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『一坪反戦通信』
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 第161号(2004年10月28日発行)

軍事機密のべ一ルに包まれて

−あわや墜落!事件は増えている?−

☆米軍大型輸送機が立川基地に☆

 九月一三日夜八時四〇分、立川市街地は異常な航空機轟音に包まれた。経験豊かな基地の町の住民の多くが、「大型輸送機が立川基地に誤って着陸しようとし、気づいて急上昇に転じた」と推測した。推測通り米軍最大の輸送機C5Aギャラクシーが着陸していたら、滑走路をオーバーランし、柵を破り、道路を横切って青梅線までつっこんでいただろう。

 自衛隊立川基地の滑走路は約千メートル、横田基地の滑走路は四千メートル。ヘリコプター中心の自衛隊立川基地と、米本土との輸送中継基地としての役割を担う横田とは全く規模が異なる。だが両基地は接近した位置にあり、滑走路も平行している。今までも米軍機が立川基地を横田と間違えて着陸しようとし、あわてて急上昇した事件が何度か起こっている。

 今回の事件は、米本土からやってきた立川も横田も知らぬパイロットの飛行だったのではないだろうか。イラク戦争で大動員され、練度の低い飛行士が使われているのではないか。黙っていれば、次は本当に大惨事が起こりかねない。沖縄普天間の事故は決して他人ごとではないのだ、と思った。

☆自衛隊も米軍も「わかりません」☆

 二二日朝、立川平和委員会と共同で青木立川市長に会い、次の申し入れを行った。

(一)九月一三、一六日夜の立川基地での異常なジェット騒音の真相を市として究明すること。
(二)調査結果にっいて、市広報で市民に知らせること。

 26日には、駅頭情宣のあとの立川基地申し入れのとき、当直司令に事実関係を聞いた。「米本土から来た輸送機が、横田の管制の導くままに目の前に見えてきた立川基地に下りようとしたことがありうる」と飛行隊将校の司令は語っていた。

 27日の市議会総務委員会で、共産党市議が関連質問をした。市環境部の騒音測定では、基地北側の砂川で九二デシベルが出ている。市の担当者は横田基地北の瑞穂町にも問い合わせていた。同夜九時一九分に着陸した機が一〇四デシベルを記録していた。その後、これは米軍最大の輸送機C5Aギャラクシーの着陸だったということが確認されている。

 だが、周辺自治体の担当者がひんぱんに資料や意見の交換がされている一方で、自衛隊も米軍も口を閉ざし「わかりません」と言っているという。もし本当に「わからない」国籍不明機の侵入だったら今頃は国をあげての大さわぎになっているはずだ。その後電話口に出た市の担当者は「軍事機密じゃないの?」というあきらめに近い声が周辺自治体担当者の間でささやかれている、と語っていた。

☆町村大臣の発言に思う☆

 たまたまTVニュースで、普天間の墜落現場を視察した町村外務大臣が「大惨事にならなかったのは、操縦士の操縦が上手かったからだろう」と発言しているのを見た。なるほど、そういう見方があったか、と感心してしまった。住民との距離が遠くなるほど、米軍を贔屓したくなるらしい。

 立川基地への着陸を思い止まって急上昇した米軍輸送機のパイロットは、実に素晴らしい技量の持ち主だ。感謝状と勲章を与えるべきではないか?全国を見渡せば、与えるべき感謝状や勲章の数は、実は膨大なのではないだろうか?そう思えてきた。

 私たちは遅ればせながら、滑走路南北の住民を対象にアンケート調査を始めた。時間が経っているので、回答は少ないかもしれない。しかし航空機騒音−軍事基地を意識して見る住民が増えるきっかけになることを願っている。立川市の担当者も、今回の事件をきっかけに、横田周辺だけでなく神奈川や広島の基地周辺自治体に照会する機会が増えているという。こういう動きが大切だ。

 潜在する事故とその軍事機密化を許さない監視の網の目を作ろう。沖縄−本土を貫いてアンテナを張り、告発を続けよう、とよびかけたい。

(加藤克子)