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『一坪反戦通信』
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 第174号(2006年1月15日発行)

2005年12月18日

辺野古沖・ボーリング調査を阻止したぞ! 米軍再編・辺野古崎案も許さない!集会

(主催:辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会)

安次富 浩さん(ヘリ基地反対協)のアピール

 辺野古現地に沢山の皆さんが座り込みに参加してくださりありがとうございます。皆さんの支え、そして一緒の闘い、沢山のカンパが、海上での闘い、座り込み闘争に大きな力となり、あのSACO合意に基づく辺野古沖海上基地建設を撤回させることができたと確信しています。このことは互いに勝利ということで確認し合いたいと思います。


 写真集を出版します


 ちょっと宣伝ですが、12月23日にこの闘いの写真集を出版することになりました。23日というのは、新しい辺野古崎案を許さないという初めての具体的な意思表示として近辺の海人と一緒に大浦湾海上パレードをやる計画を立てています。この行動にあわせて写真集を発行します(P3参照)。

 これは南洋書房の川口さんが作りました。しかし実際のところは、全国から駆けつけてくれるいろいろな人々にこの闘争の意味などを説明する必要があります。その説明はベテランの責任者にまかされているわけです。その責任者が、留守のとき現地の誰でもが説明できるようにということで、辺野古現地で座り込み闘争を続けている若者たちが説明をつけた写真を冊子にまとめたのが始まりです。

 カラーコピーでしたが、若者がいいものを作っているよという声があり、実際に見てみるとこれは本当に良いものだということがわかり、せっかくだから出版しようということになったのです。

 このような歴史に残るような闘いは他にはほとんど無いということで、全国的な闘いになれば勝利できるということを伝えるために出版しようという運びになった。この辺野古の闘いの出発は1995年頃からなので、この頃から年代順に写真集を作ろうということでやっと完成しました。琉球新報からジュゴンの写真の版権を借りて載せてあります。この写真集は辺野古の闘いの原点が詰まっています。ダグラスさんにお願いして英訳版を製作し、世界に、特にアメリカの平和運動家にこの闘いを伝えていこうと思っています。アメリカでこの米軍基地を造ろうとした犯罪性を追及してもらおうと思っています。


 国際的な支援と全国のネットワークを

 10月26日、2プラス2で沿岸案が出ましたが、私たちはこれからどうすべきか、辺野古沿岸案をどうやって潰すかよく考えなければなりません。

 一つにはグリンピースに1週間ぐらい辺野古沖に停泊してもらって、ただ連続して停泊するのは許可が受けられないので、2〜3日の単位で少しずつ動いてもらい宣伝活動をしてもらおうと考えています。蛇足ですがこの前来たときにジュゴンを見たそうです。船長は興奮して写真を撮るのを忘れてしまったということのようです。あの地域はよくジュゴンが出る所らしいです。

 何を言いたいかというと今以上に国際的な支援を受ける必要があるということです。ジュゴン裁判が行われているし、アメリカ海洋運動センター、環境運動センターにキャンペーンを広げていってもらいたい。アメリカは、辺野古に環境を破壊して米軍基地を建設するなんて言ってはいけないのですよ。アメリカでできないものを沖縄に建設するなんて、これは植民地主義の最たるものです。そこでアメリカ現地で反撃してもらいたいと考えています。

 米軍再編で座間に第1軍団司令部の移転が行われようとしています。また岩国、厚木の夜間発着訓練が強行されようとしている。横須賀に原子力空母が初めて母港化されようとしている。このようにこの再編の焦点となっている地域では反基地住民運動が行政をまき込んだ形で盛り上がっています。やっぱりその人たちと連携をとらなければいけない。沖縄に押し付けていた問題が沖縄だけではなくなってきた。今回の米軍再編は米軍基地の自衛隊との共同使用がはっきりしている。だから全国的な問題なんです。

 そこで神奈川の実行委員と討論を始めています。この問題を全国化しようと、個々の問題を全国民に引き受けてもらおうとネットワーク作りに着手しています。このように現時点では政治闘争というものを模索していきたいと思っています。


