軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX:03-3386-2362
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』
毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円
 第165号(2005年3月28日発行)
【報告】

辺野古海上基地ボーリング調査差止請求訴訟


土田武信

ジュゴンネットワーク沖縄・事務局長

沖縄ジュゴン環境アセスメント監 視団・副団長


  昨年一二月二七日に提訴された辺野古海上基地ボーリング調査差止請求訴訟の第一回期日が三月一日にあった。私も傍聴できた。原告三氏の意見陳述や弁護団からの訴え要旨説明が行われた法廷、あるいは、法廷前後の裁判所前集会は、これで、ボーリング調査が中止されるのではないか、と思わせるほどの熱気あるものだった。

 ところで、那覇防衛施設局(以下、防衛施設庁ともいう)は三月二日付で、「(地質及び海象)調査が終了していないため」「四月七日から一年間」、辺野古地先の「(使用)期間更新協議書」を沖縄県に提出した。六十三か所の調査予定地点で一か所の掘削工事もできないまま、四月六日、その使用期間がきれるからだ。
 沖縄県は、その更新を認めるべきではない。防衛施設庁は、(1)アセス手続き上の環境現況調査とボーリング調査とを並行して実施しようとしている。しかし、ボーリングで現況を破壊・損傷させながら、環境現況調査を行えるわけがない、(2)昨年一一月二〇日、スパット台船(ボーリング用足場)設置に伴うサンゴやサンゴ礁破壊事件を引き起こした。防衛施設庁による「海底状況確認結果」はおざなり以上の問題を明らかにした。また、破壊・損傷したサンゴやサンゴ礁の回復措置を行っていない、(3)三月一六日、環境配慮事項違反事件を引き起こした。

 防衛施設庁は当初から、環境現況調査とボーリング調査の同時進行を計画していた。ボーリングをアセスの対象にしない以上、ボーリングをいつ実施しようとかまわないわけだ。しかし、環境の現況の改変が、スパット台船設置作業だけでも、もたらされており、少しでもまともな環境現況調査を行わせようとするのであれば、ボーリング調査を中止させるほかはない。

 第二に、おざなりな「確認結果」とは、設置ポイントを目指し少なくとも二回、台船設置が試みられたのに、一回目のサンゴやサンゴ礁の破壊が完全に無視されているからだ。また、台船の脚部が明らかに溝に落ち込んでいるのに、その溝が「確認結果」図面には示されていない。のみならず、一昨年、「公共用財産使用協議」に際し防衛施設庁が県に提供した書類に虚偽記載や説明の可能性があることも明らかになった。

 第三に、三月一六日、防衛施設庁は、第十一管区海保と協議の上、自ら準備した「環境配慮事項」に反しスパット台船設置を強行した。午前六時までには辺野古沖に台船を到着させ、六時三〇分(辺野古、日の出は六時三七分)には設置作業を開始した。しかし、環境配慮事項違反の設置強行は「座り込み」市民・住民グループの果敢な猛反撃を受け、台船はその日の夕方までに撤退した。防衛施設庁のいう環境配慮などというのは口先だけだ。それも、防衛施設庁が依頼した専門家から、それは「出港・帰港を含む作業時間を日の出から日没までと設定することに問題はないのではないか」との理解が示されているにもかかわらず、「日の出一時間程度後から日没一時間程度前まのでの間で設定」された「作業の時間とは、ボーリング機材を用いて掘削等の作業を行う時間」などと姑息な解釈を行ってみせた。

 さて、冒頭の辺野古海上基地ボーリング調査差止請求訴訟第二回期日は四月二六日。私は、差止の法的根拠は、辺野古現地での陸・海域での「座り込み」をはじめ、沖縄ジュゴンをはじめ生きとし生けるものの環境保全や反戦平和を求める人々の、諸々の取組みよる法創造にかかっていると思う。(三月二七日記)