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『一坪反戦通信』
毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円
 第174号(2006年1月15日発行)

新刊紹介

『沖縄は基地を拒絶する』

大問題に触れなかった全国紙

高文研・梅田正己

 今この国のマスメディアはすっかり眠りこけて(死にかけて?)いるようです。

 そのことを象徴的に示していたのが、今年元日の全国紙の紙面でした。朝日、読売、毎日の分厚い紙面のどこをさがしても、「憲法」「米軍再編」「沖縄」の文字は見あたらなかったからです。

 以前、元日の新聞は、今年はどのような年になるかを予想し、その焦点となるテーマを中心に記事を組んでいました。そこに、その新聞の見識や気概を読み取ることが出来たものです。しかし今年の三紙の紙面からはほとんどそれらを感じ取ることが出来ませんでした。

 三紙の社説の表題は、次の通りです。「武士道をどう生かす」(朝日)、「人口減少時代へ国家的対応を」(読売)、「壮大な破壊後の展望が大事」(毎日)

 憲法について、井上ひさし氏は司馬遼太郎の言葉を借りて「この国の基本のかたち」を決めるものだと定義しています。昨年10月28日、自民党はついに「新憲法草案」を発表しました。その制定に向けて国民投票法案も準備しています。もし仮に「新憲法」が実現すると、「この国の基本のかたち」はがらりと変わってしまうのです。これ以上に重要なテーマが他にあるでしょうか。

 憲法改変の焦点はいうまでもなく9条です。その9条を実質的に骨抜きにする工作がいま全国民の目の前で進行中です。自民党「新憲法草案」発表の前日、10月27日に報道された「米軍再編」にもとづく在日米軍基地の再配置計画と、自衛隊の再編(米軍との一体化)です。もしこれが計画通りに実現すれば、日米安保条約の枠組みそのものががらりと変わることになります。これも「この国の基本のかたち」の根底からの改変です。

 こうした大問題がありながら、全国紙はそれについて全く触れなかったのです。「権力の監視」というジャーナリズムの原点を放棄したと言わざるを得ません。

 マスメディアのこうした現状を前に、沖縄に渦巻いている怒りの声を少しでも早く伝えたいと思って緊急出版したのが、『沖縄は基地を拒絶する』でした。

 今、新たな基地負担を強いられる自治体のすべてが反対を表明しています。沖縄を中心に、各自治体のたたかいを、この国の市民がどこまで自分自身の問題として、つまり「この国の基本のかたち」を変える問題として取り組めるかが、今後の最大の課題です。『基地を拒絶する』がそのための烽火となることを願っています。


《執筆者》
安里 英子/安里 要江/安次富 浩/安仁屋 政昭/新崎 盛暉/石川 真生/石原 昌家/糸数 慶子/海勢頭 豊/浦島 悦子/大城 立裕/大城 将保/岡本 恵徳/喜納 昌吉/金城 実/国政 美恵/島袋 善祐/新城 和博/平良 修/高良 勉/照屋 寛徳/中村 文子/比屋根 照夫/福地 曠昭/真喜志 好一/まよなか しんや/宮城 喜久子/宮城 晴美/宮城 康博/宮里 政玄/村上 有慶/屋嘉比 収/山内 徳信