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第139号(2002年9月28日発行)

巻頭言

二〇〇二年夏 
 梅香里(メヒャンニ)を訪ねて

 
 「二〇〇二年 ソウル国際女性会議」に参加した後、八月十九日帰国の前に、梅香里を訪れた。映画『梅香里』を昨年観て、韓国へ行ったら是非訪ねていきたいと考えていたからだ。

 沖縄と同じように、軍事演習地を抱える基地の村を見たかった。小高い丘の上からながめる演習風景は、あらかじめ予想をしていたものの衝撃的だった。低空飛行で民家スレスレに進入してくるジェット戦闘機。音より先に、もう海上には水柱が立ち、波しぶきが飛び散っている。

 沖合に浮かぶ沖縄の伊江島(いえじま)をミニチュア化したような島は、半分がむき出しの岩肌をさらしている。爆撃された後なのだ。

 演習中はオレンジの旗が上げられ、「訪問者は入れない」とゲートの門番が行く手をさえぎった。沖縄の黙認耕作地と同じように、爆撃地から比較的離れた基地の中では、農家の人達が黙々とコンバインで麦の刈り入れ作業を行っていた。爆撃で水しぶきが上るたび、自分の心の中に爆弾が打ち込まれるような衝撃を受ける。
 タクシーで向かう途中、一時間半の間に、約五〇台の軍用車両とすれ違った。中にはむき出しの電線をそのまま積んだ車もあり、車線すれすれの、車体の低く巾の広い装甲車も数多くあった。六月に帰宅途中の女子中学生が二人、米軍車両に轢殺された事態もうなづけた。

 沖縄とはまた違う緊張感をもつ現状を目の当たりにして、アジアの平和を願う人々がもっと現場と現場でつながっていかなくては、という思いを強くもった。              (N)