軍用地を生活と生産の場に! |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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『一坪反戦通信』 |
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第153号(2004年2月28日発行)
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関東ブロック総会記念講演(前編)(2004年2月15日)講師 安次富 浩さん大浦湾西側の埋め立て 何故私たちが大変かと思うのはですね、この大浦湾西側の埋め立てというのは1966年、復帰前にアメリカ海軍が発表したキャンプシュワーブ周辺の大軍港化計画を踏襲するものじゃないかということです。海上ヘリ基地そのものも構想の中にあったものです。 アメリカに対して日本政府は、海上ヘリ基地という提案をしたわけですね、SACOの最終報告で。しかし今回の提案は、それ以上にアメリカを喜ばすような形で31ヘクタール、10万坪の海を埋め立てるということを言っています。埋め立てしてケーソンブロックを作るのが、終わったら元に戻しますと言っているんですよ、説明の中で。こんなの人を騙す、ウチナンチュをこんなことで本当に騙せるのかと思うぐらい平然と施設局は言い方をしている。一方で、推進派は、辺野古の区長などはそこに埋め立てしないで、もっと辺野古側に埋め立てをしろという言い方も出てきている。いつもの通り、日本政府は沖縄の民衆、私たちをいがみあいさせていく中で着実に彼らの計画を進めていく。 何故大浦湾西側かというと、辺野古弾薬庫があるわけです。今は辺野古弾薬庫から嘉手納に持っていったり、普天間に持っていってですね、それで米軍が使用しているわけですが、そういうことをしなくても済むわけです。辺野古弾薬庫から海上ヘリ基地ができ軍港ができれば、すぐに積み込みができるわけです。 訓練激化でジュゴンを追い出す? 最近辺野古周辺はですね、キャンプシュワーブを中心に水陸両用戦車の訓練が激しくなっています。とりわけこの訓練もイラクを睨んだり朝鮮半島を睨んだような形で、時と場合によっては砂漠用の迷彩色、あるいは緑色の迷彩色の軍服を着て演習をやっている。辺野古の基地を、キャンプシュワーブを中心に金武のブルービーチなど、あるいはホワイトビーチなど非常に演習が激化している。潟原、辺野古の近くのいつも上陸訓練をするところですけど、辺野古の沖合から出て潟原、宜野座のほうまで両用戦車が回っていくんですね。つまり、そういう演習を激化するということは、ここにジュゴンが住んでいるということをわかってやるわけですから、一方ではジュゴンを追い出していく、生息環境を悪化させていく狙いも米軍にはあるんじゃないかと思います。そういうことが今激化している。 そういう中で私たちは、日本政府がアメリカ政府が要求もしないのに、埋め立てを提案しているんではないかと。アメリカにおいしいご馳走を与えていこうという、日本政府のこの間のやり方というのは露骨に出ていると思います。このことについては絶対に許せないということを、私たちはこれからも県民に訴えていきたいと思います。 ボーリング調査 退職日に許可 去年の4月から、那覇防衛施設局は県に対して、海上基地を作るために事前調査としてボーリング調査をやりたいということで申請をしたわけです。最初に漁業調整規則に基づく申請をするわけです。何故かというと、ボーリングは珊瑚礁を破壊するわけですね。珊瑚礁を破壊するためには、それを管轄する県に了解を得ないといかん。だから第一段階にそれを申請しました。これが3月31日に申請をしたわけです。 3月31日の申請で、県は同じ日に許可をしています。つまり事前に打ち合わせはかなりやられていたというのは後で判明します。沖縄大学の土田先生が情報公開でそれに関する施設局の資料を取り寄せました。そしたら3月31日提出して、3月31日で県は許可したということが判明したわけですね。 もう一つ判明したのは、もう本当にふざけた話しで、3月31日というのは県の定年退職者の辞令交付日なんです。許可した農水部長が退職した日なんです。3月31日部長が辞める日に本当に会議を持ったのかと。部長は外郭団体を含めていろんな役職を持っている訳です、挨拶回りをあちこちにしないといかんわけです。絶対に会議など持てるはずがないと。 国のやることに対して沖縄県は、反論もしない。やりとりの中で出てきた言葉が、「県益よりも国益が優先する」というのが農水部長から出たわけです。これもかなり新聞からも叩かれましたけれど、ここは沖縄県にとって自然保全条例で言えばランク1といって、絶対に環境を保全しないといけない地域なんです。