軍用地を生活と生産の場に!
 
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
http://www.jca.apc.org/HHK
東京都千代田区三崎町2-2-13-502
電話:090- 3910-4140
FAX:03-3386-2362
郵便振替:00150-8-120796

『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第114号(2000年7月28日発行)

【自著紹介】  

  『沖縄米軍基地法の現在』

            浦田賢治編著

 この書物の特徴は、沖縄米軍基地法というコンセプトを提起して、今後の研究課題と方法を明示した点にある。軍事占領に始まる沖縄米軍基地法は、アメリカ合衆国の米軍基地関係法を中核としているが、そればかりでなく、日米安保条約や公用地暫定法や駐留軍用地特別措置法など、こうした日本の実定法として存在する。これらは、米軍による力の支配を貫徹するための法である。しかし他方、土地問題などでは沖縄固有の法がのこり、しかも日本国憲法の原則が適用されるべきである。憲法と市民法の原則を根拠にして民衆は、沖縄基地に「法の支配」を実現せよと主張してきた。こうして新たな、もう一つの「沖縄米軍基地法」の形成に向けた闘いが持続的に進んできた。さらに沖縄解放の政策提言が必要である。

 編者は、こうした認識をもって、論説四本、序説及び補論各一つでもって本書を構成し、さらに文献目録を収めている。すなわち@序説(浦田賢治)、A国際法からの検討(本間浩)、B刑事法学からの検討(新倉修・森川恭剛)、C市民法学からの考察(小川竹一)、D自治体財政法学からの分析(仲地博)、E憲法学からの分析と提言(浦田賢治)、F補論(小沢隆司)、G文献目録(飯野賢一)である。本書は、実践的な課題意識を強くもちつつも、学術研究の最近の成果を集約し発展させたものである。

 沖縄問題の深層には、日本の国民国家形成時に沖縄を「辺境」として軍事戦略的に利用する思考があった。沖縄戦は、そうした国策の帰結でもあった。敗戦直後「天皇の沖縄メッセージ」もそうである。サンフランシスコ講和条約第三条にも、それが現れた。アメリカ合衆国の前方展開戦略とこれに従う日本政府の姿勢が、沖縄解放を妨げている。国連憲章と日本国憲法を活用しつつ、沖縄米軍基地法の改革・解体に向けてなにができるか。このことを歴史的にかつ比較法的に分析し、政策形成するために、この書物が必読の書となるように希望している。  
(浦田賢治)  
 

 浦田氏は早稲田大学教授(憲法学)。最近の編著に、『平和と国際協調の憲法学』(共編、1990年、勁草書房)、『恒久世界平和のために』(共編、1998年、勁草書房)、『非核平和の追求』(1999年、日本評論社)等がある。

一粒社
2000年6月17日
3500円+税
ISBN4-7527-0290-8