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『一坪反戦通信』
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 第166号(2005年4月28日発行)

4月16日集会&コンサート(上野水上音楽堂)


辺野古からの訴え

平良 夏芽さん(沖縄平和市民連絡会)


 こんにちは、お集まりいただきましてありがとうございます。

 沖縄の辺野古に基地が新しく作られると決まってから、辺野古のオジーとオバーが座り込みを始めました。2639日の座り込みの後に、あの4月19日、防衛施設局の強行を迎えたわけです。あの4月19日から今日で363日目になります。363日目。本当に長い闘いです。皆疲れ切っています。

 国が本気になって、基地建設のために63箇所のボーリング調査を行う、しかも2004年の12月末日までにこの63箇所のボーリング調査を完了すると豪語しておりましたが、今日、今現在一箇所の穴も掘らせておりません。

 私たちは毎日辺野古の陸上で、そして海上でこの作業強行を阻止するために頑張っておりますけれども、私たちだけだったらこの阻止はなし得ていないと思っています。辺野古のオジー、オバーを中心とする多くの人たちの熱い思いに、祈り、決意、そして全国から集まってくる人たちの具体的な参加、カンパ、そして今日集まってくださった一人一人、今日ここに集まれなかったけれど思いを辺野古に繋げてくださっている一人一人、その思いと決意がボーリングの阻止を、そして現場で闘っている一人一人を守る力になっていっているんだと思います。

 私は、今日集まってくださった皆さんにお礼は申し上げません。私たちの仕事を皆さんが手伝ってくださっていると思わないからです。皆さんが、ここに集まった方、集まれなかった方一人一人が、この出来事の主人公として主体者として、本気になってきている、その一つ一つが繋がって今の奇跡を生み出しているんだと思います。

 マスコミで辺野古建設案の見直しということが報道されました。私たちは涙を流して喜びました。本当に抱き合って喜びました。しかし、この政府の辺野古見直し、この報道は、リークは、今振り返ってみると戦略的な非常に巧妙に組まれたリークだったんじゃないだろうかと思っています。全国の、今まで辺野古に関心を持ってくださっていた多くの人たちが、辺野古は終わったと、そういう誤解が全国に広がっています。辺野古の闘いは勝ったんだと。この計画はもう無くなったんだと。こういう状態を生み出すために、辺野古計画再検討という情報がわざと流されたんではないだろうか、そう思うぐらいに関心が薄らいでいます。具体的に辺野古に駆けつける人たちの人数の低下、カンパの集まり方が非常に遅くなってしまっている。色んな状況からそうではないかなというふうに思っています。

 一番最近では、ちょうど1ヶ月前の3月16日に、施設局は作業を強行しようとしました。朝6時過ぎに私たちが辺野古に集まったら、辺野古にすでにスパット台船といわれる台船が到着していました。本当に私たちは驚いて、出せる限りの船を出して、この台船が地面に穴を掘るその定位置につくことを阻止しようともがき続けました。このときに私たちを苦しめたのは、施設局でも業者でもないんです。海上保安庁です。今までずっと少し離れた所で中立的な立場を維持していた海上保安庁が、私たちに向かって牙をむきました。

 3月16日、私たちの仲間の船が5隻拿捕されました、海上保安庁に。ロープを掛けられて、引きずり回されたあげく、エンジンが外れてエンジンが海底に沈んだ船もあります。私が乗っていた船も、海上保安庁の船がいきなり私たちの船に乗り上げてきました。横に付けるんじゃないんです。私たちのボートの上に海上保安庁の船が乗り上げてきて、そして彼らがどーと乗り込んでくる。私たちが羽交い絞めにあったり、エンジンの鍵を抜かれたり、そういう目にあいました。2隻の船が自分で走ることができなくなった。私の船もハンドルのワイアーが切れて自分で操縦することができなくなりました。そういう状況があちこちで起きた。

 このままでは止めれない。それで、決意した何名かの者が海に飛び込みました。台船に向かって飛び込んで泳ぎました。泳いで泳いで泳いで、台船にしがみ付きました。台船の上にいた業者たちは、そこは危ないから横によれ、しがみ付くなら後ろにしがみ付け、業者たちは毎日顔を会わせる業者ですから、立場としては敵対していますが顔と顔を会わせ続けた結果情が移ってるんです。そこに人と人との関係があるんです。ですから、そこは危ない、どうしてもしがみ付くんだったら横によれ、後ろにしがみ付け、業者は叫んでいきます。

 そこで私たちは何をしたか、台船の上から叫び続ける業者に向かって、まずお礼を言いました。心配してくれてありがとう。そしてその声を無視することも謝罪しました。ごめん、でも前のほうが危ないというなら自分たちは前に移動すると。でないとこの船を止めれないんだと。何名もが台船にしがみ付いたまま、進行方向に自分の身を引きずって台船を引っ張っているタグボートのロープにしがみ付きました。船を止めなさいと。船を止めないんだったらこのロープにしがみ付いて行ってタグボートのスクリューの所まで私たちは行きます。そしてロープを掴みながらタグボートに近づいて行った時にやっと船は止まったんです。

