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第128号(2001年9月28日発行)

内閣総理大臣 小泉純一郎 殿 
外務  大臣 田中真紀子 殿  

政府の情報統制押し付けと県政の受け入れに抗議しその撤回を求める声明

 アメリカの軍事・経済の二大中枢に同時テロが仕掛けられ、罪のない一般市民が巻き添えにあい多くの犠牲者を生み出しました。この衝撃に動揺し、怒り狂うアメリカは、その威信にかけての反撃に打って出ました。かねてからの疑惑の人物とそれを支援する国家を特定し、「正義の戦争」としての軍事的報復戦争に打って出ようとしています。勿論「戦争」に正義があるはずはありません。暴力には、新たな暴力を再生産し、際限ない暴力の悪循環しか生まない事は、歴史が証明するところです。そして、常に権力者の政策決定とは直接関わる事のない一般庶民が大量殺戮のいけにえとなります。人間の行為として最大の残虐行為であり、最大の犯罪たる軍事力行使は、絶対に慎むべきです。

 ところが、アメリカ政府の軍事的報復行動が決定されるや日本政府は、いち早く承認・支援行動を打ち出しています。そして今日では、自衛隊法の改悪、集団的自衛権の行使、PKOの見直し等を含め、アメリカの軍事行動に積極的加担を推し進めています。それは、「国際平和を希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇、または武力による行使を国際紛争を解決する手段として永久に放棄」した日本国憲法をなしくずし的に進められるもので、「新たな戦争国家」へと変貌しつつあります。テロ事件に便乗し、世論操作を強行する日本政府の現状は、とても危険な方向へと国民を導いています。そして、戦時情報の第1号とも言える「言論・情報の統制」を地方自治体に押し付けています。

 報道によると、外務省は、9月21日アメリカ原子力潜水艦の寄港地の自治体である沖縄県、佐世保市、横須賀市に対して、寄港24時間前の通報をマスコミに公表しないよう協力要請したとの事です。それはアメリカ海軍から「原潜関連情報の公表について善処してほしい」との要請が外務省にあり、それを同省が「事前に原潜の動きが対外的に広く知られ標的になる可能性がある。」と判断した事によるとの事です。これを受けた沖縄県は「原潜がテロの対象となれば住民の安全が確保できない。比較考量すればやむをえない措置」と考えて公表見合わせに踏み切ったとの事です。ただ、ホワイトビーチのある勝連町や漁業関係者への通知は従来どおりなされるといっています。

 これらの事実から明らかな事は、日本政府が一見して誰もが反対できない今回のテロを利用して「戦時的情報統制」の第一歩といえる演習を行なっている事がうかがえます。漁業関係者にまで通告するとの尻抜けの統制であるところに、情報統制そのものに目的があるのではなく、国民を情報統制に馴らしていくところに意図がある事は明らかです。このような日本政府の意図を知ってかしらずか沖縄県は、住民のためにはやむなしといっています。そもそも、このような憲法にも違背し戦時情報統制にもつながる言論情報統制に同意する重大な権限を誰が知事に与えたというのでしょうか。特に、今回の緊迫した状況の中で、沖縄が出撃基地となり、日常的にF15戦闘機等が出撃しているそのものがテロの対象になっているのではないでしょうか。真に、住民の生命を守ろうというならば、基地を撤去させる事です。原替の寄港がテロの対象になっているというならば、少なくとも現在の緊迫した情勢では寄港するなというべきではないでしょうか。

私たちはこのようなどさくさに紛らわしながら、国民の基本的人権を侵害し、戦時体制つくりを急ぐ日本政府の姿勢を見逃すことはできません。厳重に抗議し、要請の撤回を求めます。同時に稲嶺知事に対しても真に県民の生命・財産・基本的人権を守るとの視点に立ち戻り、同要請の受け入れ撤回を強く求めます。

2001年9月22日

米国の軍事的報復攻撃と自衛隊派兵に抗議する座り込み行動参加者一同
沖縄から基地をなくし、世界の平和求める市民連絡会