軍用地を生活と生産の場に! |
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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第123号(2001年4月28日発行) |
【報告】 沖縄県収用委員会 第三回公開審理 「却下してください。」 三月二十七日に沖縄の浦添社会福祉センターで開かれた楚辺通信所・牧港補給基地における米軍用地強制使用の第三回公開審理は、反戦地主の訴えで締めくくられた。 当日はあいにくの雨模様であったが、会場前には反戦地主と支援者が集まり、違憲共闘会議による事前集会がもたれた。公開審理に毎回参加してきた関東ブロックもそこから合流する。 公開審理では、まず、知花昌一さんの土地に関する求釈明の前回の続きと、古波蔵豊さんの土地に関する求釈明がおこなわれた。特徴的な求釈明とそのやりとりは次の通りであった。 楚辺通信所に配属されていると主張するアメリカ国防総省の「国防通信沖縄分遣隊」とはいかなるものか、法律の根拠は何かと聞くと、那覇防衛施設局(栗原施設部長、以下同様)は「即答できないので文書で回答する」と答えることができない。収用委員会からも「関心がある」と文書回答を念押しされた。 古波蔵豊さんの土地に対する求釈明は、牧港補給基地での強制使用が初めてであったことから、牧港補給基地は何の部隊が配属され、何に使われているのかということから始まった。那覇防衛施設局は「立ち入りで収用委員に説明している。申請時にも資料添付している」として、具体的に言えと追及しても「答えられるのはこれだけ」と、なんとまあ目の前にいる地主に説明しないとは、あっけに取られる。さらに「(裁決申請書にある)『食料、医療、医薬品等』の等とはどういうものか」に対して、「個別なことは承知していない」などとまともに答えない那覇防衛施設局に、傍聴席から怒りを通り越してヤジや失笑が飛び交う。 そんな求釈明を繰り返すことに、これは実質審理になっていない、那覇防衛施設局はそもそも答えようと思っていないと感じた。 最後に反戦地主が意見陳述をした。知花昌一さんは、「大事な宅地でありますし、(米軍に撃ち殺された)じいさんが死んで埋められた場所」だと述べ、国防省直轄部隊六十名が配置されているということに対し自ら楚辺通信所を監視して、「そういう人数としてはいないということで、もはやこの楚辺通信所は使われていない」と明らかにした。さらに、「一九九六年四月一日より使用権原を失い、以来三百八十九日間不法占拠をしています。この土地には、二つの裁判が関わり、まだ進行中であります」として、「強制使用するなんていうのはとんでもない」と強く主張した。 古波蔵豊さんは、冒頭「自分の土地というものが、まだ触れたこともなく、立ったこともない」と「非常に理不尽な扱い」だと怒りをあらわにした。契約拒否する理由としては、「子々孫々にわたるまでの基地の被害というのを被るわけにはいかない」、「広大な土地をぜひ大きな生産地、あるいはまた雇用が確保できるような土地に変えていく」と述べた。却下裁決を求めた二人に傍聴席から拍手がわき起こる。公開審理は今回で打ち切りとなった。しかし、三月三十一日の期限はまたもや切れた。裁決が下される見通しは、収用委員会のコメントでは五月以降になるらしい。結局は「申請者自らが手続きを進める」やり方に再改悪された特措法による強制使用手続きでも期限に間に合わず、「暫定使用」という不当な占拠状態となった。 今回の強制使用で、「法律がどんなに変わろうとも闘いは変わらない」という意味がはっきりしたような気がする。反戦地主が存在する限り、政府は米軍に基地を安定的に提供することができない。つねに、基地・軍隊の存在自体が民衆に問われてしまう。だからこそ、基地の是非を公開審理の場に持ち込ませないよう土地収用法を改悪しようとしているとも思われる。さらに、「県内移設」を脅かし、相次ぐ米軍犯罪から基地・軍隊の存在自身を否定する民衆の怒りと結びつく。軍用地強制使用に対するたたかいはあらためて大切だと感じた。今後も続く強制使用に対するたたかいに、この経験をいかしたい。 |