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第121号(2001年2月28日発行)

施那第517号(AFS)平成13年2月19日
 沖縄県収用委員会
  会長 当山 尚幸殿
 那覇防衛施設局長
      山崎 信之郎
求釈明申立書に対する回答について
参照:平.13.2.5.付沖収委第188号
 「使用の裁決の申請理由説明書に対する求釈明の申立書」の送付について参照文書で送付のあった土地所有者等からの求釈明申立書について、別添のとおり回答いたします。
 なお、同申立書の記の2及び11の求釈明事項(編集部注 2頁参照)については、審理に馴染まないと思われますので、その旨回答いたします。
 
求釈明申立書に対する回答

1について
 求釈明事項 日米安全保障体制とは何か。日米安保条約とは如何なる関係があるのか。
回答
@ 我が国が憲法の下で進めている防衛政策は、昭和32年5月に国防会議および閣議で決定された「国防の基本方針」にその基礎をおいており、「国防の基本方針」は、まず、国際協調など平和への努力の推進と民生安定などによる安全保障基盤の確立を、次いで効率的な防衛力の整備と日米安全保障体制を基調とすることを基本方針として掲げている。
A この日米安全保障体制は、日米安全保障条約を基調とするものであり、我が国の安全に対する直接的な貢献、我が国周辺地域の平和と安定の維持への貢献という役割を果たしてきており、さらに日米関係の中核をなすとともに我が国の幅広い外交関係の基盤ともなっているものである。

3の(1)について
 求釈明事項 「駐留軍の駐留は、我が国の安全並びに極東における平和及び安全の維持に今後とも寄与するものである」とあるが、今後とも寄与するものであるということは、米軍の駐留が今後、相当長期間になると解されると思われるが、そのように解してよいのか。
回答
 平成8年4月に発表された「日米安全保障共同宣言」では、アジア太平洋地域においては依然として不安定性及び不確実性が存在するとの情勢認識の下で、日米安保条約を基盤とする両国間の安全保障面の関係が、21世紀に向けてこの地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した上で、
@ 日本の防衛のための最も効果的な枠組は、自衛隊の適切な防衛能力と日米安保体制の組み合せに基づいた日米両国間の緊密な防衛協力であり、日米安保条約に基づいた米国の抑止力は引き続き日本の安全保障のよりどころであること
A 日本が日米安保条約に基づく施設及び区域の提供等を通じ適切な寄与を継続すること等について改めて確認している。
 このことからも、駐留軍の駐留は今後相当長期にわたるものと考えられる。
 
3の(2)について
 求釈明事項 仮にそうであるとすれば、米軍の駐留は何時まで必要であると考えているのか。5年か10年か15年か、それとも永久か。
回答
 駐留軍の駐留は、今後相当長期にわたるものと考えられるが、その期間については確定的に申し上げることはできない。
 
4について
求釈明事項 「常々土地所有者との合意に努めているが」とあるが、土地所有者の使用承諾を得るため如何なる努力をしてきたのか。 
回答
 当局としては、駐留軍に施設・区域として提供する必要のある民公有地については、土地所有者との合意により賃貸借契約を締結して使用することを基本と考えている。そのため、当局職員が土地所有者を訪問の上、賃貸借契約の締結について依頼するなど、合意が得られるよう努めてきたところである。
 
 (以下、楚辺通信所について)
5について
求釈明事項 楚辺通信所の現在の使用状況を明らかにされたい。通信業務を実際に行っているのか。行っているのであれば、その具体的内容。
回答
 楚辺通信所は、現在も通信施設として使用されている。その主たる任務は、アメリカ合衆国及びその同盟国の防衛のための無線の迅速な中継及び通信の確保であると承知している。
 
6について
求釈明事項  「国防通信沖縄分遣隊」は、米軍の陸・海・空・海兵隊のいずれに属している部隊なのか。楚辺通信所に配置されている隊員は何名か。
回答
 国防通信沖縄分遣隊は、国防省直轄部隊であり、約60名の人員が配置されていると承知している。
 
