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『一坪反戦通信』
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 第155号(2004年4月28日発行)


毎日、毎日 提訴運動

歴史を後戻りさせないために―
イラクの自衛隊撤収を求め、
裁判所に違憲立法審査権を発動させよう


 一 <毎日、毎日 提訴運動>

 三月一七日より、「イラク派兵違憲訴訟の会・東京」(共同代表・尾形憲/平山基生/本尾良の各氏)が呼びかけた・毎日、毎日 提訴運動・がスタートした。これは、日本の自衛隊が遂にイラクへ派兵されたことを受け、土日を除く毎日一人ずつが・もし可能なら自衛隊がイラクから引き上げるまで・イラク派兵を違憲なものとして裁判所に提訴するという運動である。札幌で元郵政相の箕輪登氏が提訴したのを皮切りに、名古屋がこれに続き、遂に東京でも始まったものだ。

 言うまでもなく、憲法第八一条は裁判所に、「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」と、いわゆる違憲立法審査権を与えている。しかし、これまで裁判所は、憲法第九条に関する事項については、砂川事件最高裁判決(一九五九年一二月一六日)において、いわゆる「統治行為論」を述べて判断を回避して以降、違憲立法審査権の行使に消極姿勢であった。

 このような裁判所の姿勢に対して、毎日一人が提訴することで、それが職権の発動を怠っている裁判所を覚醒させるための「主権」の行使であることを裁判所に理解させることが、この運動の狙いでもある。

 憲法違反であることが明白であるイラク派兵に至ってなお、裁判所が「統治行為論」によって違憲立法審査権の行使を躊躇するならば、それは憲法第八一条が規定する「憲法の番人」としての役割を放棄したことになる。そのことを、一人一人が主権者の立場から、裁判官一人一人に問いかけるという意味もある。


二 現在の状況

 三月一七日の提訴トップバッターは、軍縮・安全保障問題の専門家であり、東京国際大学教授・ジャーナリストの前田哲男さんが担った。提訴後の記者会見で前田さんは、「今回のイラク派兵は『一見極めて明白に違憲無効』であり、『統治行為論』を打ち崩すいい機会である」と語った。前田さんに続いて、三月一八日にはルポライターの鎌田慧さんが、一九日には評論家の佐高信さんが提訴を行った。以降、国際問題評論家の北沢洋子さんなどが続々とこれに続き、今日(四月二八日)までに、三一人が提訴を行っている。また、今後の原告予定者は約百人ほどが待機している状況である。そして、すでに五月に各提訴者の第一回口頭弁論期日が予定されている。


三 原告募集

 「イラク派兵違憲訴訟の会・東京」は、現在も原告を募集中である。同会の会員となって、運動を支援していただくだけも可能である。

 同会の・毎日、毎日 提訴運動・は、原則として本人訴訟で行う(もちろん会のバックアップがあるし、訴状作成には事務局から担当者がついてアドバイスを受けられるし、訴状作成には事務局から担当者がついてアドバイスを受けられる)。前記趣旨と共に、主権者一人一人が、平和への願い・憲法への思いを裁判所に述べるためである。これは、ただでさえ制約の多い裁判所での集団訴訟では著しく困難だからだ。

 訴状のひな形はすでに出来ており、原告希望者は新たに訴状を作成するか、ひな形を利用して作成してもよい。請求は三パターンあり、A型・自衛隊の派兵差し止め+イラク特措法違憲確認+慰謝料一万円請求、B型・自衛隊の派兵差し止め+慰謝料一万円請求、C型・慰謝料請求一万円の三タイプから選ぶ。A型・B型は裁判費用(印紙代)が一万四千円、C型は千円という違いがある(なお、印紙代のほかに、訴状を送達するための郵券を裁判所に納めないといけない)。

 詳細は同会のホームページ(http://comcom.jca.apc.org/iken_tokyo/)をご覧頂くか、電子メール:nora@cityfujisawa.ne.jpか携帯電話090-5341-1169(杉山宛)に問い合わせ下さい。

 三月一七日の提訴開始を取り上げたある新聞の見出しは、この運動を「平和のリレー」と名付けていた。憲法前文は、「日本国民は……政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、…この憲法を確定する。」とする。憲法制定時の私たちの先達の思いがこの憲法である。歴史を繰り返さないための努力は、報われる。諦めたらおしまいである。是非みなさんも、「平和のリレー」に参加してください。

  福山洋子(イラク派兵違憲訴訟弁護団)
 

 (『ACT』 四月一二日号から許可を得て転載)