軍用地を生活と生産の場に!
 
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX:03-3386-2362
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第127号(2001年8月28日発行)

 普天間共有地に一〇年の使用申請

 会員は必ず意見書を収用委員会へ
 
 那覇防衛施設局は去る八月一六日、沖縄県収用委員会に対して普天間基地内にある私たちの共有地について「一〇年強制使用」の裁決申請を行いました。本年二月の使用認定申請、四月の使用認定に続く普天間の強制使用手続きの進行によるものです。

 県収用委員会は裁決申請書に不備がないかをチェックした上で正式に受理し、強制使用手続きはさらに進む動向にあります。これまでの経過から、正式受理はだいたい一ヶ月後の九月中旬と想定されます。

 受理後は国が二週間、裁決申請書の公告・縦覧を行います。これまでは当該土地について実情を把握することのできる関係市町村が公告・縦覧していましたが、一昨年六月の特措法再改悪によって公告・縦覧は国の業務にさせられてしまいました。

 この公告・縦覧期間中に、土地所有者と関係人は収用委員会に意見書を提出することができます。この時会員に対して、収用委員会から「意見書提出を求める」書面が送られて来るはずです(「裁決の申請、及び明渡し裁決の申立について」)。この期間中に地主が意見書を提出することで、この意見書を「説明する場合に限り、収用委員会の審理において意見書を提出し、又は口頭で意見を述べることができ」ます。

 反対にこの期間中に意見書を提出しなかった場合、補償金の金額など「損失の補償に関する事項について」は意見書を提出したり意見を述べることができるものの、それ以外について意見を述べることは制限を受ける場合もありえます。ですから九月中旬と予想される裁決申請の受理後に、収用委員会から意見書提出を求める文書が届いたら、会員は必ず意見書を提出してください。後に開催される公開審理の場で、強制使用の不当性について堂々と意見陳述するためにも、意見書の提出は必ず行ってください(*)。

*    昨年一二月に那覇防衛施設局から「意見書提出依頼」文書が会員に送られていますが、あれは内閣総理大臣の使用認定のための意見書提出要請です。これから求められる意見書は収用委員会に対して提出するものです。

 ただしこの意見書の提出は、公開審理の場における発言権確保のために必要な手続きであって、提出したからといって提出者は公開審理に参加して発言することが義務になるというわけではありません。

 意見書は特に詳しく書く必要はありません。二、三行の簡単なものであっても提出の意義はあります。「戦争・軍隊・軍事基地のためには一坪たりとも土地を提供しない」との熱い思いを原点として、「新たな強制使用の手続きに反対し、ただちに私たちの土地の返還を求める」内容で自由に書いてください。

 余り細部にわたって書くよりも、ポイントを押さえる意見書としたほうが賢明です。そうすることで後に開催される公開審理で、その「意見の内容を証明するために、収用委員会に対して資料を提出すること、必要な参考人を審問すること、鑑定人に鑑定を命ずること又は土地若しくは物件を実地に調査することを申し立てることができる」ようにしてください。

 なお、もう一つの共有地である嘉手納については、収用委員会が出した却下裁決についての那覇防衛施設局申請した「審査請求」で昨年一二月、建設大臣から「取消裁決」が出されています。この「取消裁決」を受けて収用委員会は改めて裁決やり直しの手続きをとることを決定。現在、裁決手続き中になっています。 

普天間強制使用関連記事(抜粋引用)

■2001年2月15日 沖縄タイムス 普天間など強制使用へ/施設局、使用認定を申請
 那覇防衛施設局(山崎信之郎局長)は14日、米軍用地の強制使用手続きを定めた「駐留軍用地特措法」に基づき、来年9月2日に使用期限が切れる普天間飛行場と那覇港湾施設(軍港)の一部土地について、森喜朗首相に対し、土地の継続使用を求める使用認定申請を行った。
 対象となるのは普天間飛行場の1万2356平方メートル(17筆、所有者710人)と、那覇軍港の364平方メートル(3筆、所有者7人)。(後略)

■2001年4月13日 共同   「普天間」強制使用/特措法基づき森首相が認定
 森喜朗首相は13日、宜野湾市の米軍普天間飛行場などの一部土地について、那覇防衛施設局が強制使用期限の切れる2002年9月までに地権者との間で賃貸借契約が結ばれる見込みがないとして、駐留軍用地特別措置法(特措法)に基づき申請した強制使用を認定した。
 特措法の改正、施行後は、読谷村の米軍施設内の土地に続き2件目の使用認定。(後略)

■2001年6月20日 沖縄タイムス  「普天間飛行場」など国が代理署名
 那覇防衛施設局は19日午前、来年9月2日で使用期限が切れる米軍普天間飛行場と那覇港湾施設(那覇軍港)の一部用地について、契約を拒否している地主に代わり、小泉純一郎首相が指名した代理者による土地、物件調書への立ち会い、署名押印を行った。 (中略)「旧特措法」で市町村長や県知事が行ってきた「代理署名」の手続きに代わり、国が直接執行事務(首相)を行うもの。  (後略)

■2001年8月17日 沖縄タイムス  国が10年の強制使用申請/普天間飛行場など
 那覇防衛施設局は16日午後、県収用委員会(当山尚幸会長)にそれぞれ10年の継続使用裁決を申請した。米軍用地特措法に基づく手続きで、県収用委員会は公開審理などを開き、再契約を拒否している地主や国双方の意見を聞いて、使用期間の妥当性を判断する。
(中略)1999年の特措法改定後、期限切れとなった土地でも国が使用権原を確保できる暫定使用が可能となっている。
 1996年のSACO最終報告で、普天間飛行場は「5―7年以内の返還」、那覇軍港は「返還の加速化」で合意されている。対象地の前回の使用期限切れの際、那覇防衛施設局は10年の使用期間を申請したが、SACO最終報告を受け、普天間の期間を6年6月に短縮した経緯がある。県収用委の裁決はそれぞれ4年だった。
 今回、10年の使用期間を申請したことについて、那覇防衛施設局は「普天間は代替施設協議会で議論されているが、現段階で返還までの期間が明確ではない」と説明。那覇軍港についても同様の見解を示している。
 県収用委員会は申請書の書類に不備がないかを確認した上で、早ければ9月初旬に委員会を開いて正式に受理するかどうかを決める。受理されれば公告縦覧や公開審理を経て、裁決が下される。