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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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第134号(2002年3月28日発行) |
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【沖縄報告】 北谷女性暴行事件判決
米兵に懲役二年八月 昨年六月二九日に北谷町で起きた米兵による沖縄女性強姦事件の判決が、三月二八日午前一〇時三〇分那覇地裁で下されました。判決は三年の求刑に対し二年八ヶ月の実刑判決。判決内容は検察側の主張をほとんど全面的に認め、弁護側の主張をことごとく退けた内容です。 この事件では、地位協定一七条五項cにより「起訴以前の米兵の身柄は米軍にある」として七日後まで米兵は逮捕されず、県内では地位協定見直しの声がわき起こりました。逮捕までの七日間の間に、犯人は米軍の用意した日米の弁護士と会い、十分なレクチャーを受けています(弁護士の費用は米軍持ち)。また、裁判では、地位協定一七条九項fにより「有能な通訳」を選定し、地位協定一七条九項gにより「合衆国政府代表者」として、空軍法務者二名がパソコンを持ち込み立ち会いました(判決にはパソコンは持ち込んでいなかった)。 裁判の中で、弁護側は被害者の信用性を疑う理由として、
量刑理由では、「被告人は弁解に終始して慰謝の措置を講じていないばかりか、犯行後の被害者の心情も深く傷つけている」として、
この裁判では、テレビリンクシステムを取り入れた被害者証言や、女性検察官の採用など、随所に被害女性に対する配慮がありました。しかし、一部のマスコミによる被害者のプライバシーの侵害や根も葉もない中傷などがあり、被害者を守ろうとする地元マスコミや人権団体などの協力のネットワークの必要性を浮き彫りにしました。親告罪なので、これからも被害者が泣き寝入りをせずに、訴えることのできる環境作りを続けてほしいと思います。 情状酌量の理由に、「真面目な軍人であった」という理由がまかり通ることには、憤りを感じます。「真面目な軍人である」ということは『戦場において「真面目な殺人者」である』ことだと思います。彼は、どうすれば相手を組み伏せ、動きを奪い、征服できるか(命を奪えるか)の術を知っていました。日頃から「真面目に」殺人の訓練に励んでいたのですから当然です。しかし、彼が米国軍人として、どのような訓練、環境下で暮らしていたのか。なぜ、このような犯行に至ったのかなどは明らかにされませんでした。彼は、一般兵が六ヶ月から二年ぐらいの期間で沖縄に滞在しているのに対し、犯行時には滞在四年目を迎えていました。このことからも、彼が特殊な任務に就いていただろうことは容易に推測できます。いままで「ベトナム戦争」「湾岸戦争」など戦争時には米兵の犯罪も増えていました。どのような任務に就いているかわかれば、軍隊と性暴力についてもっと踏み込んでいけるのにと、少し残念な気持ちです。 事件後、沖縄では事件の再発防止、地位協定の見直し、などの声が沸き起こりました。事件の起こった北谷町では、県民大会が行われ、嘉手納基地沿いをデモ隊が歩きました。北谷町でこのような県民大会が開かれたのは復帰後初めてのことでした。 米兵の夜間外出禁止措置を何度申し込んでも、米軍は応じませんでした。沖縄の経済が基地に頼っていた頃は何度もオフリミッツを出したのに、オフリミッツが沖縄の世論封じ込めに役立たないと知るや、一転夜間外出を禁止しようとはしないのです。「良き隣人」というなら、危険な米兵を基地の外に出さずにいてほしいと思います。 この事件は小泉総理の訪米の最中に起こり、九・一一世界貿易センタービルへの同時多発テロの起こった日に初公判を迎えました。そこには、基地からの犯罪に苦しむ人々に銃を向け、武装した兵士を守る機動隊の姿がありました。彼らの姿はまるで「日米両政府」の姿を写しだしているようでした。 (M)
女性暴行事件の経過
(沖縄タイムス 2002年3月28日の記事から抜粋・引用)
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