【報告】
海兵隊撤退要求の正当性を確認した
関東ブロック三・三一公開勉強会
三月三一日午後、中野区立商工会館で、関東ブロックの公開勉強会が開かれた。講師は福好昌治さん(大阪経済法科大学アジア研究所・客員研究員)、演題は「米国の世界軍事戦略の転換と東アジア」で、雪とみぞれが降りしきる悪天候にもかかわらず、三七人が参加して、熱心に講演に聴き入った。
福好さんは、資料として配布された、『世界週報』本年一月三〇日号寄稿論文と、九七年末執筆の論文「在沖縄米海兵隊の戦略的必要性」(『東アジア研究』所収)に基づいて、話を進めた。その要旨は大略、次のとおりである。
◎米軍は、湾岸戦争以来、自国兵士が死なない「犠牲者なき戦争」を追求するようになった。地上軍の投入を避け、空軍と海軍を中心に、空と海から敵戦力を徹底的に粉砕する戦法に切り替えた。陸軍や海兵隊の投入は、停戦を強制した後になされる。つまり、米軍は、《安全に》戦える時にのみ、部隊を投入するようになったのである。
その背景には、「先進国」共通の少子化現象や、メディアの発達によって、戦場の様相が、リアルタイムで茶の間に伝わるようになったことなどがある。
◎米国の世界軍事戦略は、これまで、二つの大規模地域戦争に同時に対処して勝利するというものであった。そこで想定されているのは、第二次朝鮮戦争と第二次湾岸戦争だったが、同戦略は、すでに破綻している。今秋出される予定の国防総省のQDR(四年毎の防衛見直し)で、戦略の転換がなされる可能性がある。(長期的にみれば、東アジア重視の戦略になるかもしれない。)
◎昨秋公表された国防大学付属国家戦略研究所の報告「アメリカと日本――成熟したパートナーシップに向けて」(アーミテージ報告、アーミテージは、元国防次官補、現国務副長官)では、「米日関係は、バードン・シェアリングからパワー・シェアリングへ進展すべき時である」という部分が重要である。それは、国際政治において、日本がもっと積極的な役割を果たせという要求だ。とりわけ「平和維持や人道的救援任務への全面的参加」を求めている。それは、ボスニアやコソボ、湾岸だけで手一杯で、米国は、もうそれ以上手を出すことができなくなっているからだ。
福好さんは、さらに、在沖海兵隊の特徴に触れ、その編成が、米国の東海岸と西海岸に配備されている海兵隊とは比べるべくもない、名ばかりのものであること、米四軍の中で、海兵隊は、削減や撤退が繰り返し問題にされてきたことを挙げた。そして、大量の海兵隊を沖縄に駐留される軍事的な意味は、すでにないのだが、それだけに、海兵隊には、沖縄での既得権益にしがみつく傾向が強い、と鋭く指摘した。
その後の質疑応答では、沖縄からの海兵隊撤退要求の正当性が、いっそう明らかになった。
(I)
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