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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第138号(2002年7月28日発行)

【自著紹介】

 『やんばるに暮らす』

 本紙編集部に拙著の自薦のお許しをいただいたのだが、どうにも気恥ずかしくていけない。まして、掲載されている内容の多くは、本紙読者にはすでに読んでいただいたものだから、厚かましいことこの上もないよなぁ‥‥、でも本を作った以上は売れないと出版社にも迷惑がかかるし‥‥と思い悩んでいると、庭先から「浦島さん」と声がかかった。

 声の主は隣家の好子さん。拙著に旧姓の喜納好子で登場している(「戦争を見る前に死にたい」の項)。彼女は私のいる縁側に近づくと、遠慮がちに白い封筒を差し出した。そして言ったのだ、「出版おめでとう!」と。私はびっくりした。本ができてきてすぐ、好子さんに一冊贈呈したのだが、まさか「お祝い」をいただくなんて夢にも思わなかった。なんだか申し訳なくて、「金一封」をいただくことにはためらいもあったが、そこに込められた彼女の思いが身に染みて、ありがたく受け取った。うれしかった。

 好子さんは、「旧姓で出ているから、この本を見て、昔の同級生から連絡があるかもしれないなぁ、と思っているのよ」と言った。戦前、サイパンに移住した両親のもとに生まれた彼女は、現地の日本人学校に通った。移民はウチナーンチュが多かったが、東北や北海道の貧しい農村からも少なくない人々がやってきていた。好子さんは、その子どもたちと机を並べて勉強したのだ。「サイパン玉砕」と言われた日米の激しい戦闘に巻き込まれて、家族九人のうち七人までを失った彼女にとって、生き長らえた同級生からの「連絡」は、小さな灯にも似た希望なのだろう。

 そうだ、遠慮している場合じゃない、と私は責任感のようなものを感じた。ふきのとう書房は小さな出版社だが、それを補って、いろいろな人たちがそれぞれのつながりで宣伝してくれれば、好子さんの希望が叶えられるかもしれない。彼女をがっかりさせないように、みなさんもご協力くださいネ。
(浦島悦子) 

2002年7月25日 初版第一刷発行
四六判・224頁
定価・本体1600円(税別)
発行所 (株)ふきのとう書房
発売元 (株)星雲社
ISBN4-434-02197-4

帯から引用
戦中・戦後を生き抜いた沖縄のオバァ・オジィの生活史
地域にあるかけがえのない宝物=自然や暮らしが基地や開発によって今、壊されようとしている。子や孫の世代に引き継ぐべきものは何か――時代を懸命に生き、たたかう人びとを描く渾身のルポルタージュ。
自然と人間が共生する暮らし