軍用地を生活と生産の場に! |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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『一坪反戦通信』 |
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第154号(2004年3月28日発行) |
関東ブロック総会記念講演(後編)
(2004年2月15日) 講師 安次富 浩さん ボーリング調査はさき延びに もう一つ明らかになったのは、実は教育庁文化課、環境政策課、自然保護課が、国に、防衛施設局に専門家の名前を明らかにしてほしいという文書を出しているわけです。県議会では、これは国のものですからというような言い方で公開を求めると言うことはしませんと言っていたが、文書でちゃんとやっているわけなんです。このことも暴露された。 それから名護市民アセスの公開質問状に対して一切答えてない。河川課は公開質問について施設局にどうなっているのかの意見を求めていて、その回答もゼロですね。こんなことで、皆さんは河川課としてこのような内容で本当にゴーサインを出すのかということについて追求したら、「総合的判断」という言い方をしたもんだから、総合的判断とは何なのかと、具体的に国が回答、あなた方が文書で回答を求めて国がそれについて回答を出さなければ何も総合的判断の根拠は無いじゃないかと追求をしました。 沖縄の環境保護を守っていこうという姿勢すらここには見あたらない、このようなことで本当に責任を持って行政運営できるのかということをかなり追求していきました。 この日は時間切れというのもあって、じゃああなたの回答はここまでであれば次は副知事を出せということで、副知事については皆さんと会うように私が調整をしますと、土木部長が会えるかどうかも含めてとにかく調整しますということで。ようやくここまできたという段階です。要求しても全く対応しなかったのをここまで引き出してきたということであるわけです。 これで県議会前も許可はしないだろうということで、ボーリング調査はさき延びになるんじゃないかというふうに私たちは安堵しました。なぜ安堵したかというと、このボーリング調査の機器は相当の金額なんですね。スポット台船というのが、これうちの仲間がインターネットで引き出してきたやつですけど、スポット台船何億円もします。 辺野古の海はこれからだんだん、冬場は沖縄の風との具合で、東海岸は冬場は波は静か、低気圧とかそういうのが発生しない限り、春先になっていくと波が荒くなっていく。そのかわり西側は静かになるわけですね。それで西側は海水浴場というのが多いわけですけど。で、これは琢磨さんの考え方なんだけど、ああいう物を長期に置いておくと、波が激しくなったりすると固定するのが非常に困難であって、多分長期にわたって調査するというのは3月以降非常に難しくなるはずだと。 それで毎日のように押しかけて交渉をしたり、やってきたわけですが、そういう意味では議会中にやるかどうかわかりませんけれど、とりあえず、当面のものはクリアーをしたと思っています。 毎日新聞の特報−SACOの見直し? その中で13日に毎日新聞の特報が出たわけです。朝からマスコミから電話がくるわ、あちこちから電話はくるわ、もう仕事どころじゃなかったですね。13日に今日の講演のレジメを作るつもりでいたんですけど、もうそれどころじゃなくて、マスコミから取材も受けるし、職場でホームページを開いて毎日のそのものを引き出してみたら非常に鮮明に書いてあるわけですね。 まず11月ラムズフェルドが普天間上空を飛行機で視察したら「こんな所に基地があること自体が危険は当たり前だと、事故があるのは当たり前だと、こんな所にあること自体が間違いだと、SACOの見直しをしなくちゃなんない」と。で、帰ってからすぐ国防省にそういう指示をしたと。国防総省の次官補がすぐに外務省、防衛庁にその打診を始めたと、SACOについての再検討の打診を。 最初に会った外務省の役人が「振興策とのからみうんぬんで」というような発言があったとか無かったとかという記事にありましたね。アーミテージがこの前来た時も石波防衛庁長官が会って、その件で。そういう細かい報道ですよね。要するにアメリカ政府は普天間基地の代替基地は必要ないと言っている。