軍用地を生活と生産の場に!
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX:03-3386-2362
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』
毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

 第147号(2003年6月28日発行)

日米地位協定改定

キーワードは『人権』

「米軍人・軍属による事件被害者の会」
代表 海老原大祐


 沖縄・金武町でまたもや米兵による強姦致傷事件が発生した。政府役人たちは揃って「あってはならないこと…」と他人事のようにコメントし、マスコミは揃って「米兵の身柄引渡しは…」と一七条五・C問題を集中して報道する。いつものパターンである。起訴前の身柄引渡しさえ実現すれば全てが解決できるかのような論調である。そこに被害者の人権や地位協定の本質が論議されることは少ない。


 例えば、罪を犯した米兵が日本の裁判で有罪判決を言い渡されたとしよう。しかし、地位協定上優遇された米軍は独断でその米兵を転勤(転属)させることができるのだ。

 現に私の闘った裁判でも被告米兵は禁固一年執行猶予四年の有罪判決を下されたものの、判決直後、米国本土に准尉(将校)として昇進し転勤している。結局、執行猶予のついた刑は無効となった。このように、地位協定下においては有罪の者も無罪となり得る。いかに米軍(米国)優先で、日本の主権が及んでいないかを窺い知ることができる。

 また、日本の裁判所で有罪(実刑)となった米兵等の刑の執行は遵守されているのだろうか。外務省によると横須賀にある米軍専用の拘置所で刑の執行は厳粛に行われているというがその実態は定かでない。というのも、かつてこんな報道が目に止まった。一九六〇年六月地位協定効力発生以降その拘置所内は暖冷房が完備され、食事時にはステーキが振舞われる慣習まであるというものだ。疑いたくもなるのも当然だ。

 身柄引渡し問題が重要ではあることは言うまでもない。しかし、このような事例からも分かるように、現地位協定の本質的な問題を解決しない限り、駐留された側の国民や被害者の人権は永久に保障されることはないだろう。


 九五年沖縄少女暴行事件を契機に日米地位協定が不平等な条約であることは国民にも多少は浸透したに違いない。しかし、何が不平等で不公正なのかを具体的に知る者は決して多くはない。国民から選出された多くの国会議員にしても閣僚でもそれは同じだ。

 しかし、長年に渡り米軍基地に苦しむ沖縄県民が選んだ国会議員は知らない、分からない、では済まされない。県民の必死の叫びを真摯に受け止め、超党且つ命がけで取り組む国会議員であって欲しい。 


 最近ようやく日米地位協定改定論議が高まりを見せている。自民党改定議連、全国渉外知事会、日本青年会議所等の全国的な取組み、そして沖縄では超党派による大規模な「地位協定改定・県民大会」が実現しようとしている。沖縄の米軍基地問題はようやく基地ある自治体を中心に全国規模で取り組まれるようになりつつある。中・高校生の修学旅行を通じ、本土の若者達も徐々に関心を寄せ始めている。

 米軍基地問題そして安保・地位協定問題、一見難しそうだが是非とも『人権』をキーワードに取り組んでもらいたいものだ。