軍用地を生活と生産の場に! |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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『一坪反戦通信』 |
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第172号(2005年10月28日発行) |
公開審理報告:施設局が返還の遅れを陳謝—象のオリの強制使用—(10月6日、読谷文化センターで)10月6日(木)、読谷村文化センターにて、米軍楚辺通信所(通称・象のオリ)の一部土地の国による強制使用延長申請を受けての第1回公開審理が、沖縄県収用委員会によって開かれた。当該土地の所有者は知花昌一さん。 知花さんは、公開審理の前段集会で、「2001年3月31日に自分の土地の返還の約束をされながら、それが履行されず強制使用の手続きをとられて今年5月31日まで強制使用されてきた。そして今年5月31日に返還の約束をされながら、それが履行できないとのことで、5月31日から現在にいたるまで暫定使用ということで、一切の自分の権利が剥奪されている。いわば日本政府は2回も約束を反故にした。」と強く訴えた。このことは公 開審理の席上でも訴えられることとなる。 公開審理は、収用委員の挨拶ののち、まず那覇防衛施設局の堀田施設部長による、強制使用の申請理由の説明の陳述がなされた。その中で、既に代替通信施設の建物及びアンテナ工事は完了しているとしながら、通信システム製造の遅れから、代替通信施設の完成が遅れる状況となったと説明。その上で、知花さんの土地は、アンテナ敷地として楚辺通信所の施設全体と有機的に一体として機能しているので、代替通信施設の完成後、当該土地に所在している物件を撤去して知花さんに引き渡すまで(つまり6月1日以降)、強制使用する必要が生じた、とした。そして、強制使用期間は今年6月1日から2006年7月末日までの1年2ヶ月間を申請した。申請理由の説明の最後に、代替通信施設の完成の遅れから土地の返還が遅れることに対して「所有者に迷惑をかけて申し訳ない」と陳謝した。 那覇防衛施設局の理由説明を受けて、知花さん側からの求釈明が行われ、これ以降、那覇防衛施設局がそれに答えながら、様々なやり取りが為されることとなる。 求釈明の申し立て事項は18項目。以下簡単に列記すると(1)5月31日の使用期限までに返還できなくなった理由(2)6月1日以降使用継続の理由(3)申請理由の「極東」の意義と範囲(4)6月1日以降の使用について、地権者といかなる協議をしたのか(5)代替施設建設が遅れた理由(6)対象土地を返還して、楚辺通信所に如何なる不都合が生じるのか(7)土地調書図面の作成者・作成日(8)土地調書・物権調書の作成者・作成日・立会い及び署名押印はどのように求めたか(9)代理署名をした者の氏名・職務上の地位(10)楚辺通信所の使用状況・管理状況(11)同、軍事的役割、任務(12)同、土地所有者の数及び賃貸借契約の状況・経緯(13)林立するアンテナの機能(14)対象土地の全部を使用する必要性(15)使用期限を1年2ヶ月とした理由(16)損失補償金の地代単価を算出するために依頼した鑑定士名(17)福利年金減価率5%とした理由(18)来年9月1日までに土地を返還できる保障はあるのか…という項目である。今回はこのうち(1)〜(10)、(15)についてやり取りがなされた。 申請理由にもある返還の遅延の理由について、二度も約束を反故にされた知花さんは「理由が当たっているのかどうか。本当にそういう理由なのか。」と追及する。そして知花さんの土地に関しては、1998年の6月1日で米海軍省の象のオリの部隊は解体しており、使用は必要ないとのことで機能が停止されている状況であることを訴えた。 また代替施設の建設が遅れた理由のところで、「予測できないような理由があって工期を延期せざるを得ない場合がある」と施設局側が答弁したのに対して、収用委員会からも「期限についてどういう内容となっているのか知りたいので、きちんと書面で提出してくれ」と依頼される場面があった。そこを受けて知花さんの代理人として反戦地主会の有銘政夫さんは、施設局のいい加減さを追及しながら、こういった様子で2回も約束が反故にされているとし、「適当に言うのではなく、まじめに提出してくれ」と訴えた。 更に知花さんは、象のオリ部隊が解体し、1997年9月11日には解体式までやったと報道されていて、その根拠として「ハンザ(波平地区)海軍通信保全軍の活動を廃止し、以下を撤去する」との米大佐サイン入りの命令書の存在を指摘。この事により、海軍省直轄の施設だった象のオリは、国防通信沖縄分遣隊が使用ということになっていることを追及した。これは現在キャンプ・ハンセンにつくっている「代替」も国防省が管轄するということになり、米陸・海・空3軍が使用するとする安保条約に違反していると指摘。 また、元々海軍施設である象のオリの「代替」ではなく、国防省管轄の新設ではないかとした。このことは新設をうたわないSACOに違反していると訴えた。 一体的に使用されている楚辺通信所の一部土地の返還はできないとする施設局に対しては、知花さんは自分の土地が返還されても象のオリには何ら差し支えないとする軍事評論家の鑑定の存在を言い、弁護士の阿波根昌秀さんは、現場の再確認を訴えた。この鑑定は裁判所にも提出されている。 休憩をはさんで後半、申請理由の文面に記載されている、「極東」「アジア太平洋地域」の範囲に対する求釈明に対して施設局側が審理に「なじまない」と発言したことに対し、阿波根さん、有銘さんらは「(極東をはるか越えた)アジア太平洋地域を削除するか、なじまないとする発言を撤回しろ」と迫った。 そして現在、米軍が安保条約を逸脱し、イラクにまで沖縄から出兵していることを踏まえ、知花さんは収用委員会にたいして、「範囲を逸脱した使用がなされている、やろうとしている」事への認識を求めた。 全体を通して、「負担軽減」を言いながら、反戦地主をはじめとする沖縄の「土地を還せ」とする訴えを逆手にとって、基地強化にノラリクラリと加担しようとする日本政府の姿勢がありありと見えた。次回は12月1日(木)、13時半、読谷村文化センターにて開催の予定。 (関東ブロック O)
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