 辺野古の闘いは、本当に身を挺した闘いです。命がけの闘いです。でも、皆さんがいてくださることを信じれるからそこまでできるんです。私たちは、この1周年の集会、東京で行われる集会沖縄で行われる集会、この集会を毎日海で闘っている私たちは恐れていました。なぜか、この1周年の集会を持って全国の人たちの関心が辺野古から離れてしまうのではないか、その瞬間私たちは必ず襲われるだろうと。そう思って私たちは警戒をしていました。警戒していた結果、色んな情報が重なって来週辺野古が襲われるということがほぼ確実になって、そして私たちは各マスコミにどう考えても私たちは来週襲われる、きちっと取材して報道してくれというふうに各マスコミにお願いした結果、琉球新報が21日の強行を調べ抜いて報道してくれたわけです。

 昨日、1昨日は、非常に穏やかな日でした。私たちは、ものすごい緊張でそこに待機していましたが、施設局の職員たちは何にもできない状態でした。何故21日の強行がわかったのか、どっから情報を得ることができたのか、ひたすらにそのことを私たちに確認しようと彼らはし続けていた。そのことからすると、この21日の強行の計画というのはほぼ正しかったんだろうと思っています。そうでなければあんなに真剣に情報の出所を探らないだろうと思います。21日強行の情報がばれたから、彼らはその計画を他の日にずらすか、それとも国のプライドにかけて21日の強行をするのか、これはわかりません。

 しばしば私たちは、この後辺野古はどうなるんですかと多くの方々に質問されます。一番それを聞きたいのは私たちです。何にもわからない、色んな予想をすることができる。でも、どんな評論家がどんな予想を立てたとしても、どんな情報が流れたとしても、辺野古現地は、今日止める明日止める、その連続でしかないんです。毎日が厳戒態勢で、本気で止めぬく、その日一日が終われたら今日も何とか止めることができたお疲れさん、明日も頑張ろうと、その連続でしかない。

 12月の中旬以降、彼らが強行して多くのケガ人が出て、救急車で運ばれる仲間までいて、しかしその状態がおだやかになったのも全国の皆さんが関心を持ってくださり、そして多くのウミンチュたちが辺野古に駆けつけてくださった、そのことによってケガ人が出るということはストップしました。しかし今でも強行はされ続けています。夜の間はジュゴンに配慮して作業しないと言っていた彼らが、夜の間に台船を持ってきて朝6時過ぎには作業を開始しようとしていた。本当に奇跡的なタイミングで、数分のタイミングで私たちはこれを全部止めてきているわけです。偶然です、本当に。

 来週1週間、せめて来週1週間は本当に沖縄は厳戒態勢に入ります。まだはっきりと体制は決まっていませんが、おそらく24時間体制に入ると思います。夜のうちに彼らが動いても対応できるように、そういう厳戒態勢に入ると思います。

 沖縄は、ずいぶん暖かくなってきました。私の顔色を見てくださったらわかるように、真っ黒に日焼けするような日差しになってきましたが、3月4月というと実を言うと一番水温が低いときなんです。気温が上がり続けていても水温はずっと下がり続けていく、ちょうどその境目なんです。陸上では本当に暖かいねという日差しでも、海の上ではまだまだ寒いんです。

 具体的に私がどんな格好をしているかと申し上げますと、ウェットスーツを着て、その上に作業用のジャンバーを着て、その上にカッパを着て、毛糸の帽子をかぶって震えている状態です。もちろん昼間の数時間、昼間の数時間だけ日差しが強くなると暖かいねと言って毛糸の帽子を脱いだり、カッパを脱いだりすることができる日差しもありますが、朝と夕方は風が強くて本当に寒い日が続いています。海に飛び込んでぬれたままその状態で1日ヤグラの上で、あるいは船の上で過ごすということが続いているわけです。

 来週は不慣れな方たちも含めて、覚悟のある方たちにヤグラに上っていただく必要があるんじゃないかと思っています。海上のヤグラの上に10人15人、20人近くの人が上ってくださったら施設局が強行してきても作業することはできない。でも、もし20人の人がヤグラに上るとしたら、それだけでも80人必要なんです。人数が拮抗していたら向こうの作業員と人数が拮抗していたら暴力沙汰が起きます。私たちはいつも襲われてきました。ぼこぼこに殴られてきました。私も鉄パイプで殴られました。海に突き落とされました。具体的にそういうことをしてきます。しかし、人数が、こちらの人数が多ければ向こうはあきらめるんです。具体的な人数が必要なんです。

 ですから皆さんの仲間で、時間と気力、体力のある人は来週沖縄の辺野古に結集してください。主体的に結集してください。でも集まれない人たちは、防衛庁、防衛施設庁に辺野古への強行をするなということをファックスでもメールでも手紙でも、行って直接声を届けるなり、必ず声を届けていただきたいんです。多くの人たちが辺野古のことについて感心を持ち続けている、自分たちは忘れない、絶対に沖縄と繋がってこのことを阻止し続けるんだということを声を届け続けたら、その声によって私たちは守られます。皆さんの声が止まった時に私たちはつぶされていくでしょう。

 辺野古に集まるだけが闘いではない、具体的に辺野古に集まってほしいし多くのカンパも必要です。しかしそれだけでは止めれない。多くの人たちが関心を持ってそれぞれ情報収集して、東京で声を上げ続ける。防衛庁に声を上げ続ける。そのこと全部がリンクしてやっと止めれるんだということを思ってください。

 皆が主人公です。辺野古の私たちが止めているんじゃなくて、皆さん一人一人が止めているんだという自覚と自信を持って、この後もきっちりと基地建設を止めていきましょう。そして、明日か明後日だとうれしいんですが、いつになるかわからない、白紙撤回のお祝いを、日本全国で本当に1日も早くお祝いしようではありませんか。ありがとうございました。