 海上闘争は知恵の結集

 今行っている座り込み闘争は、来年3月に最終報告が出ますがそれまでは続けます。それ以降はどういう拠点作りをするか考えなければなりませんが。全国から今でも労働組合や反戦平和団体のツアーが来ます。私が思うに東大出とか京大出とか、一流の大学出の官僚が悪知恵を働かせ力の無い住民を圧迫している今の行政に対して、その現状にふわふわして従っている今の自民党政治家がいて、我々は勝てたわけですよ。

 悪知恵を働かす連中と、闘いの現場でいろいろな知恵を働かせなければならない。机の上では知恵は浮かばないが現場ではいろいろな知恵が浮かぶのです。私1人がやるのではなく皆がいろいろな知恵を出し合って現場闘争を作り上げる。だから辺野古での海上闘争というのは皆の知恵の結集ですよ。

 施設局自ら出した計画書では深夜の作業はやらないといっていた、ジュゴンに影響を与えるからといっていたのにやったわけです。私たちが毎日座り込みをするものだから金網を張ったわけです。金網を張れば絶対入らないだろうと思った。

 海人は金網をあっという間に乗り越えてその中で座り込みをする。そこで朝早くから座り込みをする。私たちも深夜座り込みをする、2交代で。

 施設局との交渉で、金網を倒そうとすることは殺人行為だ、支柱は海水にやられて腐食していていつ倒れるかわからないと迫っていった。業者は私たちに対して言っている、本来であれは1週間で解体して建て直してやる、1年以上もあのままで置いておくなんて想像も想定もしていなかった。パイプは腐食してぐらぐらしているところもある。あの網の中で座り込みをしている私たちに攻撃を仕掛けてくるのか。必ず倒れる。金網に囲まれたやぐらが倒れればそのまま海に中に沈み死ぬ。そういう殺人行為を君たちはするのかと迫ると、業者はしり込みして撤退する。

 負けたとは言えないのでいろいろ理由をつけて。あの9月の解体も台風が来るといってやぐらを解体した。
 施設局の入札した業者はまったくやる気が無いのです。木を換えさせてくれ、ボルトを換えさせてくれと言うだけで。


 県民世論が闘いを支えてくれた

 そこまでなぜ彼らを追い込んできたかを考えてみると、私たちの考えが広く市民に支持されたからだと思います。

 大きく分けて支持された理由は二つあります。

 一つは環境問題です。辺野古の海のリーフの中はサンゴが白化現象で死んで再生し始めている時期です。沖縄の海のサンゴは死滅と再生を周期的に繰り返している。サンゴがある所にサンゴは生き返るのです。辺野古はいま生き返っている。あのすばらしい海を埋め立てて人殺しのための基地を造る。しかもジュゴンが住んでいる。ジュゴンは毎日餌を食べに来ているといわれている。その餌場を埋め立てるということに対して県民世論は反対です。

 もう一つは、米軍ヘリが沖国大に落ちたこともあって更に世論の反対は何倍にも増していくわけです。県民世論が私たちの闘いを支援してくれた。80%が去年の段階で沖合に造るのを反対だった。80%といったら創価学会の人も私たちの闘いを賛成してくれているわけです。この基地建設に賛成なのは20%ですから、工事の利権業者や自民党の支持者ですよ。県民はやっぱりダメだとなったわけです。

 私たちが座り込みをやっているとき那覇署の公安刑事係長が、「私も反対だよ。安次富さんとはやり方が違うが」と言っていた。「ここに造るのは私も賛成していないよ」と言っていた。やはり県民世論は大事だ。なぜ県民世論がこの闘いを支援してくれたかというと、沖縄の海が、観光開発で自然がどんどんダメになっていく。リーフで生きているのは、沖縄本島においては東海岸だけなんです。あのジュゴンが住む海を潰してはいけないという県民世論の声です。沖国大に米軍ヘリが落ちたように人殺しの基地を造らせない、普天間の基地は速やかにアメリカに持って帰ってほしいという県民世論があった。平和と環境という大きな二つの私たちの訴えが県民に伝わり私たちの闘いを支持してくれたと思います。

