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第124号(2001年5月28日発行)

【報告】

 魚と戯れるジュゴン

      鳥羽水族館にて

 「新基地反対、ジュゴンを守れ」という運動を続けていくためには、写真ではない本物のジュゴンを見ることが必要だと考え、このツアーに参加しました。新幹線、近鉄を乗り継ぎ、四時間かけてたどり着いた鳥羽水族館には、オスとメスそれぞれ一頭ずつのジュゴンが飼育されていました。水槽の中で泳いでいるジュゴンは写真やポスターで見るより遥かにきれいで、前足で水槽の底を這うように進み、Uターンするときにも上手に前足を使うなど、ひとつひとつの仕草がとてもかわいらしく、人魚伝説も納得させられました。また、ジュゴンと共にジュゴンの親戚であるマナティも飼育されていて、思いがけず両者の違いを比較することができました。体型はジュゴンの方がスリムで活動的、どちらかというと鯨に近い印象で、マナティは大きな身体にくらべて頭が小さく、水の底でじっとしていることが多い。食料とするものはジュゴンがアマモだけしか食べないのに対し、マナティはレタスなど野菜も食べるとのことでした。

 ジュゴンの食料であるアマモ(海草類)は根・茎・葉の区別がはっきりしていて、浅い海底の砂中に根を張って水中で花を咲かせる特殊な環境に生育する種子(顕花)植物の仲間です。またワカメなど海藻類は精子と卵子あるいは遊泳性の配偶子で繁殖し、体の作りが単純で、全体から栄養を吸収するため、根は岩などに固着するだけの役割をもつなど、海草類とは違った特徴や生活様式をもつ植物群です。ジュゴンの主食になる海草類は、陸地から流れ込む豊富な栄養と太陽の光を吸収して、「シーグラス・ベッド Seagrass Bed 」と呼ばれる豊かな生物群落を形成しています。そこでは、魚はもちろんエビやカニの仲間からジュゴンに至るまで、お互いに深い関わりをもちながら、小さな生きものたちの保育場としても大切な生態系を構成しています。(鳥羽水族館解説書から)

 ツアー参加者のジュゴンを見た感想をまとめると次のようになりました。

 今までのジュゴンに対するイメージはジュゴン保護キャンペーンのポスターや新聞の写真でしか見たことがなく、ジュゴンというと一頭だけのイメージしかありませんでした。今日初めて生きているジュゴンを見て感動しました。ジュゴンが決して一頭だけで生活しているわけではなく、エサであるアマモの回りには多数の熱帯魚やカメなどが共に生息する場としてあり、ジュゴンを守るということはそのまわりの多くの生き物を守り育てることであり、漁場が栄え、私たちの食料となる魚や海草がたくさん獲れるということです。ジュゴンを守るという運動は私たちの食生活を守る運動でもあると思いました。新しい基地を造るために珊瑚礁や藻場を潰すより、ジュゴンを守り育てることのほうがより沖縄のためになると思いました。

 九七年の沖縄交流キャンペーンでジュゴンをちゃんと描けなかったので、きちんと観察しようと思い参加しました。実際にジュゴンを見て、新しい絵のネタが浮かびました。これからの運動に活かしていきたいと思います。山原新基地反対運動がジュゴンに頼らざるを得ないことには問題がありますが、これからも本土から応援していきたい。振興策というエサで沖縄人を釣ろうとしている日本政府に対する怒りを覚えました。

 こんな大きなほ乳類が沖縄の海にいることに感動しました。ジュゴンを守るため、沖縄の海を守るため、新たな基地を造らせないために、沖縄と共に闘うことを改めて強く思いました。
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