7について
求釈明事項 SACOの最終報告は、日米両政府間の正式な合意である。政府間の正式な合意は、当然履行されるべきである。起業者は「平成12年末までを目途に返還する」ために如何なる努力をしてきたのか。
回答
 楚辺通信所については、SACOの最終報告において、アンテナ施設及び関連支援施設がキャンプ・ハンセンに移設された後に、平成12年度末までを目途に返還することとなっている。
 本件については、同通信所のアンテナ施設及び関連支援施設のキャンプ・ハンセンヘの移設について、移設先となる金武町のご理解を得るべくその調整に努力してきたところ、平成11年3月に同町のご理解が得られたことから、同年4月、日米合同委員会において、同通信所の返還に関し基本的な合意を行ったところである。
 また、米軍との間においては、具体的な移設場所並びに局舎及び道路等の配置などに関する調整に努力してきたところであり、概ねその調整を了し、現在、移設に係る細部について調整を行っているところである。
 
8の(1)について
求釈明事項 「米軍等関係機関と具体的移設場所及び工事の内容等の調整に予想以上の日時を要した」とあるが、移設場所については、どこを想定し、誰とどのような協議をしたのか。調整の結果はどうなったのか。何故、調整できていないのか。
回答
 楚辺通信所の移設については、キャンプ・ハンセン内のオストリッチ地区に移設することとして、その早期実現に向け、移設先である金武町のご理解を得るべく調整を行い、また米軍との間において、環境などに影響の少ない場所及び通信機能に配慮した局舎や道路などの配置について調整し、別図に示す場所に建設することとしている。
 
8の(2)について
求釈明事項 移設工事については、どのような工事を想定されていたのか。工事の内容を誰とどのような調整をしたのか。調整した結果はどうなったのか。何故、調整が整わないのか。
回答
 移設工事については、アンテナ、局舎及び道路などを想定していたものであり、アンテナ、局舎及び道路などの配置計画等の基本的内容について米軍と調整を行い、概ね調整を了したものである。
 
9の(1)について
求釈明事項 1997年当時、楚辺通信所は米海軍安全保障グループ(NSGA)が管理しているといわれていたが、そのとおりか。
回答
 当時、楚辺通信所は、在沖米艦隊活動司令部管理の下、ハンザ海軍通信保全群が使用していたと承知している。
 
9の(2)について
求釈明事項 NSGAは、1997年9月10日に解任式が行われたとの報道があるが、実際に解隊したのか。
回答
 ハンザ海軍通信保全群は、平成10年(1998年)6月1日付でその活動を廃止したと承知している。
 
10について
求釈明事項 NSGAが管理していた時と、国防通信沖縄分遣隊が使用している現在とでは、通信業務の内容及び取扱う業務量に変化はないのか。
回答
 ハンザ海軍通信保全群が使用していた当時と使用状況に変更はないと承知している。
  
12について
求釈明事項 使用の期間を4年2か月とした理由は何か。4年2か月後には、確実に土地を所有者に返還することの約束ができるのか。
回答
 楚辺通信所として使用している土地を所有者に返還するためには、アンテナ施設及び関連支援施設のキャンプ・ハンセンヘの移設工事、当該移設工事完成後に行う既存施設の撤去工事等が必要となるが、これら工事に要する期間を考慮し、使用期間を4年2か月としたものであり、期間内で土地所有者に返還できるものと考えている。
 
13について
求釈明事項 補償金の算定に関し、複利年金現価率を5%とした根拠は何か。
回答
 複利年金現価率を求めるための年利率は、民事法定利率の年5%を採用した。

