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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第128号(2001年9月28日発行)

後藤聡の
沖縄・新刊案内

◆『ひとめぼれー日系アメリカ人・小橋川ファミリーの二〇世紀』小橋川ディック次郎著 「ひとめぼれ」刊行会 一九九九年一二月八日 一五〇〇円(・自費出版)連絡先075-463-4129(福本)
 ずいぶん、前の出版だが、「琉球新報」の二〇〇一年二月一三日付けのコラム「金口木舌」で紹介された。次郎さんは米国で生まれ、少年期を沖縄で過ごし再び米国に帰った。現在八六歳。両親は沖縄・本部町出身。ご本人は元「北米沖縄県人会長」。沖縄と「移民」は切っても切れないテーマ。アメリカで戦争中、ご本人は病気で徴兵を免れ収容所、弟さんは「銃を持たない」と兵役拒否で収容所、下の弟さんは日本語通訳として沖縄へ、というだけでも貴重な証言。兵役を拒否したのは小橋川秀男で、著名な画家、先日沖縄で作品展があった。米兵になったのは小橋川博で、『EDGE12』(二〇〇一年二月一〇日)でインタビュー記事掲載。編集に下嶋哲朗が係わっている。

◆『沖縄ハンセン病七十年の痛み』川口与志子著 文芸社 二〇〇〇年九月一日 一二〇〇円 ISBN4-8355-0369-4
 著者は、元県庁・八重山保健所の看護婦。六〇歳を越して沖縄大学卒業。ご自分の係わりの責任としての著作。

◆『沖縄トイレ世替わり フール(豚便所)から水洗まで』平川宗隆著 ボーダーインク社 二〇〇〇年一一月一日 一六〇〇円 ISBN4-89982-006-2
 著者は、沖縄県中央保健所の課長。「かつて、人のウンチを豚に与えていた……」沖縄の、古い家には、「フールー」がある。沖縄・社会学として、著者の博学ぶり、広い視野に脱帽する。

◆『歴史と実践』二一号(二〇〇〇年一一月)沖縄県歴史教育者協議会編 二〇〇〇年一一月二四日 五〇〇円 問い合わせ=琉球大学教育学部社会科学科里井研究室(098-895-8343)
 特集1 新平和祈念資料館を観る(「沖縄戦への道」の検討・提言/田港朝昭、平和祈念資料館の「沖縄戦展示」安仁屋政昭、第五展示室「太平洋の要石」を見る/平良宗潤、子ども展示のあり方を危惧する/仲渡尚史)特集2 タイ・マレーシアを歩く/高嶋伸欣論文他

◆『ひめゆりの戦後 ひめゆり平和祈念資料館資料集』ひめゆり平和祈念資料館(098-997-2100) 二〇〇〇年一二月一日 非売品(B5版・七三頁のパンフレット)
 ひめゆり平和祈念資料館では、年に二回ほど「資料館だより」を非売品として発行している。沖縄戦の、特に「学徒」、「ひめゆり」に焦点を当て、編集されているが、このパンフは「ひめゆり」に限って、その一五〜二〇号まで連載されたものを再録したもの。ひめゆり、というと近所の「みやげ物や」を想像して、敬遠される向きもあるが、それは「ひめゆり」の本意ではない。「沖縄戦」を学ぶ原点である。

◆『青年医学徒の沖縄戦回想記』遠藤幸三著 橋本確文堂(金沢市増泉4-10-10 076-242-6121) 二〇〇〇年一二月一〇日 五〇〇円 ISBN4-89379-059-5
 これは、驚くべき沖縄戦の証言。筆者は一九一二年生まれ、旧制金沢医大卒。一九三七〜一九四五年の間、召集三回の軍医中尉。専門は産婦人科。一九八八年現職引退、金沢赤十字病院名誉院長。
 一九四四年八月五日、三回目の召集令状、「第九師団第三野戦病院勤務」指定、九月二五日門司港出航、一〇月二五日朝那覇港上陸、編成変更で「第二四師団第二野戦病院」勤務、中頭郡美里村知花駐屯、一九四五年二月一日、東風平村小城(こぐすく)移駐、九月一日米軍に投降、一九四六年九月帰日。
 後藤は、この「遠藤軍医中尉」の存在、手記について、寡聞にして知らなかった。「沖縄戦」ではまだまだ知られていないことが多いが、筆者の医師としての観察力、行動力にはびっくりさせられる。兵隊、下士官、将校への観察、日本軍、戦争についての考察も興味深い。八八歳の筆者にインタビューしたいものである。

◆『孤高の桜 ハンセン病を生きた人たち』井上佳子著 葦書房(福岡市中央区赤坂三ー一ー二、092-761-2895)二〇〇〇年一二月一一日 一五〇〇円 ISBN4-7512-0791-1
 筆者は熊本放送ディレクター。第一九回潮賞受賞作。熊本にある国立療養所菊池恵風園の取材を通し、「ハンセン病を生きた人たち」を紹介している。

◆『日米関係と沖縄 1945-1972」宮里政玄著 岩波書店 二〇〇〇年一二月一八日 九八〇〇円 ISBN4-00-001764-0
 宮里氏は琉球大、国際大学、独協大学教授を経て、沖縄対外問題研究会代表。氏の誠実な人柄は、一二月二三日の名護集会でも評価が高い。戦後の沖縄の位置を考察するための必読文献だが、九八〇〇円+税は、ひどい。

◆『沖縄文芸年鑑二〇〇〇年版』沖縄タイムス社 二〇〇〇年一二月三〇日 一八八六円 ISBN4-87127-406-3
 「新沖縄文学」が休刊されてからこういうかたちで、なお、「沖縄文学」の位置を保っている「沖縄タイムス」に感謝。第二六回新沖縄文学賞佳作二編のほか、二〇〇〇年の沖縄文学を知るためのあらゆるものが、つまっている。

◆『いつも前向き 私の歩んだ半生』赤嶺キヨ著 ボーダーインク社 二〇〇〇年一二月三一日 一〇〇〇円 ISBN4-89982-9
 著者は、まもなく八一歳になる南風原町喜屋武に住む女性であるが、文字通り沖縄戦を生き延び、戦後を生きてきた。自費出版なのだろうが、学ぶことは多い。琉球大学赤嶺教授の御母堂。



沖縄・新館案内

◆恩納(おんな)村博物館
 二〇〇一年五月一日開館
 098-982-5112
 那覇から五八号線を北に約一時間
 小中高三〇円、大専五〇円、大人一〇〇円
 民俗資料中心で、沖縄戦や米軍基地については、軽い扱いで、疑問。しかし、全体の造りはよくできている。九分のビデオシアター「神々が護る村(しま)」もおもしろい。沖縄の小学生は「村」という漢字に「しま」とふりがなをふる。もちろん、「恩納村立」で教育委員会主管。