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第126号(2001年7月28日発行)

                                  2001年7月19日
内閣総理大臣 小泉純一郎 様
外務大臣   田中真紀子 様

米兵の犯罪に政府は責任をとれ


 6月29日未明、沖縄・北谷町で米兵がまたも女性に対する性暴力事件を起こした。日米両政府、特に日米同盟と米軍駐留を「国策」としてきた日本政府は、このような人権蹂躙に重大な責任がある。私たちは怒りをもって性暴力事件に抗議し、日米両政府の責任を追及するとともに、在日米軍地位協定の抜本的改定と基地の縮小・撤去を求める。

 衆院外務委員会は「国民の生命、財産、人権を守る政府の責任」をあげ、「日米地位協定の見直しをも含めた検討」を求める決議を行ったが、小泉内閣は「運用の改善」の表明にとどまっている。95年9月の痛ましい少女暴行事件の後も、政府は地位協定は「運用の見直し」で足りるとし、「凶悪犯罪」の場合は起訴前でも米側は容疑者の身柄を日本側警察に引き渡す「好意的配慮」をすることで合意した。ところが今回、「容疑者の人権確保」を理由にこの合意さえ履行されず、容疑者の身柄が引き渡されたのは犯行から1週間もたっていた。もはや「運用の改善」という言葉で国民を欺き、地位協定の不平等性を継続することは許されない。米兵といえども日本で犯罪を行った場合は、日本の国内法で処されるべきである。小泉内閣は、ただちに在日米軍地位協定の抜本的改定を米政府に要求すべきである。

 しかし、沖縄という小さな島に在日米軍基地の75%を集中させ、数万人の戦闘要員を常駐させている限り、米兵による犯罪や事故がなくなることはない。犯罪や事故の確実な防止は、米軍基地の縮小・撤去以外にない。政府は「SACO合意の実行」を口にする。しかしそれは沖縄の現状をほとんど変えないばかりか、名護市東部沿岸に新たな海兵隊基地の建設計画を進め、周辺住民に新たな基地の重圧や犯罪・爆音・事故を追加し、貴重なジュゴンやサンゴの生命を奪うものである。さらに米国の新戦略は、中国や朝鮮民主主義人民共和国を敵視し、東アジアをにらんだ出撃基地として沖縄を重視しており、先の日米首脳会談に見られるように、小泉内閣はこの米戦略との協力の拡大強化を進めようとしている。

 これでは沖縄の住民・女性、全国の基地周辺住民は安心して生活することはできない。政府は米軍基地の着実な削減を進め、東アジア諸国との平和と友好、軍事的緊張緩和と軍縮のために努力すべきである。日米同盟の強化と沖縄の米軍基地の存続・強化を進める限り、沖縄は平和の島になることはなく、米兵による犯罪は住民を傷つけ苦しめ続ける。私たちはこれ以上、政府による沖縄の女性・住民に対する人権侵害と差別を許さない。

 小泉首相と田中外相に誠意ある謝罪と責任ある回答を求める。

『軍があるかぎり、暴力はなくならない!』

 沖縄での米兵による相次ぐ性暴力事件に抗議し、 在日米軍基地の撤去を求める九州共同アピール

 6月29日未明、沖縄県北谷町での米空軍軍曹による女性への性暴力事件に対して、九州に住む私たちは心の底から抗議する。

 いったいいつになったら、米兵によるいたましい事件、事故はなくなるのか。事件が起こるたびに米軍の「綱紀粛正」が叫ばれ、「事件の再発防止」が宣言されてきたが、その後も相次ぐ米兵による凶悪事件は、それらが、再発防止の手だてとはまったくならなかったことを証明している。

 1995年9月の少女への米海兵隊員による暴行事件で、沖縄県民だけではなく、日本国中の人びとが憤り、日米地位協定の改定を求めた。それ以降、沖縄の米軍基地の縮小、撤去が大きな課題となったが、それはいつの間にか普天間基地の名護市辺野古沖への移設というかたちにすり替えら れ、県道104号線越え実弾砲撃演習は、「本土」5カ所に拡大された。更に97年の日米ガイドライン関連法成立後には、在日米軍の演習や自衛隊との共同訓練は強化されている。

 私たちの暮らす九州においても、佐世保には米海軍基地、日出生台では米海兵隊実弾砲撃訓練、大矢野原や霧島では日米共同訓練があり、九州各地の港・空港には米艦、米軍機の寄港や離発着が増え、低空飛行訓練も恒常化するなど、米軍という存在がすでに私たちの身近な暮らしの中に忍び込んでいる。

 その意味で、今回の事件は他人事ではなく、まさに九州に住む私たち自身の問題でもある。

 このような基地周辺住民の人権を蹂躙する犯罪を根本的に防止するには、もはや米軍基地の撤去以外にない。

 私たちは、今回の北谷町での米兵による暴行事件に心からの怒りを持って抗議するとともに、日米両政府が基地の撤去と地位協定の抜本的改定に向けてただちに具体的な協議に入るよう強く要請する。
     2001年7月5日  <7・5九州共同アピール賛同者一同> 304個人16団体