軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』
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 第156号(2004年5月28日発行)

ひんぷん

新聞報道に思う

—基地があるということ—

 皆さんもご承知の通り、沖縄には日本全体の75%もの米軍基地が集中しています。この基地のむこうでは、アフガニスタンやイラクの人々が逃げまどい、傷つき、命を奪われています。一方、基地周辺に住む私たち沖縄の住民は、基地から発生する犯罪に巻き込まれ、環境を汚染され、今このときも基地からの重圧にさらされ続けています。

 沖縄タイムスの2004年2月3日付朝刊の社説によると、昨年一年間の米軍関係者の犯罪は112件発生し、7年連続で増加傾向にあります。1995年の少女暴行事件の翌年は、世論の反発もあり減少していましたが、97年からは再び上昇しているのです。

 もちろん原因の中に、アメリカの起こしたアフガニスタンやイラクへの攻撃・侵略があることを忘れてはいけません。軍隊は、殺人や破壊を教え実行するところですが、そのためには、何よりも先に兵士の人格を否定し根本から破壊することから始めることは知られています。私たちの生活が営まれているそばに、このような基地の存在があること自体が異常な事態といえます。

 2004年5月21日付けの新聞に、二つの記事が載っていました。

 一つ目は
キャンプ瑞慶覧で油が流出/北谷町普天間川から海に到達
 21日の午前に北谷町北前の米軍キャンプ瑞慶覧のモータープール地区から同町内の普天間川に油が流出しているのが確認されたもので、普天間川周辺では米軍関係者が油の流出防止フェンスを張り、油吸着マットを水面に浮かべ、油を回収しています。流出した油の量や種類は分かっていません。
 皆さんは「イノー」という言葉をご存じですか?「イノー」とは島の周りを取り囲むリーフ内の海のことです。昔から沖縄の民は、「イノー」内で魚や貝、海草、塩などを取り生活をしてきました。いわば命の海です。その海が汚されているのにもかかわらず、流出した油の量や、種類が分からない。私たちの命が踏みにじられています。

 もう一つは
 「米軍機墜落想定し訓練/嘉手納屋良小児童ら350人
 嘉手納基地から約300メートル離れた嘉手納町の屋良幼稚園と屋良小学校で、21日に行われた米軍機の墜落を想定した避難訓練の様子が載っています。同地域では1962年、米空軍のKB50型輸送機が民家に墜落し住民などに死傷者を出した事件や、1968年嘉手納基地内にB52戦略爆撃機が墜落爆発、衝撃で屋良小学校の窓ガラスが割れたという事件を踏まえて、学校独自の取り組みとして毎年行われています。非常ベルと共に児童ら356人が上履きを履いたままハンカチで口を押さえ、約500メートル離れた公園まで走って避難するのです。
 ここは「戦場」なのでしょうか。今日本中のどこを探せば、このような避難訓練を行っている学校があるのでしょうか。沖縄では、日本の常識は通用しません。なぜなら、ここは日本ではなく、アメリカ軍が支配する場所だからです。

 このように、沖縄では3日に1回は米軍人軍属による犯罪が起き(しかもそれは、世論の反発や、米軍の他地域への侵略開始など、アメリカの都合によって増減する)、油の流出があっても量や種類の特定もかなわず、何よりも子どもたちの安全さえ確保されない現状があります。

 18日に行われた公開審理の中で、施設局は被害があれば補償すると言っていました。被害にあった方のいったい何を補償するというのでしょう。失われた命や、恐怖に震えた時間が補償することで帰ってくるのでしょうか。補償されれば海に珊瑚が戻るでしょうか。

 それよりも、子どもたちが安全に暮らし、基地によって環境が汚染されることがなく、この島から飛び立つもので世界のどこででも誰も傷ついてほしくないと思うのです。そのためにも、一日でも早い基地の全面撤去をと願うのです。日々目を通す新聞の端々に、沖縄に存在する基地の矛盾を感じ、憤りを覚えるのです。
 
 皆さんもぜひ、「沖縄タイムス」や「琉球新報」などの沖縄の新聞のホームページを覗いてみて下さい。そこには、如何に沖縄が日常的に米軍基地に脅かされているかを垣間見ることができると思います。
 
 私達沖縄の住民の、日常の怒りをともに感じることができると思います。そして、もっと密に連携することができるでしょう。
 
 沖縄より友情を込めて。
本永貴子