(以下、牧港補給地区について)
14について
求釈明事項 賃貸借の期間が平成13年3月31日に満了するとあるが、賃貸借の始期、賃貸借の期間を明示されたい。
回答
 申立人古波蔵豊氏が所有する本件土地(浦添市字城問西空寿原1556-1)は、前所有者である稲福静氏と国との間において昭和56年4月1日を始期とする賃貸借契約を締結し、申立人が契約を承継していることから、この日が賃貸借の始期であり、契約期間は、民法第604条の規定により、20年を経過した時に満了する。
 
15について
求釈明事項 昭和47年5月15日、沖縄の施政権返還に当たり、閣議決定の上、両国代表が締結した沖縄県所在の施設及び区域に関する協定の内容、資料を提出されたい。
回答
 牧港補給地区に係る昭和47年5月15日付施設分科委員会覚書については、別紙のとおりである。
 
16について
求釈明事項 牧港補給地区における海兵隊による後方支援活動の具体的内容を明らかにされたい。
 回答
 牧港補給地区においては、食料、医療、医薬品等の保管、補給を行っていると承知している。
  
17について
求釈明事項 後方支援施設と家族住宅施設のそれぞれの場所的範囲を明らかにされたい。
回答
 牧港補給地区は、後方支援施設及び家族住宅施設等として使用されており、それぞれの用途で区切られた範囲があるとは承知していない。
 
18の(1)について
求釈明事項 「平成10年1月に賃貸借契約の予約締結依頼書を発出し」とあるが、発出した予約締結依頼書のひな型を提出されたい。
回答
 土地建物等賃貸借契約予約締結依頼書については、当局から申立人古波蔵豊氏に対し送付済みであり、改めて提出する必要はないと考える。
 
18の(2)について
求釈明事項 上記予約締結依頼に際し、賃貸借の期間を何年として説明したのか。
回答
 土地建物等賃貸借契約予約締結依頼書には「民法の規定によりまして賃貸借の存続期間は20年とされており、現契約の満了する期限が近づいております。」との記述があることから、あえて説明は行っていない。
 
18の(3)について
求釈明事項 上記に関し、土地所有者から対象土地の位置を確認したいとの申し出があったか否か。あったのであれば、これに対し、起業者はどのような対応をしたのか。
回答
 賃貸借契約の予約締結依頼に際し、土地所有者からは対象土地の位置確認の申し出はなかった。
 
18の(4)について
求釈明事項 予約締結依頼に際し、予定賃料を明示したのか。しなかったのであれば、何故しなかったのか。
回答
 土地建物等賃貸借契約予約締結依頼書には、「賃貸料については、予約完結時の適正な賃貸借料額とし、具体的金額については予約完結後すみやかに協議の上決定します。」との記述をしており、賃貸借契約の予約締結依頼に際し、賃貸料については明示していない。
 
19について
求釈明事項 使用の期間を10年とした根拠は何か。(牧港補給地区についての強制使用裁決期間は、10年と認められたものもあれば、5年認められたものもある。)
回答
@ 本件土地は、牧港補給地区の施設運営上、施設全体と有機的一体として機能し、必要欠くべからざるものであり、返還の予定はなく、引き続き駐留軍に提供していく必要のある土地であることから、今後とも円滑かつ安定的に使用の確保を図る必要がある。
A 一方、昭和62年の貴収用委員会の裁決において、使用期間を10年とされたことの事情も考慮し、使用期間は平成13年4月1日から10年とした。

