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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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第116号(2000年9月28日発行)

学習会 

南北朝鮮統一問題

 六月中旬に韓国の大統領金大中と北朝鮮の国防委員長金正日が朝鮮半島の、朝鮮民族の統一をめざす南北首脳会談を行った。それ以後、続けざまに南北赤十字会談、南北閣僚級会談、離散家族相互訪問などが行われ、オリンピックの開会式では両国の選手団が一つの旗の下で一緒に行進するなど、統一の機運が急速に高まっている。

 朝鮮半島の二つの国の統一は、駐韓米軍の存在根拠を失わせることになり、アジアにおける米軍の戦略に大きな変化を引き出さずには置かないだろう。何しろ駐韓米軍は基本的には、北朝鮮の韓国への侵略を阻止するのが目的だから、両国が和解し、侵略の恐れがなくなれば、米軍は引き揚げざるを得ないというのが、世間の常識。

 それは、駐日米軍にも大きな影響を及ぼすに違いない。特に、沖縄に新たに海兵隊基地を建設しようとしていることに、どんな影響を与えるか、沖縄の軍事基地問題に取り組んでいる私たちとしては十分に検討しておく必要がある。

 そういうことで、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの運営委員会は、韓統連(在日韓国民主統一連合)の国際局長・宋世一(ソンセイル)氏にお願いして、朝鮮情勢の学習会を開いた。

 宋氏は問題を
1 南北関係の進展
2 駐韓米軍の問題
3 国家保安法の問題
4 その他(食糧問題、原発建設など)
として整理し、約一時間の解説があって、そのあと、一問一答がおこなわれた。

 筆者はうかつにも、「南北共同宣言」の中に、統一実現に向けての両者の考え方の違いが表明されていることに気がつかなかったが、宋氏の解説で両者の違いを認識させられた。南側は「連合制」案を出し、北側は「連邦制」案を出したという。連合制案の中身は両地域がそれぞれ国家主権を持ちながら、平和共存をして行こうということであり、連邦制案は両地域をそれぞれの自治政府とし、その両者が一つの国家を構成するということだと説明された。そして共同宣言では「南側の連合制案と北側のゆるやかな段階での連邦制が互いに共通性があると認め、今後、この方向で統一を志向していく」となっている。

 駐韓米軍については、梅香里の闘争に見られるように、基地の閉鎖・返還を求める動きもあるが、朝鮮戦争の影響も残っていて、米軍撤退までを求める声は、広まっていない。金大中の基本姿勢は親米であり、駐韓米軍を残そうとするのは、彼の本音かも知れない。民主・統一と言いながら、労働運動に対する弾圧が強まっているのも、金大中の体質を表している。

 米国は米朝会談で、個別に北側と取引をはかるとともに、一方では韓米日の同盟を強めて北側に対抗しようとしている。日朝交渉も進められているが、日本は米国の顔色をうかがいながらの交渉である。

  これからの南北統一の大きな障害は、韓国の「国家保安法」で、法を厳格に適用すれば金正日委員長と会見した金大中大統領は、死刑に該当することになる。この法律の廃止を求める声が国会からも出てはいるが、廃止ではなくて、不都合な部分だけを削除するか修正することで、当面をしのいでいこうとする傾向が強い。

 ごく大雑把にまとめて、以上のような話であった。ここに載せられない話を含めて、大変参考になった。九月一八日夜、セミナーハウス・スキャットにて、参加者九名。    
  (U)  

朝鮮半島に関する年表・日誌(出典:学習会資料を参考に編集部で作成)

    1948年8月    大韓民国成立
     9月       朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)成立
    1950年6月    朝鮮戦争始まる
    1953年7月    休戦協定調印
    1972年7月    7・4南北共同声明発表
    1990年9月    南北首相会談(92年9月まで8回開催)
    1991年9月    南北国連同時加盟
     12月      「南北基本合意書」調印、「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」合意
    1994年6月    南北首脳会談合意(7月キム・イルソン主席死去により「延期」)
     10月       北朝鮮の核開発凍結と米国との関係正常化を盛った朝米枠組み合意「ジュネーブ合意」署名
    1999年6月      米、北朝鮮政策見直し報告(ペリー報告)公表
    2000年5月       南北首脳会談開催に合意
     6月13日〜15日    南北首脳会談(ピョンヤン)、南北共同宣言発表(15日)
     6月27日〜30日    南北赤十字会談
     7月21日       朝鮮半島情勢に関するG8特別声明採択(沖縄)
     7月29日〜31日    第1回南北閣僚級会談(ソウル)
     8月15日〜18日    南北離散家族相互訪問(ソウル・ピョンヤン)
     8月30日〜9月1日    第2回南北閣僚級会談(ピョンヤン)
     9月2日        非転向長期囚の北朝鮮への帰還
     9月11日〜14日    北朝鮮のキム・ヨンスン書記が訪韓、共同報道文発表(14日)
     9月15日       シドニー五輪開会式で南北同時入場行進
     9月18日       京義線、韓国側で起工式
     9月25日〜      南北朝鮮国防相会談

(出典:学習会資料を参考に編集部で作成)


南北共同宣言(全文)


 祖国の平和的統一を念願する全民族の崇高な意志により、大韓民国の金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日国防委員長は、2000年6月13日から6月15日まで、平壌で歴史的な出会いを果たし、最高位級会談を行った。

 南北首脳は、分断の歴史上初めて開かれた今回の対面と会談が、互いの理解を増進させて南北関係を発展させ、平和統一を実現するのに重大な意義を持つと評価し、次のように宣言する。

1、    南と北は国の統一問題を、その主人であるわが民族同士で互いに力を合わせ、自主的に解決していくことにした。
2、    南と北は国の統一のため、南側の連合制案と北側のゆるやかな段階での連邦制案が互いに共通性があると認め、今後、この方向で統一を志向していくことにした。
3、    南と北は今年の8・15に際して、離散家族、親せきの訪問団を交換し、非転向長期囚問題を解決するなど、人道的問題を早急に解決していくことにした。
4、    南と北は経済協力を通じて、民族経済を均衡的に発展させ、社会、文化、体育、保健、環境など諸般の分野での協力と交流を活性化させ、互いの信頼を固めてていくことにした。
5、    南と北は、以上のような合意事項を早急に実践に移すため、早い時期にに当局間の対話を開催することにした。
 
 金大中大統領は金正日国防委員長がソウルを訪問するよう丁重に招請し、金正日国防委員長は今後、適切な時期にソウルを訪問することにした。

                               2000年6月15日

  大韓民国大統領 金大中
  朝鮮民主主義人民共和国国防委員長 金正日