そういう地域で県益よりも国益を優先して、珊瑚礁を破壊しても大したことないですよという回答を一日で出したということで、これはものすごい問題になりました。 ボーリング調査阻止のために そこから私たちもボーリング調査を絶対にさせない方法をどうするかということを考えました。97年5月に同じようにボーリング調査をやったわけです。環境アセス法で過去に資料があるものはいいということになっている。97年の資料があるからそれでいいんじゃないかと。新しくボーリング調査を63カ所もやると、その内容も前回よりも非常に大規模にわたるボーリング調査だってことも情報公開でわかりましたので、やっぱりジュゴン、珊瑚礁は破壊する。だってリーフのジュゴンが入ってくるその入り口の所もやぐらを立てるという案もあったわけですね、当初は。 そういうところから追求をしていって、更に日本自然保護連合などもジュゴンの藻場、餌もあるし珊瑚礁もあると、これはおかしいという強い申し入れもあったり。それから議会も、名護市議会全会一致でもっと調査をきちんとやれという決議も出て、その以降、施設局は新たに潜水調査っていうのをやったわけです、予算をかけてですね。当初計画になかったわけです。それで11月17日にボーリング調査の許可を得るための書類を提出したわけですね。 私たち反対協としては、このままじゃ実質的な工事着工を許すようなものだから、法的な立場でどういうふうなやり方があるかということを考えまして弁護士とも相談しました。沖縄の弁護士、正直言って安保問題には強いですが環境問題については弱かったんですね、非常に対応に苦慮しました。そういう最中、自然の権利運動をやっている名古屋の弁護士が、環境保護法律家連盟というのに所属する人たちから相談がありまして、アメリカでの訴訟と同時に県内でもっと闘いがあるはずだと。 環境アセスメント監視団結成 それで公害調停の方法をやっていこうということが出てきまして、そこから沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団というのの結成に至るわけですね。幸いにこの監視団の弁護団は、池宮城先生とか三宅さんとか違憲共闘の弁護団、それに今度の自然環境で一生懸命闘っている弁護士達10数名が協力してもらえることになって今に至っています。 私たちは、公害紛争処理法というのを読んだこともないですからその学習もしまして、当然環境アセス法も学習するわけですが、公害紛争処理法のなかで50条に防衛施設関係については適用除外という項目があるわけです。つまり、軍事基地については公害紛争処理法には該当しないという項目があったわけです。これで本当に闘えるのかということで、会議の中で論争しました。その中で整理ができたのはこの50条で言っている防衛施設関連というのはできあがったものだと。今から作ろうとしている物に対してこれは適用除外にならないという法律的解釈ができると、自信を持ってやろうというふうに弁護士からアドバイスを受けました。 県議会陳情 私たちはもう一つは、ボーリング調査をさせないために県議会に陳情を出しました。先ほど言った土田さんの情報公開で引き出した、防衛施設局が17日に出した資料の中に5人の専門家がいるわけです。5人の専門家の、ジュゴンあるいは藻場、サンゴについて今回のボーリング調査では大した影響を与えないという見解が出たわけです。何と言うことか、県に出した資料の中で専門家の名前が伏されているわけです。こんなことがあり得るかと。こういうことを国は平然とやるわけです。 名前のわからない専門家というのが、科学者として客観性を持ちうるのかということを県議会でも追及してもらいました。沖縄県はさすがにですね、その追及に対して国に名前の公表を求めないけど私たちで独自に調査をしますと、その場合には専門家の名前も内容も公表しますということを県議会の中で答弁として出してきました。 で、結局、県議会に私たちが出したボーリング調査をするなという陳情書については継続審議となっていくんです。その中で、国が出した申請に対する回答はいつごろやるのかという追求に対して、30日以内だということが出たわけです。 そうするとまた年末だと。この辺野古をめぐる問題、ヘリ基地問題についてはいつも年末なんですね、国がやることは。年末にやって、冬休み、正月休みで怒りを期間をおいて少し落ち着かせてというような、こういう手法をずっとやってきているもんですから、これまた年末かと。これはやばいということで、毎日のように県庁に対して、私たちは抗議行動をしていくわけです。 追求していく中で、県が専門家に依頼した学者10数名、これは新聞にもありましたが、そのうち9名は、自分が回答したら建設にOKというサインになってしまうから自分はこのボーリング調査は反対だから出せないということも言っている。