で嘉手納に統合しようと。嘉手納の基地の機能を若干再編して、グアム、フィリピンに持って行って、普天間の部隊をここに配置するという提案内容だと報道されているわけですね。 ここで私は、インタビューを求められて答えたのは、基地は当初は3000億円と言ってます、埋め立てるだけで、後から5000億円だと。当然関連施設を作っていったら3000億円で止まるような話しじゃないわけです。6000億円あるいは1兆円かかるかもしれない。 なぜならば、大体パイプラインを引っ張ってくる費用も出てくるだろうし。海上基地ですから真水で洗わないといけないわけですよ。真水をどこから引っ張ってくるのか。 今県内のダムというのは、それこそ今年は渇水で非常にピンチです。普天間の場合には、地下水が豊富なんです、だから立地条件としてあそこはあるわけです。嘉手納基地も地下水が豊富なんです。だから立地条件としてあるわけなんです。真水のシャワーで飛行機や空港を洗うわけです。 あるいはこの埋め立て31ヘクタールで単純計算しても、10トントラックで多分300万台の土が必要なんです。どこから土を持ってくるか。買うっていっているんです。県内かあるいはヤマトから持ってくるかしかないわけです。もし県内であればここでも基地のために土砂を、そこから自然環境が問題になるわけです。つまり3000億円で止まる事業じゃないわけなんです。 しかも、これから環境アセス、方法書が出てきます。少なくとも2年かかります。それから意見書、3年くらいはアセスですったもんだします。それで強行突破して、それから9年かかるわけです。米軍の戦略構造からすれば10数年待っておられないと。すでに普天間基地は返すと約束して7年間経過していて、後10数年待てということは米軍として待っておれんということで、日本政府に尻を叩いている要素はあるだろうと。 アメリカ政府は代替施設はいらないと言っている あるいは、今年5年計画見直しの時期ですね、アメリカの極東戦略の。アメリカは予想もしなかったイラク、アフガニスタンを攻撃、侵略しているわけなんです。そういう構造からすると、10数年作られるまで待っておられない。オスプレイの配備も決まってます。いつまでも普天間の代替基地を待っておられないかもしれない。そういう意味で、やっぱりこれだけ粘ってきて、微動だにしなかったのが、少しだけ動いたのかなあと。 今後とも粘りの闘いをしていけば、このことが本格的になるかもしれない。僕は嘉手納統合案を言っているわけじゃないんですよ。嘉手納統合案といっても基地のたらい回しですからそんな方針は持ちません。しかし辺野古問題についてはまずこれが動くんであれば、辺野古問題については解決です。SACOでもう一回論議が出て嘉手納統合案がもしでるならまたそこで闘いをすればいいわけです。今必要なのは辺野古案をつぶすことだということで、早速山内さんなどと相談して、今チャンスじゃないかと、県民的な闘いを作っていくべきではないかと提案をしています。 この毎日新聞の報道について県議会で追及してもらうことになっています。この間の環境省、あるいは施設局なんかの動き、情報公開で得た資料、全野党県議が勉強会もしています。県議会でこれを追及することになっています。一方で新たな31ヘクタールの埋め立てという問題もあるわけですから、そういうことも含めて。 毎日新聞の真偽性があるかないか、琉球新報のワシントン特派員はそのことについてアメリカ政府のインタビューを求めたら「全くないとは言えない」というコメントも取っています、僕はそれで十分だと思います。具体的にここまで出ているのに、大新聞がガセネタをトップニュースに流さないだろうということで、私たちはこれを一つの闘う武器にしながら県、国に対して攻勢を強めていきたいと思います。 アメリカ政府は代替施設はいらないと言っている。いらないのにこんな不況の中で、年金は下げ人は解雇する、こういう状況の中で何でアメリカのために思いやり予算で沖縄の自然を破壊して新しい基地を提供するのか。こんな論理、あるいは矛盾した政策はないじゃないかという形の追求をやっていきたいと思っています。 カヌーデモで県民にアピール 最後になりますけど、ボーリング調査はおそらく許可し、調査をやっていくだろうと思います。それに対して私たちは、カヌーデモ、海上デモをやって県民にアピールしていくつもりです。東京の人からカンパもいただいてカヌーを一隻購入しています。