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『一坪反戦通信』
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 第166号(2005年4月28日発行)

イラクから帰ってきた米軍ヘリ


 琉球新報によると、イラクに派兵されていた在沖米海兵隊の第31海兵遠征部隊(31MEU)ヘリ部隊が4月1日(金)午前、沖縄に帰還した。昨年8月に沖縄国際大学に墜落したものと同型のCH53D大型輸送ヘリなど22機が相次いで普天間飛行場と嘉手納基地に飛来した。今回の事態は、宜野湾市や沖縄県がかねてよりヘリや部隊が沖縄に戻らないよう求めていたにもかかわらずのことである。

 ヘリの帰還に稲嶺恵一沖縄県知事は遺憾の意を示した。伊波洋一宜野湾市長は抗議の意を表明し、今後の事件・事故の発生を懸念した。また同日午後安里猛市助役が海兵隊に抗議した。更に同日午後から入学式のある沖国大でも帰還の中止を求める抗議声明を発表した。

 そして同日正午すぎ、普天間飛行場野嵩ゲート前で、宜野湾市職員労働組合、普天間爆音訴訟団、基地はいらない平和を求める宜野湾市民の会の主催による抗議集会が開かれた。伊波市長はじめ50人以上が参加したという。そのなかで普天間爆音訴訟団の島田善次団長は「県民の反対を押し切り、イラクで人殺しをした米兵が帰ってきた。断じて許すことはできない」と憤慨した。その後同日夕方には、宜野湾市の普天間第二小学校で、ゲート前集会と同じ団体の主催による「普天間ヘリ部隊は帰ってくるな!市民集会」が開かれた。市内外から約400人が駆けつけ、@ヘリ部隊の帰還中止と全米軍機の沖縄撤退A米軍機などの民間地上空での飛行中止B普天間基地の早期返還C県内移設の断念などの市民決議を採択した。集会後、参加者は北中城村のキャンプ瑞慶覧までデモ行進した。

 4月2日(土)午前には31MEUの歩兵ら約1700人が、佐世保基地所属の強襲揚陸艦エセックスなど3隻に分乗して、うるま市ホワイトビーチに到着した。これでイラク派兵の31MEUの帰還が完了したことになる。今回のことで米軍基地を抱える沖縄本島中部や北部地域では周辺住民らに治安の不安が広がった。4月1日夜からは、県警が中北部の歓楽街で特別警戒を実施し、ベトナム戦争当時の殺気立った雰囲気を思い出す関係者もいた。

 60年前の4月1日、米軍は沖縄に上陸した。伊波市長は「県民の声を無視してでも、沖縄に駐留するというデモンストレーションだ」と憤る。米軍は尚も沖縄に居座ろうとするのか。沖縄タイムス4月7日号で、沖縄対外問題研究会代表の宮里正玄さんは以下のように指摘している。「米側は、米軍再編のなかで普天間の基地機能分散を図るのは日本政府との交渉になる。31MEUはこの駆け引きのコマとして維持しておくのが米側には重要。ただし、ずっと沖縄に置くのではなく、交渉の中で放棄していくと思う。日本政府も、日米協力を進める中で、沖縄の基地機能はできるだけ維持したい。日米が決めたことを最終的に沖縄にのませるのは、本土復帰やSACOのときと同じパターン」

 今こそ沖縄内外からの米軍撤退の声を大にするべきであろう。
(O 会員)