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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック |
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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円 |
第119号(2000年12月28日発行) |
【本の紹介】 『“隣人”の素顔』
フェンスの内側から見た米軍基地 NHK沖縄放送局編
世界の憲兵を自認してる米軍が、沖縄の米軍基地内でどんな訓練をしたり、どこかで紛争が起こったり戦争の気配を感じたときには、直ちに出動できるように、どんな準備を日常しているのだろうか。NHK取材班が米軍の基地内に入って、詳しく報告したのが、この本である。気づいたこと二、三を指摘しておきたい。 1 六日間の野営訓練 「隊員はM16ライフルにヘルメット、背のうという標準的な装備で、チームごとにスタート地点を駆けだしていく。ジョギングするようなスピードで」出発する。彼らは五時間にわたり、三十余の障害物を踏破しなければならない。川を渡り、赤土の泥水をくぐり抜け、高さ三メートル、幅一メートル五十センチの壁をこえる。一人では不可能なので、十三人のチームが協力して何度も地面に転げ落ちながらもトライする。成功すると、チームの兵隊は拍手して祝う。個人と協力と連帯の訓練が、泥を濡れ鼠になって続行される。 このような訓練が、海兵隊を中心に年間六千人の兵士が受けているという。 北部訓練場はSACOの合意で、総面積の半分以上が返還される。だが、それでも、まだ四千ヘクタール近くの広大な土地が残るので、訓練には何の支障もないという。ちなみに、米軍では、北部訓練場の名称を廃止して、「ジャングル戦闘訓練センター」といっている。 2 艦隊病院 この本には、当然のように、「返還が合意された普天間基地」「米軍の港湾施設」「極東最大の米軍基地、カデナ」などの内部からの報告がある。ところで、「有事の備え」の項目の中に、あまり耳にしない「艦隊病院」と言う文字が飛び込んできた。単純に赤十字のマークをつけた病院船かと思ったが、そうではなく、米軍には重要な施設であった。 「艦隊病院とは、有事に組み立てて使用する野戦病院の装備一式のことだ。平時に基地の倉庫に眠っている」が、病院の機能が全て整っている。「医師・看護婦のいない幽霊病院と例えた方がわかりやすい」という。沖縄では、キャンプ瑞慶覧とホワイトビーチに配備されている。 「艦隊病院は五百床のベットを持ち、有事の際に設置する。移動が可能で、すぐ運べるのが最大の利点だ。前方配備の意味から沖縄に置いている」と、米軍の担当者はいう。五百床の病院の規模は、医師七十人が勤務している県立中部病院(具志川市)に相当する。しかも、この艦隊病院には、補給を受けなくても、六十日間活動できる物資がそろっているという。当然だが、湾岸戦争には事前配備されていた艦隊病院が活動した。 3 日米ガイドラインの先取り 湾岸戦争では、二百三十隻のうち多数の民間の船舶もチャーターされて米軍の軍事物資を輸送したという。米軍は海運会社と三年から五年単位で契約を結んでいるという。「有事になれば民間の船であっても前線へ向かう可能性がある。船員に特別手当てを支給するが、基本的に前線への派遣を拒否することはできない」と船長はいう。日本人の船員も乗船しているのに違いない。 トラック十台ほどが、「EXPROSIVE」(爆発物)とステッカーの貼られたコンテナを積み、米軍の天願桟橋で待機していたという。「車体には沖縄の民間運送会社の名前が書いてある」 一九九八年六月、カデナ弾薬庫での軍事演習で、ミサイルや弾薬を運び出して軍用機に装填するまでの確認訓練に三百五十人が参加した。「このうち三十人は日本人従業員だった。弾薬庫の業務は危険で機密事項も多いが、日本人が米軍の活動を日常的に支えている。」 日米の戦争協力は、以前から隠れた場所で内密に進行しているようだ。 4 「良き隣人」のために 少女暴行事件の二年後、基地司令部は「外交政策部」(通称「G5」)を設置したという。在沖マスコミ各社の取材に応じる報道部がおかれ、海兵他のほかアメリカ人や日本人スタッフも働いている。スタッフは、沖縄の地方紙の中から、「海兵隊に関する新聞記事を全て翻訳し、各部隊に配布。基地問題についての県民感情を正確に把握するのが、G5に課せられた使命となっている」という。 米国防総省は、アジア太平洋地域の重要拠点を失うかもしれないという危機感から、日本通のデイヴィッド・ラン大佐を、その責任者に任命した。彼は、普天間基地のある市の新年のつどいに積極的に参加したり、私宅で開いたパーティーに米軍基地を抱える自治体の首長を招待して「良き隣人」になろうとつとめている。さらに、稲嶺知事が誕生して以来、G5は積極的に地域と交流する行事を計画し、実行に参加しているという。 そのような小手先のことで、命どぅ宝の精神を売り渡すはずもないが、米軍が基地を維持するために、彼らが何をしているかを知ることは必要なことだ。 回し読みして、討論の機会にでもしたらどうかと思う。 (石田甚太郎)
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