「2002.2.16　エシュロン国際集会」へご参加を!

　軍事戦略の見直しを進めるアメリカ・ブッシュ政権は、1月9日に「核態勢見直し」報告を発表して、冷戦当時のような予測可能な「脅威」への対応から、予測不可能な「潜在敵」が用いうる「能力」への対応に力点を移すことを大きく掲げました。この転換は、自ずと諜報活動の拡充につながります。つまり、敵は世界に「潜在」しているという認識は、逆に言えば世界中の人間を敵と見なして監視の対象とするということです。

　2001年9月、欧州議会は本会議で、アメリカを中心とする英語圏5か国が運営する地球規模の通信傍受システム「エシュロン」に関する最終報告書を採択しました。これまで存在を指摘されながら、中心機関のアメリカ国家安全保障局（NSA）が一貫して否定してきた同システムについて、公的機関がその存在初めて確認したものとして世界的に注目を集めています。

　エシュロンは、通信方式ごとの傍受システムの集合体で、主に通信衛星や海底ケーブルなどを通じて交わされる国際通信を傍受。電話はもちろん、ファックス、電子メールなどあらゆる種類の通信に対応しています。さらに、エシュロンが単なる通信傍受と異なるのは、これら通信で交わされる言葉を、「辞書（ディクショナリー）」と呼ばれる自動分析システムで無価値な情報と有用な情報に選別していることです。この「辞書」こそがエシュロンの要であるともいえ、「大統領」「爆弾」などの言葉を含む通信を記録するばかりか、必要に応じて通信者を特定し、特定した団体・個人を新たにキーワードとして登録する機能も持ち合わせているといわれています。いわば世界を丸ごと監視しようというシステムなのです。

　今回、欧州議会が改めてその存在を確認した背景には、冷戦後、このシステムが民間を対象にしはじめたことがあります。実際、かなり以前から多くの企業がエシュロン情報で入札などを妨害されているといわれてきました。今回の報告書でも、「EU住民の権利が侵害されている疑念は拭えない」としています。また、冷戦終結で存在意義を失いかけたNSAや各国の諜報機関が、「経済傍受」に役割を見いだしているともいわれ、アメリカ同時多発テロ事件以降、軍事戦略の矛先が「潜在敵」へと向かうこととあわせると、ますます民間へ対象が拡大していく懸念が高まります。

　「エシュロン国際集会連絡会」ではこの度、欧州議会エシュロン特別委員会委員イルカ・シュレイダーさんをドイツよりお招きします。東京や神奈川などで集会を開き、最終報告書について詳しく聞きます。この連絡会には、プライバシーや平和について取り組む様々な運動団体が参加しています。沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック代表の上原成信さんにも呼びかけ人を引き受けていただいています。

　日本は「第三グループ（サードパーティー）」としてエシュロンに関わるといわれ、三沢基地には衛星通信傍受のための「ゴルフボール（白いドーム）」が設置されています。また、いわゆる「像のオリ」は、冷戦初期から高周波（HF）無線を使った軍事通信を傍受しているといわれ、沖縄・楚辺通信所との関係も疑われています。しかし、日本政府はこの件に関して一切黙秘して、情報は今回の最終報告書のような海外からのものに頼らざるを得ません。

　今回の国際集会では、日本との関係も含めて多くの貴重な情報が得られると期待しています。ぜひ多数の方々が参加されますよう、お願い致します。

と　き    2002年2月16日(土)　開場12:30　開会13:00　閉会16:30
ところ    京橋プラザ区民館（東京都中央区銀座1-25-3　 tel  03-3561-5163
　　　　　　地下鉄有楽町線新富町駅5分　
司　会　小倉利丸（富山大教員）
トーク　宮台真司（社会学者）、斉藤貴男（ジャーナリスト）、海渡雄一（弁護士）
講　演　イルカ・シュレイダー（欧州議会エシュロン問題特別委員会委員）
主　催　エシュロン国際集会連絡会        参加費　　1000円
連絡先    日本消費者連盟（03-3711-7766）、福島瑞穂事務所（03-3508-8506）、中村敦夫事務所（ 03-3508-8632）
    ネットワーク反監視プロジェクト　E-mail：priv-ec@jca.apc.org

※賛同人・団体も募集しています。必ずお名前・ご住所を明記の上、郵便振替でお申し込み下さい。エシュロン国際集会連絡会　00180-3-83917（個人一口1000円　団体一口3000円）　*集会資料に賛同人・団体のお名前を掲載します。必ず振替紙の通信欄にお名前の公表を希望するか否かを明記してくさい。
                            　   エシュロン国際集会連絡会・吉村英二（日本消費者連盟事務局員）