊されようとしていることに対し漁民としての良心が許さないとして決起した名護市汀間(てぃーま)漁業組合長・勢頭弘敏さんの発言には、一段と大きな拍手がおくられた。 普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民大会は、ひとまず成功を収めた。県民大会を踏み台に「沿岸案」反対の世論は一気に沸騰する気配である。それに押され県政与党の中から県民大会を再度開くような動きも出てきた。 政府は県民大会への民衆の結集に動揺しつつも「反対が起きるのは予想の範囲」と平静を装い、「安全保障は国の専権事項」とうそぶいている。そして一方では関係大臣や与党国会議員有力者、関係省庁の役人等がめまぐるしく沖縄を訪れ、県知事・名護市長をはじめ関係市町村への「理解と協力」という名の「脅迫」と「押しつけ」が繰り返されている。他方、新たな振興策なる「エサ」でもっての説得も水面下で進められているようだ。 いずれにせよ「日米合意案はゆずれないし、地元の同意は必要としない」との強硬な構えをみせながらも「50p」の修正に応じる姿勢を示すなど、このふざけた政府内の動揺が手に取るように私たちに伝わってくる。 アメリカは日本国内での安上がり基地を維持しつつ、日本の要求に応じるかの如く見せかけ、米軍基地移転費の負担を日本政府に要求するなど、巧みな政治戦略を駆使し、在日米軍再編をなしとげようとしている。 日米の攻撃を受けてたつ沖縄はといえば、県知事・名護市長とも今のところ沿岸案反対の姿勢を貫いている。しかし3月末最終案合意が迫り動きがおかしくなってきた。島袋名護市長が「修正案」を提示したり、政府の誘いにのりひんぱんに交渉をもっている。知事も「沿岸案」をはじめ、すべての「修正案」に応じられないと明言しながら政府の交渉呼びかけには応じるなど、これまでの強固な姿勢から柔軟な姿勢に転じる気配で、雲行きがあやしくなっている。 いずれにせよ「沿岸案」での普天間基地移設代替施設計画は決定的である。そして特措法を設定しての工事強行も明確である。沖縄を利用できるだけ利用し、あげくの果ては「脅し」「裏切り」を繰り返す日本国家による沖縄支配に抗するには、圧倒的多くの民衆の蜂起以外にない。 名護反対協・命を守る会を支える強力な運動の構築を当面の課題とし、島ぐるみ闘争や全島ゼネスト構築など怒る沖縄の意志表示を明確にすべきである。そのための議論を県民大会に参加した市民・労組など積極的にいま、とりくみを開始しなければなるまい。(3月25日記) |