県の自然保護課の職員はもうあちこち電話をかけまくって、専門家の了解を求めるために相当な時間を要していたということが後からわかったわけですが、ボーリング調査そのものは反対だと9名の学者が言うわけです。 ところが匿名の5名の政府が雇った学者は、ジュゴンやサンゴに影響は大して与えないという、新聞では覆面専門家ということで、無責任な助言だということで新報でも叩かれましたけど、こういうことをやっているわけです。 専門家からの助言がなかなか出てこないということで年末のほうもなくなっていくということで、じゃあ1月始めかと。ちょうど30日というのが1月6日なので、年が明けてからすぐ環境政策課とか自然保護課、河川課、これは許可を与えるところに押しかけ交渉をやって。 その押しかけ交渉をやっていく中で、アセスの学習会をしましょうという形で、自然保護課の職員とか環境政策課の職員とそこで学習会をやって、これは交渉じゃないという前提になっていますから、そこで何故内容的におかしいと思うのにあなたがたはこれを許可しようとするのかという話しをつっこんでいったら、彼らが「知事を選んだあなたがたが悪い」と。 笑いごとじゃないです、私たち悪いんだけども、しかしそんなこといって言い逃れできないわけです。現場の人間が知事に対して「やり方が間違っている」と、「将来の環境を守るためにはボーリング調査はだめだ」と何故言えないのかということなんですよ。それを言えない現場の人間そういう事大主義的なことが沖縄の今を生み出していくわけであって、あるいは沖縄だけじゃなくて日本全体でそうだと思いますよ、そういうことを生み出していくわけです。 公害調停申請 そうこうしている間に11月19日に公害調停申請をしました。なんで11月19日に公害調停を申請したかというと、この日が第2回建設協議会があったものですから、またおみやげにボーリング調査をのんでくるんじゃないかと意識的にぶつけて。そして年末もなかった。年明けも専門家の助言がまとまらないということで年明けもない。 といううちに2月3日に公害審査会がもたれる。審査会の時に、私たちはどういう結果になるか、もうそわそわして朝から県庁に待機しました。公害審査会は2時間あまり討議されています。弁護士さんが一人で他の審査員と法律論争をやったようです。50条の問題も含めて相当討議をして、結果として一応窓口却下はしないということになりました。どうするかといったら公害審査会の委員3名を選んでこれが公害審査会になじむかどうか1ヶ月間かけて審議をしますと。結果的になじまないといえば却下になる可能性あるし、あるいは自分らの範疇に及ばないということになれば、県公害審査会じゃなくて国の中央の公害審査会に回すということもあるということなんですね。そういうことの含みのあることで、このボーリング調査の問題について、公害審査会でも一応取り上げていると。 知事室前で座り込み 専門家の助言も出そろったということがあったので、県議会前に決定するんじゃないかという恐れもあって2月10日に県庁に押しかけました。この闘いの中で知事室前に座り込みをしたのは初めてです。9時半集合10時から、私は午後から一緒に座り込みました。座り込みをしてそこで知事にあわせろと、反対協として知事に面会を申し込んでいるのに、97年以降一度も話し合いに応じたことないじゃないかと。この局面に対して知事は会うべきだという申し入れをしました。 結局その日は知事は来れずじまいでした。座り込みをやって、知事の秘書課長とか、あとは窓口になっている河川課長もきて説明をした。その日ちょうど県議会の何かが入っていて部長も副知事も日程とれないという話しで、日程とれなければこのまま座り込みですよという話しから、なんとか土建部長との設定をしますということになって、じゃあ土建部長との話が、私たちの満足のいく回答をしなければ副知事に会いますというやりとりをして、それも会わせなかったら再度座り込みをするいう脅かしを含めてやりました。 3時から土木部長が出てきました。この土木部長とのやり取りの中心になるのが、2月9日に土田先生が情報公開を求めて氏名が真っ黒になっているやつ、それをちゃんと書いてきなさいということ、それからその他開示していないものもあるはずだからそれも開示しなさいという要求を出した。 同時に環境省が助言を与えている文書が情報公開で手に入りました。これは正式に入った。これからすると、例えば事前調査については広く理解できるように努力しなさいと、63カ所のポイントについても具体的に理解できるように説明しなさいとか、もしボーリング調査をやっている時にジュゴンが出没したり、はみ跡を発見した場合にはその対処策のマニュアルを作りなさいと言う助言があるわけです。県に対しては、これらは一切無いわけです。11月17日に出されたものは嘘のものじゃないかということを土建部長に追求したわけです。 (つづく)
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