合衆国側代表別添
           施設分科委員会 1972年5月15日 覚書番号 916
覚書宛先:合同委員会   件名:牧港補給地区
1、参照文書:日本国とアメリカ合衆国との問の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定
2、参照文書の第2条第1項(a)の規定に従い、合衆国政府が次に記され、別添に示される施設・区域の使用を許与されることに合意する。
 a 施設名:牧港補給地区、b 施設番号:FAC 6056
 c 所在地:沖縄県浦添市
 d 使用主目的:宿舎、管理事務所及び補給処
 e 区域の範囲:概略別添1から3に示すとおり
(1)陸上区域:別添3に示すとおり約3,145,000平方メートル (2)合衆国政府所有以外の建物:な し (3)水  域:(a)別添2に示すとおり北緯26度14分35秒、東経127度41分33秒の点と北緯26度16分04・5秒、東経127度42分33・5秒の点の間の陸岸から50メートル以内の水面域 (b)別添3に示すとおり北緯26度15分16.6秒、東経127度41分49秒の点から、真方位340度23分00秒に延びる223メートルの長さの一辺1.4メートルの角型排水管 (c)別添3に示すとおり北緯26度14分39秒、東経127度41分30秒の点から、真方位263度30分00妙に延びる173メートルの長さの一辺1.4メートルの角型排水管
 f 使用期間:定めず
 g 備考:
(1)使用条件:(a)使用時間:前記の第2項eに記す水域は常時使用される。(b)用途:1、前記の第2項e(3)(a)に記す水域は、陸上施設の保安のため使用される。2、前記の第2項e(3)(b)及び第2項e(3)(c)に記す水域は、汚水処理のため使用される。
(2)その他:
(a)参照文書の第2条第4項(a)の規定に基づき次に定める使用が許される。
  沖縄電力株式会社及び沖縄県(下水道設備)は、本施設・区域内の土地であって、同社又は沖縄県が所有、管理又は規制するユーティリティ施設の下部又は上部の土地の共同使用を許与される。前記の土地の正確な位置は現地調査によって決定され、本覚書の修正により追加される図面に表示される。
(b)合衆国政府は、沖縄電力株式会社及び沖縄県(下水道設備)のユーティリティ施設の運用に関する検査、保守、修理その他の作業のため、要請があるときはいつでも、保守要員の出入を保証する。
(c)合衆国政府は、前記の第2項g(2)(a)に基づいて許与した使用に起因し若しくは当該使用に伴って生ずることのあるあらゆる財産損害、傷害若しくは死亡に対し、又は、当該敷地内における合衆国政府の活動により生ずることのある使用者の財産損害若しくは使用者の職員、代理人、使用人、被用者、若しくはこれらの者の招きにより若しくはこれらの者のうちのいずれかの者の招きにより当該敷地内に入ることのあるその他の者に生ずる傷害若しくは死亡に対し、地位協定第18条の規定に基づく責任を負わない。ただし、このような損害、傷害又は死亡が、在日合衆国軍隊の構成員の故意又は重過失により生ずるものである場合については、この限りでばない。前記の使用者は、寄与された使用によって生ずることのある人又は財産に対するあらゆる損害に対してすべての責任を負うものとし、合衆国政府はこれらについての責任を負わない。
(d)前記の第2項eに記す水域内において、日本国政府は継続的投錨、破壊、建設又はいかなる種類の継続的使用も許可しない。合衆国政府は当該水域における漁業及び海産物の採取を制限しない。
(e)別添3に記された本施設・区域内にある出入路の地元住民による使用は、合衆国軍隊の活動を妨げない限り許される。
(f)FEBCDの財産及び当該財産が所在する土地については、これを本施設・区域から除外する。これらの土地の正確な範囲は、共同現地調査をもって決定する。(g)VFWの施設の下の土地については、これを本施設・区域から除外する。これらの正確な土地の範囲は、現地調査をもって決定する。
3.本件を承認するよう勧告する。
別添:
 1、1971年6月30日付 米陸軍技術部図面15-09-26(2葉)
 2、1972年4月 7日付 牧港補給地区水域
 3、1972年2月24日付 「牧港補給地区」位置境界図(合同委員会ファイル用のみ)   
1972年5月15日受理し、合同委員会へ付託。
 Y.S HIMADA 日本国側議長
 R.W.BELT 合衆国海軍大佐 合衆国側議長
1972年5月15日合同委員会において承認。
 BUNROKU YOSHINO 日本国側代表
 RICHARD M..LEE 合衆国陸軍少将