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第118号(2000年11月28日発行)

巻頭言

 名護東海岸でジュゴンがジャンプして宙返りをするというとても珍しい姿が、先日、沖縄でテレビ報道されたそうだ。
◆          
 一〇月に開催されたIUCN(国際自然保護連合)総会は、日米政府に対してジュゴン等の保全を求める勧告を決議した。総会の場で外務省は「ジュゴンなどの生存を保障するために最大限の努力をする」と表明した。ジュゴン保護は、国際公約となった。
 五月の国会答弁では「生態がわからないから保護のしようがない」「生態の調査方法がわからないから調査できない」と居直っていた政府が、IUCN総会後に七〇〇〇万円をかけての予備調査を開始した。その調査でもジュゴンが確認された。名護市議会は「ジュゴンの保護・IUCN勧告の尊重」を全会一致で決議した。「ジュゴンは保護します」「基地もつくります」は両立しないことは明らかだ。国内外の世論の前に、政府は厳しい立場に追い込まれてきた。
◆         
 専門家によれば、毎月の調査を三〜五年行わなければ、まともな調査とは言えないそうだ。しかし、防衛施設庁による予備調査はたったの三ヶ月。これを基地建設のための「通過行事」にさせてはならない。この調査をアリバイ作りに終わらせず、本格的な調査と実効ある保護策をとらせることが今、求められている。
◆          
 沖縄の民話に、「村人に助けられたジュゴンが、津波が来ることを教えて、村を救ってくれた」という話があるという。現代版の民話をジュゴンとともにつくっていきたい。
              (S)