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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第169号(2005年7月28日発行)

 拝啓、沖縄県知事 稲嶺恵一様

 日頃のご活躍に敬意を表します。

 1995年9月に起こった米兵による少女暴行事件から10年、去る7月3日、またもや米兵による少女に対するワイセツ行為事件が起こりました。いったいいつまでこんなことが続くのでしょうか。いったい何人の女性が犠牲になれば、気がすむのでしょうか?

 稲嶺知事、あなたは95年10月に行われた県民大会の壇上にいらっしゃいました。あの日の気持ちをどうぞ思い出してください。まだ「たったの10年」しかたっていません。その10年間の間にも、どれだけの女性が犠牲になったかわかりません。それとも、振興策と引き換えなら県民の命や、人間としての尊厳を差し出すことができるのでしょうか?

 私は被害者の一人として訴えます。私は、高校2年生のときに米兵によるレイプを受けました。学校帰りにナイフで脅され、自宅近くの公園に連れ込まれ3人の米兵にレイプされたのです。本当に怖かった。「もう終わりだ、自分は死ぬのだ」と思いました。何度叫ぼうとしても声も出せずにいました。そのとき米兵は「I can kill you」と言いました。「殺すぞ」ではなく、「殺せるぞ」と言ったのです。

 あれから20年以上の月日が流れたいまでも、私は事件による心の傷に苦しんでいます。被害者にとって、時の長さは関係ありません。被害を受けたその瞬間から命の尽きるまで、まるで寄せくる波のように苦しみが押し寄せてくるのです。それは穏やかな波のようなときもあれば、嵐のように荒れ狂うときもあります。しかし、心の傷がなくなることはないのです。

 今回被害にあったのは、まだ小学生です。被害にあった女の子の気持ちを考えると、いても立ってもいられなくなります。どれほど恐ろしかったことでしょう。私は基地を押し付けようとするすべての人に言いたいのです「あなたのお子さんであったならどうされるのでしょうか?」と。それはきっと、稲嶺知事も同じだと思います。

 稲嶺知事、こんなにも多くの被害が起こる原因はいったい何でしょうか。私達「被害者」が、「沖縄人」がいったい何をしたというのでしょうか。基地があると言うだけで、朝から子どもを遊びに出すこともできないことが、私達の望む沖縄の姿なのでしょうか。

 米兵達は今日も我が物顔で、私達の島を何の制限もされずに歩いています。仕事として「人殺しの術」を学び、訓練している米兵達が、です。稲嶺知事、一日も早く基地をなくして下さい。それは、県民の80%以上が望んでいることなのです。基地の県内移設に「NO」と言って下さい。ここならだめ、あそこならOKと言うことはありえません。なぜなら、事件の多くは基地の外で起きているからです。沖縄はアメリカ・米軍のために存在しているのではありません。

 県民の命を守る重要な立場にあり、日頃から県民のことを考えているあなたのことですから、きっと私の意見を参考にして下さると思います。あなたの度重なる要請も、このままでは何の効果もなくなってしまいます。ぜひご検討くださり、「県民の命を守る知事」「沖縄の歴史に残る知事」となってください。一日も早いご英断を、お待ちいたしております。

 被害者として 富田由美(仮名)※原文のまま


 出典:性暴力もう二度と/被害女性、知事に手紙 (沖縄タイムス 2005年7月9日)