 
 新たな沖縄差別

 このことが日本政府にとって怖かったのです。日本の国策が国民世論で敗れたのはあり得ないのです。そのことが今回の辺野古沿岸案に出てくるわけです。もう一回住民運動を潰してしまおう。私たちの闘いの勝利に対する挑戦状です。

 何故かといったら、金武(きん)のキャンプハンセンでの都市型訓練施設反対で地域住民が毎朝ゲート前で座り込みをやった、しかし基地内の建設は結局とめられなかった。基地内の建設物は作られてしまった。それを国は、防衛庁は考えたわけです。それで陸上案ということだったのです。

 基地建設を辺野古からどこかに持っていこうという発想はさらさら無かったということです。小泉が一昨年から沖縄の過重な負担を軽減しなくてはいかんと、沖縄でも講演したり、ヤマトにおいてもそういう話をしている。しかし、具体的になったらどういうことだ、平和のために沖縄に持ってくるんだと、抑止力が全てだと。本当に沖縄差別の最たるものです、小泉発言は。いいように解釈してまた沖縄に持ってくる。ここまで私たちはヤマト政府に蹂躙される。冗談じゃない。

 今沖縄では、いろんな角度で、今度の沿岸案の反対行動を作ろうとして動いている。今日18日、沖縄キリスト教学院大学でマスコミ労協がバックアップして、若者たちや女性たちがおばあ達を呼んでティーチインをやる。初めてですよ、こういうの。そして、沖大、琉大、沖国大の若手の学者がプロデュースするって動き始めているんです。あるいは、宮里政玄先生を含めて15人の委員会のアピールが出て、もう島ぐるみ闘争をやらなければこの沿岸案つぶすことができないって新聞などで発言しています。これは沖縄の答えなんです。今回の米軍再編に対する、沖縄に新たな差別を強制的に押し付けようとする、これに対する沖縄の答えなんです。

 今回もう一つ許せないのは、普天間を移設する、嘉手納を置いておいて、その南側のキャンプキンザー、那覇軍港とか瑞慶覧(ズケラン)基地を返還、しかし辺野古に作ることが条件ですよ、という。基地を返して欲しければ普天間の辺野古移設は条件として飲みなさいという。これは沖縄県民を分断しようとしたんですよね、南と北の。

 その分断という目論見(もくろみ)は成功していない。その後の世論調査では、中間報告に対する反対意見が圧倒的に多い。向こうのねらいに対して、瑞慶覧市では絶対に許せんという声が日増しに強くなっている。二見(ふたみ)以北の人たちも、辺野古、久志、豊原3区も反対しているんです、今までは条件付だったのに。私たちの海上行動で、作業船、警戒船の調査に来た辺野古海人も新しい案はだめだと言っている。12月23日のパレードに参加するって言っているんです。状況が変わってきている。


 全国的な闘いに

 もちろん政府はそれで手をこまねいてはいない。振興策ということで、首里までのモノレールを北部まで持ってくるという言い方もし始めています。恩納村に作る大学院大学、予算がつかないんです。今そういう風にして脅かしに乗る人は、絶対にいないと僕は思うんです。稲嶺知事、県知事が持っている埋め立ての権限、新しい案も埋め立てをしなきゃいけないわけだから、埋め立て案に関する知事権限を特措法で奪うって言っているわけです。

 沖縄だけの特措法と思ったらみなさん大間違いですよ。あの太田知事時代に強制使用の問題で米軍用地特措法というのが導入されましたね。あの時、野中広務ですら危険だと言ったあれは、今、有事法制の中で生かされている。今回沖縄だけの問題だと思っているけど、彼らの狙いは、地方自治を介入させないってことなんですよ。米軍とか自衛隊に関わる新しい基地を作るとか、拡張するとかって時にさまざまな環境影響法を使わせないと。あるいは、埋め立てに関して知事権限を取ってしまう。日米軍事基地問題の先駆だということです。そういうことがいずれ出てきますよ。沖縄だけの問題じゃないんです。

