内閣総理大臣 小泉 純一郎殿
普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会実行委員会
共同代表 比嘉幹郎/山内徳信
3・5沖縄県民総決起大会決議書の提出について
謹啓
沖縄は生物が息吹くうりずんの季節に入りましたが、貴台におかれては国政発展に日々並々ならぬご尽力を傾注されておられることに心から敬意を表します。
さて、昨年10月29日の日米安全保障協議委員会(2+2)において在日米軍基地の再編に関する日米合意(中間報告)がなされましたが、その内容に沖縄ではほとんどの自治体が反発しております。その理由は、焦点となっていた普天間基地移設問題について、過去に検討され立ち消えになっていた「沿岸案」が、地元の頭越しに合意されたからです。
稲嶺沖縄県知事が「沿岸案」に反対し、県議会や多くの関係市町村でも「沿岸案拒否」を内容とする決議や意見書が全会一致で採択されております。しかし、政府と沖縄側との問に大きな乖離が存在しており極めて残念でございます。その乖離は、日米安保及びわが国の安全保障が国事務であることを背景に、自治体や地域に国策を一方的に押しつけようしていることに対する沖縄県民の感情を政府において真摯に受け止めておられないことに起因すると考えました。
そのために私たちは「沖縄県民の総意を見えるような形で政府に伝えるべきだ」いうことで行動を起こし、去る3月5日(日)、宜野湾市の海浜公園多目的広場で約3万5千人が結集して「普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会」を開催致しました。この大会におきまして別紙の決議書を万雷の拍手を以て採択致しました。
実行委員会結成から1ヶ月後にこれだけ多くの県民が結集したということは、あらためてマスコミ世論調査結果を裏付けており、「沿岸案反対」は沖縄県民の総意の証になったものと思っております。
どうか政府におかれましては、この大会決議に込められた沖縄県民の意思を真摯に受け止めて頂き、以て米国政府との交渉に臨んで下さるようよろしくお願い申し上げます。最終報告で沖縄県民の意思が反映されることを信じております。
普天間基地の移設先「沿岸案」に反対する決議
昨年10月29日、日米安全保障協議委員会(2十2)において在日米軍再編に係る「日米同盟:未来のための変革と再編」が関係自治体の頭越しで合意された。
最大の争点になっていた普天間基地の移設先について、1996年のSACO合意に基づいて強行に押し進めてきた名護市辺野古沖計画を断念し、新たに大浦湾からキャンプ・シュワブ南沿岸部の地域に滑走路(1,800m)と駐機場を含むL字型の基地を建設するという計画、いわゆる「沿岸案」が示された。この「沿岸案」は、SACO合意前に何度となく検討された経緯があり、安全・騒音・環境問題がクリア出来ないということを理由に立ち消えになったものである。
政府は在沖米海兵隊の7〜8千人削減を以て大幅な負担軽減であると強調しているが、基地被害の元凶とされる実戦部隊(キャンプ・ハンセン、シュワブ)の歩兵大隊の削減はない。また、嘉手納基地から南の米軍基地機能の大部分を北部(キャンプ・シュワブ)に集約することと、在沖米軍基地を自衛隊と共同使用することなどを日本政府は示唆している。
さらに、現行法で県知事に与えられている公有水面の埋め立て許認可権限を取りあげるための特別措置法制定が検討されていることが伝えられている。地方自治を否定し、強制的に新基地建設を押しつけるための特措法制定を私たちは絶対に許すことは出来ない。
「沿岸案」に沖縄県民の72%が反対しており、その内84%が普天間基地の米国移転を求めている。また、稲嶺県知事、名護市長をはじめ関係市町村長もこぞって「沿岸案」に強く反対している。県議会及び関係市町村議会でも「沿岸案反対」の意見書が全会一致で採択されている。このように「沿岸案反対」は正に県民の確固たる総意となっている。
日本政府は沖縄県民の意思・総意を真摯に受け止め、米国政府との交渉に臨むよう強く求めるものである。
2006年3月5日
普天間基地の頭越し・沿岸案に反対する沖縄県民総決起大会
(内閣総理大臣/外務大臣/防衛庁長官/沖縄及び北方対策担当大臣/防衛施設庁長官あて)
3月5日の県民大会の決議文(前頁)を持って、同大会実行委員9人が去る15日に東京へ来て政府に抗議・要請行動を行なった。実行委員9人は翌16日、参議院議員会館で「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」が開いた院内集会(参加者60人)に参加した。
実行委の比嘉幹郎共同代表は「合意には超党派で反対。県議会決議に沿って(反対)行動しようということになった。県民の総意は政治的思惑を超えたものだ。決議を昨日から今日も関係官庁に届けた」と発言。山内徳信共同代表も「官邸では『ものわかりのいい』対応だった。防衛庁では最初から時間を気にして、比嘉代表が切々と訴えているのに(終わりにしようとした)。子どもの遣いではないのに」憤慨したと発言した。ヘリ基地反対協の大西照雄代表委員は「特措法には一緒に反対してほしい」と語った。
同実行委はこの日、外務省の伊藤政務官と会って要請したが、同政務官が「(沖縄の)民意は尊重したい」と述べたことを明らかにした。(編集部・Y)
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