この闘いのために平良修牧師の息子の平良夏芽さんは船も買うし、それからダイビングの資格も取りました。あるいは守る会の青年富田は船の運転免許を取りました。私の仲間で大西さんも退職金の一部を取り崩して船を買いました。私は本当は泳げないんですよ。泳げないんだけど息子と一緒にカヌー練習をして、ウェットスーツをつければ沈まないだろうと言われているので、ウェットスーツも買いました。そういう決意で10数名が夏からカヌー練習を始めています。これをもっと増やしていきたいなあと思っています。 今日会場におられる皆さんも、私たちは沖縄現地で闘いをしますけど、今回毎日新聞でスクープされたような問題を外務省とか環境省とか防衛庁に抗議行動を展開してほしいなあと思います。あるいは国会議員と連携して国を追求していくことも必要だと思います。 日本政府は国民をだまし続ける政府ですよね。自民党政府はそういうことをずっとやってきたわけじゃないですか。稲嶺知事が今、地位協定の問題でやっているけど、あれ何故地位協定で一生懸命やるかというと、一方で辺野古移設問題を隠すための要素もあるんですよ。もちろん地位協定は改正しないといけないんです。本当は地位協定の改正と新しい基地を作らせないというのは両輪だと思います。そういうことをやらないで地位協定だけをやっていくのは私たちの闘いについて県民の目を向かわせない彼なりのやり方だと思います。 その地位協定の問題についても日本政府はずっとごまかしてきたわけですよね。公害問題について意見を言うことができる、あるいは立ち入り調査も施設内にできることになっているけど、そういうこと自体協定はあるのにごまかして隠していた。今回、毎日新聞の報道について、石波防衛庁長官、あるいは国会議員は、こんなの無いということを言ってます。日本政府はいつもごまかして、だましていますから、当然無いというのはあるということの裏返しだと思ってますので、政府との闘いもこれから続けていきたいと思います。 そういうねばり強い積み重ねの中で本当に少し動いた山を確実に動かしていきたいということを、最後に私たちの決意として報告に代えたいと思います。 名護市の姿勢 今からCD流しますけど、2月の8、9日、大浦湾の埋め立てについて辺野古三区と二見以北10区に名護市と施設局が説明会を持っています。そこに私たち押しかけて行政委員が地域の代表じゃないと、地元の住民にちゃんと説明をしなさいと、環境省もそういうことで助言もあるじゃないかということを、押しかけに対して名護市はシャットアウトしました。 そのときのやりとりをCD化したものです。ちょっと名護市の姿勢というものがここでわかると思いますので。 反対協:市民にちゃんと伝えるということが、内容的にも、市議会でも決議されているでしょう。 市議会で行政委員会だけじゃなくてちゃんと住民にも説明をしなさいという市議会決議があるわけです。市議会の求め先は施設局なんですけど、施設局の説明会を名護市が設定しているわけですね。 だから私たちはここで説明会をしなさいと、そういう場を設定しなさいというやりとりをやって、もう顔と顔と、つばのかかる、後から市の職員に私は排除されて、ボタンもちぎれるくらい混乱している最中の状況なんですけど。 沖縄でいえば区長がいて区長は税金とか給食費とかそういう徴収する補佐もやりながらこっちでいう区長とは全然違いますけど、区の話し合いをしていくリーダー的役割、これは互選制ですけど、行政委員というのはその補佐役なんです。 区の総意は、辺野古でもそうですけど区民大会の決議が総意なんです。行政委員は区を代表するもんじゃないんです。 基地対策室長中本という若いのとやりあって、「行政委員というのは名護市の行政機関か」ということをやりとりしています。それに対しては答えきれないんです。「あなたが環境問題で自分の住んでいる地域で問題が起きたときに、あんたは行政委員だけにお願いするのか、そんなことはやらんだろう。何で基地問題については行政委員ということで名護市はやるのか、こんないびつな行政をやるな」ということを追求して、結局彼らは言葉につまるわけですね。 今後、住民説明会をなんとか持たせる努力をやりたいと思っています。 (了)
(テープおこし・構成 一坪反戦通信編集部)
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