 そのことをきちんと理解して欲しいし、理解すべきだと思います。今回の中間報告については、二枚舌ですよね。アメリカ政府自体が中間報告じゃない、最終報告だと。日本政府が言っているのは、少々色合いを変えて押し付けると言うことですから、私たちは、米軍基地の再編を沖縄だけじゃない、座間を含めて神奈川の人、岩国の人に押し付けてくる、このことをもっと全国的な闘いにしないとだめだと思います。そのことが今、問われていると私は思います。


 政府に迎合する本土のマスコミ

 本土の大手マスコミがきちんと報道しませんでしたよね。

 最近でも、こういうことがあります。日経新聞で私たちの海の闘いを「海の三里塚闘争」という風に、誰がネーミングしたのか知らないけど、おそらく日経が勝手にネーミングしたんでしょうね。あれは過激派の闘いだとでっち上げをして、警察権力を導入せよと堂々といっている。だけど、彼らは一度も取材に来てないんですよ、辺野古にも。

 取材をしないのがなぜ現地の闘いがわかります?それは警察情報なんです。警察情報を鵜呑みにして、そのまま社説に書く。マスコミが権力に迎合しているんです。

 サンケイにいたっては、「平和のコストも考えるべき、沖縄では現実的な対応を望む」という。沖縄に基地を集中しておいて、自分らは安全なところにいて、沖縄の人間にコストを求める。こんなの本末転倒というか、これこそ差別なんですね。なぜ私たちが体を張ってまで反対しているのかということを見ようとする姿勢すらない。

 毎日もそうですね。毎日が傾いていくのは西山記者のあの事件以降かなって勝手に推測してますけど、毎日も権力に迎合的になってる。


 島ぐるみ闘争を

 こういう状況の中で、私たちはどう闘っていくのか、ここでは具体的なことは申し上げられないけど、神奈川県の人たちと楽しい運動をしていこうとなっていますから、そのうち提案をしていきたいと思います。

 私たちは、現地で島ぐるみ闘争を作っていこうと思っています。今、意見広告運動では平和市民連絡会を中心に動いてます。さっき言った若者達が動いています。先日3名の若者が来て、辺野古の浜で基地を作らせないコンサートをやりたいと。今までだったら、まよなかしんやさんだとか、海勢頭(うみせど)豊さんとか固定しているけど、一度も参加をしたことのない若者が申し入れに来てるんです。楽しみにしています。

 あるいは平和センターの会議の中で、大田県政によって作られた県民投票で、普天間はすぐに閉鎖、辺野古移設は県内移設は駄目だと、こういう声を作っていくための動きが、この大きなうねりと平行しながら動いています。

 来年11月に県知事選挙があります。1月に名護市長選挙もあって、来年沖縄は選挙の年なんですね。その中で米軍再編ノーであるという選挙を作り上げていかなければと思っています。

 最後になりますけど、名護市長選挙については、ご心配をかけていますが、私自身は大城さん、我喜屋(がきや)さんという両陣営に対して、今政府との喧嘩をやっている時統一して市長選挙を闘うべきだ、ノーという声を突きつけようじゃないかということを申し入れています。これがうまく行くかどうかわかりませんが、とにかく、最後まで私は求めて行きたいと思います。実際に統一すれば勝てる選挙だと思います。

 投票率から見れば、名護の市議選でも保守系野党も含めた票差では勝っているわけですね。沖縄中が新しい基地はイヤだ、辺野古はイヤだといっているわけだから絶対勝てると思う。お互いの面子(めんつ)じゃないんだ、大同団結をしようと言っています。

 何とか成功に終わればいい訳ですけれども、最悪の場合でも私が言っているのは、選挙がすべてじゃない。岸本市長の8年間最も苦しい闘いをやってきた、もし選挙で負けても闘いは政府との喧嘩であって岸本体制は崩れたのだと。

 勿論影響はありますよ、しかし負けたからといったって、怒りの旗を降ろすわけにはいかんのです。絶対に作らせない現場を「命を守る会」を支えながらしっかりやっていくつもりです。

 (テープ起こし・編集 一坪反戦通信編集部)